キオクシアから個人向けメインストリームSSDの新モデル「EXCERIA PLUS G3」が発売された。さっそく、1TB版と2TB版を試用する機会を得たので同社のエントリーSSDのEXCERIA G2も含めた性能テストを行ってみたい。

  • キオクシアののPCI Express 4.0 x4(Gen 4)対応NVMe SSD「EXCERIA PLUS G3」。実売価格は2TB版で17,000円前後、1TB版で9,200円前後だ

    キオクシアののPCI Express 4.0 x4(Gen 4)対応NVMe SSD「EXCERIA PLUS G3」。実売価格は2TB版で17,000円前後、1TB版で9,200円前後だ

キオクシアでは、M.2規格のNVMe SSDとしてGen 4対応のハイエンド「EXCERIA PRO」、Gen 3対応のメインストリーム「EXCERIA PLUS G2」、Gen 3対応のエントリー「EXCERIA G2」を中心に展開しているが、そこにGen 4対応の「EXCERIA PLUS G3」が加わった。新たなメインストリームSSDという位置付けで、ゲーム、動画編集など幅広い場面で高いパフォーマンスを発揮するという。

キオクシア製のBiCS FLASH TLC NANDフラッシュメモリを採用しており、公称シーケンシャルリードは最大5,000MB/秒、シーケンシャルライトは3,900MB/秒となっている。総書き込み容量のTBWは、1TBで600TB、2TBで1,200TBと耐久性も十分過ぎるほど高い。保証期間も5年あるので、長く安心して使えるSSDと言ってよいだろう。なお、EXCERIA PRO、EXCERIA PLUS G2、EXCERIA G2はDRAMを搭載しているが、EXCERIA PLUS G3はDRAMレス設計となっている。そのほかスペックは下記の表にまとめた。

スペック表
フォームファクタ M.2 2280
インターフェース PCI Express 4.0 x4
プロトコル NVMe 1.4
NANDフラッシュメモリ キオクシア製BiCS FLASH TLC
コントローラ Phison PS5021-E21
シーケンシャルリード 5,000MB/秒
シーケンシャルライト 3,900MB/秒
総書き込み容量(TBW) 600TB 1,200TB
保証期間 5年
  • コントローラはPhisonの「PS5021-E21」が採用されていた。DRAMレス向けでHMB機能を備える

  • キオクシア製のBiCS FLASH TLCを搭載。1TB版、2TB版とも片面実装でどちらもNANDの枚数は4枚だ

  • CrystalDiskInfo 9.1.1での表示結果(1TB版)。対応転送モードの欄でGen 4対応であることが分かる

  • 健康状態やHMBに割り当てられている容量などが確認できる「SSD Utilityマネージメントソフトウェア」も用意。キオクシアのWebサイトからダウンロードできる

  • SSD Utilityマネージメントソフトウェアではファームウェアのアップデートも可能だ

ここからは性能テストに移ろう。まずは、データ転送速度を測る定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.4」から。用意したのは、EXCERIA PLUS G3の2TB版と1TB版、比較対象としてGen 3対応で公称シーケンシャルリード2,100MB/s、シーケンシャルライト1,700MB/sとなるEXCERIA G2の1TBも加えた。テスト環境は以下の通りだ。

【検証環境】
CPU AMD Ryzen 9 7900X(12コア24スレッド)
マザーボード ASUSTeK ROG CROSSHAIR X670E HERO(AMD X670E)
メモリ Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
ビデオカード MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(NVIDIA GeForce RTX 4060)
システムSSD Micron T700 CT2000T700SSD3JP(PCI Express 5.0 x4、2TB)
CPUクーラー Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
電源 Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OS Windows 11 Pro(22H2)
  • EXCERIA PLUS G3 2TB版のCrystalDiskMark 8.0.4の結果

  • EXCERIA PLUS G3 1TB版のCrystalDiskMark 8.0.4の結果

  • EXCERIA G2 1TB版のCrystalDiskMark 8.0.4の結果

シーケンシャルリードは2TB版、1TB版とも約5,000MB/秒、シーケンシャルライトは約3,900MB/秒と公称通りの性能を見せた。ランダムアクセスは1TB版のほうが若干上だ。リンダムリードの公称スペックが2TB版が680,000IOPS、1TB版が770,000IOPSなので順当と言えるだろう。

次は、実際のOffice系、クリエイティブ系、ゲーム系とさまざまなアプリの動作をシミュレートしてその処理性能を見るPCMark 10のFull System Drive Benchmarkを実行する。

  • PCMark 10 - Full System Drive Benchmark

3,000前後のスコアはメインストリームSSDとしてなかなか優秀と言える。とくに1TBで3,153というスコアはGen 4 SSDでは高いほうだ。EXCERIA G2からは約1.7倍から約1.8倍のスコア向上となった。

続いて、ゲームの起動やロード、録画などゲーム関連のさまざまな処理をシミュレートする3DMarkのStorage Benchmarkを試そう。

  • 3DMark - Storage Benchmark

こちらも1TB版のほうがスコアが上だ。ランダムアクセス性能が影響しているとみられる。特別高いスコアではないが、Gen 4のメインストリームSSDとして見れば一般的と言ってよいだろう。

続いて、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでのローディングタイムを見てみよう。

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

これまでと同じくEXCERIA PLUS G3の1TB版がトップに立った。とは言え、2TB版との差はわずかなので、気にするほどではないだろう。

続いて、連続書き込み時の速度と温度の推移をチェックしたい。TxBENCHを使って10分間連続でシーケンシャルライトを行ったときの速度と温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」で追ったときの値だ。テストはマザーボードのヒートシンクを装着し、バラック状態で行っている。

  • テストはマザーボードのヒートシンクを装着して行った

  • 連続書き込み時の速度推移

  • 連続書き込み時の温度推移

速度推移だが、EXCERIA PLUS G3の2TB版は約448GBでキャッシュが切れたとみられ、その後は480MB/秒前後での推移となった。1TBは約217GBで速度低下し、610MB/秒前後で推移。EXCERIA G2はわずか約24GBで速度低下を確認したが、その後は780MB/秒前後と今回のなかで一番高めの速度で推移となった。昨今のSSDとしては、キャッシュ容量が少なめと言えるが、切れた後もSerial ATA接続SSD並の速度は維持できているので、連続書き込みでも十分実用的と言える。

温度推移については、EXCERIA PLUS G3は途中で一度温度が下がっているが、これは速度低下の影響だ。どのSSDも55℃を超えておらず、マザーボードのヒートシンクを装着していれば、高温から守るためにSSDの性能を抑制するサーマルスロットリングが起きる心配はいらない。

また、Gen 4対応が必須となるPS5のSSD増設に利用できるのもポイントだ。筆者手持ちのPS5(CFI-1100A)に増設してみたが、問題なく認識して使用できた。ただし、EXCERIA PLUS G3はヒートシンクを備えていないので、PS5対応のヒートシンクを別途装着する必要がある点は注意したい。

  • PS5の増設にも利用できた。ただし、ヒートシンクの追加が別途必要となる点には注意

  • PS5でのフォーマット時に測定される読み込み速度は4,761MB/秒だった

キオクシアのNVMe SSDでGen 4対応はこれまでハイエンド向けのEXCERIA PROだけだったので、メインストリーム向けとなるEXCERIA PLUS G3が追加されたのはうれしいところ。飛び抜けた性能はないが、耐久性が高く長期保証なので安心して使えるのが強みだ。