米OpenAIは11月6日(現地時間)、開発者カンファレンス「OpenAI DevDay」で、カスタマイズしたChatGPTチャットボットを作成・共有できる「GPTs」を発表した。GPTの例として6日より、ChatGPT PlusとChatGPT Enterpriseのユーザーに「Canva」や「Zapier」などのGPTのロールアウト開始。近日中に、より多くのユーザーに提供を拡大する予定。11月末には、検証済みのビルダーによるGPTを集めたGPTストアをオープンする。

「子どもに算数を教える」「テックサポート」「料理のアシスタント」など、GPTsによって特定の目的のためにカスタマイズしたChatGPTを実現できる。ChatGPTにはすでにプラグイン機能があるが、GPTsの特徴はコーディングのスキルなしで簡単にカスタマイズしたAIチャットボットを構築できること。作成ツールのGPT BuilderはChatGPTと同じ対話型のインターフェイスで、自然言語で会話しながらGPTを完成できる。AIソリューションの今後の大きな可能性として注目を集めるカスタムAIを多くの人が活用できるようにする。プログラミングの知識を持たない個人が自分の仕事のためのAIチャットボットを作成することも可能。企業や組織が事業や分野またはチームに特化したGPTを用意したり、作成したGPTをGPTストアを通じて共有・販売することもできる。

以下はキーノートでサム・アルトマン氏が行ったGPT Builderのライブデモだ。同氏は2020年までスタートアップアクセラレータのY Combinatorの会長を務めており、今でも起業家から相談を持ちかけられることが多いという。そこで起業家にアドバイスするGPTを作成した。

GPT Builderにアクセスし、[Create]欄を選択。

(GPT Builder)「何を作りたいですか?」

(アルトマン氏)「スタートアップの創業者がビジネスアイデアを考え抜き、アドバイスを得る手助けをしたい。創業者がアドバイスを得た後は、なぜ成長スピードが上がらないのか、その理由を追及する!」と入力。

それに基づいてGPT BuilderがGPTのベースを作成。

(GPT Builder)「名前は何にしましょう。例えば"Startup Mentor"はどうですか?」

(アルトマン氏)「いいね」と回答。

続いて、GPT Bulderが画像生成AI「DALL-E」を使ってプロフィール画像を自動生成。

(GPT Builder)「プロフィール画像はこれでどうでしょうか。修正したいところはありますか?」と聞いてきた。

(アルトマン氏)「すばらしい!」とOKを出した。

(GPT Builder)「Startup Mentorがインタラクトする方法を洗練させましょう。ユーザーとのやりとりの中で、何を強調すべきか、何を避けるべきですか?」

メンターとしての助言や指導の方法、アプローチ、キャラクターなどを定められる。

(アルトマン氏)「私がこれまでに行ったスタートアップに関する講演のトランスクリプトをアップロードするので、それをもとにしたアドバイスをお願いしたい」。トランスクリプトのドキュメントをアップロードした。

  • 学習素材として講演ファイルをアップロード

    GPTをアルトマン氏の考えを反映したメンターにするための学習素材として、同氏の講演のトランスクリプト・ファイルをアップロード

最後にGPTの内容を[Confgigure]欄で確認し、細部を修正する。同欄には、名前、概要、インストラクション、会話のスタートになる質問の例(例:How can I refine business ideas?)、機能(Webブラウジング、DALL-E、Code Interpreter)などが記載されている。アルトマン氏は、インストラクションに「フィードバックは簡潔かつ建設的に」と付け加えた。説明しながらでも3分程度で完了した。

完成したアルトマンGPTのプレビュー機能で「初期ステージのスタートアップで従業員を雇用する際に見るべき3つのポイントとは?」と質問、それに対するGPTの回答が下の画像だ。アルトマン氏が何度もアドバイスしてきたことを的確に伝えているそうだ。

GPTsはユーザーのプライバシーと安全を優先した設計になっており、GPTsのチャットがビルダーと共有されることはない。GPTを改善するためにビルダーが何らかの利用データにアクセスできるようになるかは不明。GPTストアにはレベニューシェアを導入するが、分配比率など詳細は後日明らかにする。

申請されたGPTをOpenAIの使用ポリシーに照らして審査し、またビルダーの身元を確認できるシステムを導入して、詐欺やヘイト、アダルトテーマを含むGPTが共有されるのを防ぐ。GPTストアに登録されると、GPTは検索可能になる。プロダクティビティ、教育、「just for fun」などのカテゴリーを設け、リーダーボードも用意して、便利なGPTや面白いGPTにスポットライトを当てる。