NOT A HOTELは11月7日、不動産を裏付けとする独自の暗号資産「NOT A HOTEL COIN」(以下NAC)を発行すると発表した。NACの所有者は、その報酬としてNOT A HOTELに宿泊できる仕組みだ。同社 代表取締役CEOの濵渦伸次氏は「NOT A HOTELの利用をより身近にするための画期的なサービスです」と説明する。

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    暗号資産で物件に宿泊できる!? NOT A HOTEL 代表取締役CEOの濵渦伸次氏がスキームを説明した

「NOT A HOTEL」とは?

開業から1周年を迎えたNOT A HOTEL。「世界中にあなたの家を」をコンセプトに、世界的な建築家やクリエイターが手がけ るデザイン性と、IoT などのテクノロジーによる快適性を両立した、ハイエンドな別荘を提供している。自分が購入したNOT A HOTELだけでなく、すべてのNOT A HOTELを相互に利用できるネットワーク性が特徴で、自宅や別荘のように資産として保有し、相互利用可能な物件を毎年10泊単位からシェア購入できる。

これまで販売・開業したNOT A HOTELは7拠点にのぼり、順調に成長を続けている。現在のところオーナー数は337人、NFTメンバー数は350人、総販売金額は119億円、累計資産調達額は62.5億円、延べ宿泊者数は6,066人で、宿泊満足度に関しては99%を誇っている。

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    NOT A HOTELの物件イメージ。なかには1棟で40億円する物件もある

そんなNOT A HOTELが新たにスタートするプロジェクトの名称は「NOT A HOTEL DAO」。NOT A HOTELの完全子会社であるNOT A HOTEL DAOが運営する。NOT A HOTEL DAOでは、すべてのNOT A HOTELが宿泊可能になる。

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    既存物件だけでなく、これから開業予定のNOT A HOTELも宿泊可能になる

この宿泊に際して、暗号資産のNACが必要となる。物件によって必要なNAC数が変動する設計だ。なおNOT A HOTELは11月7日、GMOコインとIEOによる資金調達に向けた新規暗号資産販売検討に関する覚書を締結したことを発表している。

利用方法は簡易化した。NAC所有者はスマートフォンのアプリから宿泊したいNOT A HOTELを選択し、滞在日程を入力するだけで"1泊単位"から利用権を保有できる。

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    宿泊したいNOT A HOTELを選択。物件によって必要なNAC数は異なる

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    アプリの利用画面

制度上は、利用者はNACをNOT A HOTEL DAOに貸付け、そのステーキング報酬として「泊数」を得ている。ステーキングしたNACは1年後に返還されるため、実質的にはNACを消費することなくNOT A HOTELに泊まれることになる。

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    ステーキングについて

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    NAC利用の流れ

NOT A HOTELでは今後、調達した資金をもとにNOT A HOTELの所有権を購入、あるいは新規開発するための土地を購入していく。またNAC自体もそれら資産を裏付けとした、安定した資産価値の形成を目指す。

まったく新しい形の不動産投資

同社の濵渦氏は「これまで暗号資産を保有していても、それで何か珍しいことを体験した、何か欲しいものを買った、という人はほとんどいないのではないか、と思います。そこでNACは、よりユーティリティ性の高い"実際に使える"ことに特化した暗号資産というコンセプトで作りました」と説明。

そして「NOT A HOTEL DAOは、まったく新しい形の不動産投資、ホテルの所有の仕方の提案となります。これまでごく一部の人しか泊まることのできなかったNOT A HOTELの別荘ですが、1泊ごとに細分化することで、より多くの人が宿泊できるようになります。みんなで保有して、みんなで利用できる、というのが大きなポイントです」と続ける。ターゲット層については、まずは国内の利用者を対象としていくとのこと。

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    NOT A HOTELの利用をより身近にする

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    暗号資産の活用に着目した

ちなみにNOT A HOTEL DAOを通じて、NOT A HOTELを開発する土地の提供者、地元の協力者、プロジェクトに参加するクリエイターにもNACを得る機会を創出していく。

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    参加するステークホルダーにも恩恵をもたらす

今後はNOT A HOTEL DAOに参加するメンバーを増やすことで、日本各地にある遊休地を利活用していきたい考え。「私の地元、宮崎でNOT A HOTELはスタートしました。実はいま私たちの物件が建っている青島の土地には、当時、廃墟が建っていたんです。海の目の前の好立地なんだけど、何十年も瓦礫が埋まっていた。こうした事例は、日本全国にあります。NOT A HOTEL DAOで資金を得ることで、そうした土地にも新しい開発を進めていけるでしょう」と濵渦氏。これからもNOT A HOTELの可能性を信じてくれた地主、あるいは行政らと一緒に地方創生を加速させていきたい、と展望を語った。