大成建設杯第6期清麗戦は予選トーナメントが進行中。11月6日(月)には2回戦の加藤桃子女流四段―上川香織女流二段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、三間飛車対居飛車穴熊の対抗形を101手で制した加藤女流四段が3回戦にコマを進めました。
清麗の座を目指して
本予選トーナメントは74名からなるトーナメントを勝ち抜いた優勝者1名が本戦に進出するもの。一度敗れても再挑戦トーナメントがあるのが特色で、これを勝ち抜いた3名も本戦に進出します。
振り駒が行われた本局で後手となった上川女流二段は角道を止めた三間飛車を志向。石田流への組み換えを目指したのは近年再流行を見せている指し方で、盤上右方からの素早い動きを見せて居飛車穴熊をけん制する狙いがあります。
加藤女流四段の構想
振り飛車の積極策を見た先手の加藤女流四段はこれに構わず居飛車穴熊の枠組みを完成。2枚の金の動きを保留したまま中央に飛車を回った手が上川女流二段の意表を突きました。やがて盤上は飛車交換が行われて一段落を迎えます。
手番を得た上川女流二段は先手陣に飛車を打ち込んで反撃を目指しますが、ここで加藤女流四段が工夫の一手を披露します。右金を寄って飛車の動きを封じ込めたのがそれで、こうなると序盤で金の動きを保留しておいたのが生きてきます。
居飛車穴熊の勝ちパターン
後手の攻めを食い止めることに成功した加藤女流四段は満を持して敵陣攻略に乗り出します。5筋に合わせの歩を放って歩のカベをこじ開けたのが単純ながら厳しい決め手。小駒の攻めが実現しては美濃囲いに受けはありません。
終局時刻は13時46分、最後は攻め合いでの速度負けを認めた上川女流二段が投了。「堅い、攻めてる、切れない」という居飛車穴熊の勝ちパターンが実現した加藤女流四段が快勝で藤井奈々女流初段の待つ3回戦への進出を決めました。
水留 啓(将棋情報局)
この記事へのコメント、ご感想を、ぜひお聞かせください⇒コメント欄