舞台『ビロクシー・ブルース』の公開ゲネプロが3日に東京・日比谷シアタークリエにて行われ、濱田龍臣、宮崎秋人、松田凌、鳥越裕貴、新納慎也が取材に応じた。
同作は喜劇作家ニール・サイモンの自伝的戯曲であり、青春グラフィティの傑作。第二次世界大戦中の新兵訓練所を舞台に若者たちが繰り広げる、笑いとエネルギー、そして少しのほろ苦さとたっぷりのユーモアに彩られた青春ドラマとなる。
■舞台『ビロクシー・ブルース』
主人公のユジーンを演じる濱田は「自分のことを回顧録に記しているというところで、彼がノートを開いて振り返っていくところから始まるんですけど、作品全体がユジーンの主観で広がっていくような、すごく知的だけどかわいらしい部分があるようなキャラクターになっています」と表す。
また軍曹役の新納は「“ニーロ・サイモン”としては、ニール・サイモンをしばきたくなるくらい長台詞のオンパレード」と周囲を笑わせる。「通してみると意外と出番が少ないんだなと思ったんですけど、出てくるととにかくしゃべる。ただね、これは役者のエゴなんですが、長台詞が多い役で『よくセリフを覚えたね』と言われるのが1番恥ずかしいんです。だから言われないように一生懸命稽古してたんですけど、稽古を重ねていくうちに『そんなにいっぱいしゃべってるように見えないよ』と言っていただいて、こんなに一生懸命覚えたのに」と苦笑。「役者としては狙ってたんですけど、一生懸命頑張って覚えたんです、というジレンマの今日を迎えております」と心境を吐露した。
稽古について、濱田が「テンポ感は結構探りました。読み合わせの時から比べると、会話のテンポが上がったなというのは感じていて、言葉の持っているパワーというか表現力があるからこそだと感じられる。通しを始めてから、『ここか』みたいなところを見つけられたなと思いました」と振り返ると、キャスト陣も同意。新納は「僕は軍曹で、みんなは若い役なんです。で、実際、みんなはそんなに若くないんです。でも通し稽古を重ねるにつれ、会話のテンポで若さがなんとか出てきて、うまいこと誤魔化せてると思います」と、18〜19歳の役を演じるキャスト陣に太鼓判を押した。
作品については、松田が「役割がはっきりしているかもしれないですね。時代であったり、ニール・サイモンさんが産んでくれた作品が立体化していくのを、稽古の中で感じていました」と明かす。また宮崎は「印象的だったのは新納さんが出てきてしゃべるシーンで、お客さんは新納さんが喋っている時の、僕らのリアクションを見てるだろうから、なんてコスパが悪い役なんだろうなと……」といじる。新納は「そうなんですよ。BGMでしょ。すごく悲しいです」と苦笑しつつ、「全部掻っ攫ってやるわ」と宣言し、松田は「さすがです」と感心。
鳥越は「僕はほんまにあほやから、やりながら分かってくる感じやったんですけど、お客さんにも、僕みたいな人が絶対いる。何回観ても伏線がどこにもあるからず、まだ探りながら頑張ってます。お客さんが先に見つける可能性もあります」と語った。
公演は東京・日比谷シアタークリエにて11月3日〜19日。