電気自動車(EV)の商用車「エレモ」(ELEMO)シリーズを日本で展開するHW ELECTROは、軽自動車サイズの新たなEV「パズル」(PUZZLE)のコンセプトカーを公開した。見た目は「走るスマホ」といった感じだが、話を聞いてみるとこのクルマ、いろいろな工夫が盛り込まれた軽商用EVだった。
パーツ共用でコスト削減!
パズルはEVの軽商用バンだ。HW ELECTROではコンセプトカーをもとに量産車の開発を進めており、2024年末~2025年春ごろの発売を目指している。価格は走行距離1kmあたり1万円、1台あたり200万円を予定しているとのこと。
デザインを担当した株式会社Fortmareiの石丸竜平CEOによると、パズルにはさまざまな工夫を盛り込んであるそうだ。
例えばデザイン。軽自動車の商用車となると車両開発ではコスト削減が大命題となるが、パズルのデザインにはコストを抑えるための工夫が施してある。いくつかのパーツが「共用」になっているのだ。例えばフロントバンパーは、向きを変えるとルーフの前端部分としても使える形状になっている。ドアミラー、ヘッドライト、ウインカーなども左右で形状を作り分けず、どちら側にも取り付けられる形とした。この手の工夫は内装にまで及んでいるそうだ。
走るWi-Fiスポット/充電スポット/救急箱?
パズルという車名はHW ELECTROの「社会の『ひとつのピース』になりたい」との思いから名付けたとのこと。そんな背景もあってパズルには、社会貢献につながるいくつかの機能も盛り込んである。まずは、この部分の写真をご覧いただきたい。
稲妻のマークは見た通りで、災害時にも役立つ移動電源としての機能となっている。つまり、コンセントとUSBポートが付いていて、電気が取り出せるのだ。おなじみの「Wi-Fi」マークも想像の通りで、パズルを動くWi-Fiスポットとして使うことを想定した機能。十字のマークは何かというと、そこにはエマージェンシーキットが常備してある。
ラストワンマイルの物流を担う軽商用車は、狭い路地にも入っていける地域密着型のクルマだ。そこらじゅうを走っていて、外出した時にもよく見かける。そんな身近なクルマに、さまざまな機能を持たせることで社会貢献を果たしたいというのがパズルのコンセプトだ。例えば親子が街を歩いていて、子供が転んでひざをすりむいてしまった場合は、通りかかったパズルをとめて絆創膏を取り出す。あるいは街を歩いていてスマホの充電が切れてしまったときに、パズルにつないで充電する。そんな社会インフラ的な乗り物として役に立つ日がやってくるかもしれない。
もちろん、災害時には動く蓄電池として使えるのもパズルの特徴だ。ルーフにはソーラーパネルが付いている。蓄電池でありWi-Fiスポットであり救急箱でもあるとしたら、ピンチの際にはかなり役立つ1台になるはずだ。