テレビ番組制作会社の倒産が、今年9月までに過去10年間で最多を更新した。東京商工リサーチが6日、調査結果を公表した。
今年1~9月のテレビ番組制作会社の倒産は14件に達し、前年同期(6件)の2.3倍のペースで増加。2014年以降の10年間で、最多だった2018年の13件をすでに超えている。
2020年からのコロナ禍では、バラエティなどの番組制作・撮影が軒並み中止や延期となり、下請けとして制作に参加していた業者の経営を直撃。「街歩き企画」「グルメ特集」「旅行企画」を主力にしていた制作会社は、特に受注減少が影響した。
一部の制作会社は、コロナ関連の給付金やゼロゼロ融資などを活用して事業を継続し、行動制限の解除まで持ちこたえたが、受注額がコロナ禍前まで回復せず、2023年に事業を停止する“息切れ”倒産も発生。東京商工リサーチは「テレビメディアの広告費漸減傾向が続くなか、テレビ番組制作会社の倒産は、しばらく高水準をたどる可能性が高い」とみている。
さらに、「SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)をめぐるテレビ番組の構成変化に伴う経営への影響も懸念される」とした。
【編集部MEMO】
テレビ番組の制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は、「ATPの主張」を策定。その中で「制作費についてですが、リーマンショック以降一向に回復しないばかりか、さらに削減されています。また、本来製作会社に帰属すべき番組の著作権についても、何ら協議の余地なく契約上認められていないケースが多く、番組の二次展開もままなりません。その結果、スタッフの労働条件は低く抑えられ、意欲を持った若者がこの業界を敬遠する傾向が強まり、番組制作の担い手の育成に支障が出ています」と訴えている。