パナソニックが「Mobile Living Room」なる乗り物を「ジャパンモビリティショー2023」(会期は11月5日まで)に出展していた。タイヤの付いたリビングルームが自動運転で走るといったような趣向だが、こんな大掛かりなモノを作った理由とは? 担当者に聞いてきた。
どんなコンセプト?
「Mobile Living Room」は車名の通り、リビングのような快適な空間で過ごしながら移動ができてしまう夢の乗り物だ。車内のディスプレイはジェスチャーや音声で直感的に操作できる。センサー類で車内の雰囲気を感知し、照明や音などで空間を演出するような機能も盛り込んでいるそうだ。今回の展示車両は、シェアハウスの一角にとまっているシェアカーのイメージ。シェアハウスの住人同士が一緒に出掛けたり、近所の人がシェアリングで使ったりするするクルマという想定となっている。
大きなウィンドウが付いていて開放感のある車内だが、ガラスには調光フィルムを使っていて、透き通った状態と曇りガラスの状態を簡単に切り替えることが可能。全面を曇りガラスにすれば車内のプライバシーを保てるので、例えば移動しながら会議を行うといったような使い方もできる。
車内には運転席のようなものも備わっていて、乗員が手動で運転することも想定した作りとなっているようだが、基本的に移動は自動運転で行う。走行に使う電力は再生可能エネルギーでまかないたいとのことだ。
で、なぜパナソニックが走るリビングルームを作ったのか、なのだが、このクルマは「自動運転の電気自動車(BEV)が普通に街中を走る時代になれば、クルマにはどんな性能が求められるのか」という問いに対するパナソニックなりの回答だ。運転から解放された時、クルマに求められるのは「空間価値」なのでは。そんな提案を盛り込んだコンセプトカーである。
確かに、無人運転のタクシーやバスが実現すれば、重要になるのは車内での時間の過ごし方ということになる。パナソニックがクルマ自体を作るかどうかは「未定」とのことだが、他メーカーとの協力なども考慮しながら、新しいクルマの価値を探っていきたいというのが同社の考えだ。