日本のホームプロジェクターカテゴリーにおいて、5年連続で売上ランキング1位(家電Biz調べ)を獲得している製品が、シーリングライトにプロジェクターを内蔵したAladdin X社の「Aladdin X(旧 popn Aladdin)」シリーズ。そのAladdin Xから新製品「Aladdin Marca(アラジン マルカ)」が登場しました。

Aladdin Xの最大の特徴でもあった照明機能がありません。では何が魅力なのか、製品発表会で実機を見てきました。Aladdin Marcaの価格は149,800円です。

  • 新製品の超短焦点プロジェクター「Aladdin Marca」

  • 発表会のゲストとして登場したタレントの足立梨花さん。自宅ではAladdin Xを利用中。結婚したばかりの夫とは「月に一度は同じものを観る」という約束をしているんだとか

24cmの距離があれば100インチ、超短焦点なプロジェクター

Aladdin X社の代名詞ともいえる「照明一体型」プロジェクターは、一見すると天井照明にしか見えない外観です。設置場所を選ばず、出しっぱなしにしても存在を主張しません。なにせ天井に取り付ける照明ですから。一般的なシーリングライトと同じよう取り付けられて、設置も簡単です。加えて、Aladdin Xならではの豊富なオリジナルコンテンツが利用できるという魅力もあります。

  • 筆者の家で利用しているAladdin Xシリーズ。置き場所を選ばないので、我が家ではテレビを置く場所がない寝室で使っています

とはいえ、照明一体型プロジェクターにもデメリットはあります。「どの部屋でも設置できるわけではない」ということ。

天井用の照明金具に取り付けるという都合上、斜め天井やダウンライト照明しかない部屋では利用できません。また、内蔵されているのは単焦点プロジェクターのため、最新モデルであるAladdin X2 Plusでも投映距離は最短で84cm必要です。

100インチレベルの大画面を表示させるには約1.78mの距離が必要など、照明金具から壁までの距離が必要になります。そこで登場したのが今回のAladdin Marca。こちらは据え置き型ながら、「超」短焦点のプロジェクター。本体と壁(スクリーン)の間に24cmの距離があれば、100インチの大画面を投映できるのです。

  • 新製品のAladdin Marca。本体サイズは幅427×奥行き311×高さ179mm、重さは5.31kg。マイナビニュース +Digitalの林編集長と並ぶとそれなりの大きさがあることがわかります。とはいえ、ファブリック調デザインのためかあまり「家電」感を主張しません

  • 投映先にこれだけ近くてもしっかり100インチの大画面を確保。推奨の投映サイズは80~120インチです

  • 自動台形補正機能はもちろん、凹凸自動補正、白色じゃない壁紙でも色を補正する自動壁色補正機能など「壁に投射するプロジェクター」ならではのさまざまな補正機能を搭載しています。もちろん各種の手動調整機能もあります

Aladdin X社によると、ホームプロジェクターの市場規模は年間50万~60万台ですが、Aladdin Marcaのような超短焦点製品は年間4,000台前後しかありません。そもそも製品数自体がそれほど多くはないなかで、Aladdin Marcaには「オリジナルコンテンツ」を楽しめるという魅力があります。

多くのプロジェクターは映画の視聴やビジネスの資料投映を目的としていますが、Aladdin Marcaならそれに加えてカラオケやヨガといった「おうち時間」を楽しくするオリジナルコンテンツも用意されています。もちろん、TVerやYouTube、Amazon Prime Video、Netflix、U-NEXT、ABEMA、Hulu、Paravi、FOD、dアニメストアといった動画サービスにも対応。TVチューナーは非搭載ですが、DiximPlay対応のレコーダーと接続すればテレビも視聴できます。

  • オリジナルアプリの一部。壁に巨大な時計や風景を投影するインテリア向けコンテンツ、絵本や等身大の動物図鑑を表示させる子ども向けコンテンツなど、家族で楽しめる内容のアプリが豊富に用意されています

  • オリジナルアプリの一例。自宅の壁に世界の名画を投影する「おうち美術館」

画質や音質も、従来のフラッグシップモデル「Aladdin X2 Plus」から進化しています。投映の明るさは従来の900ANSIルーメンから1000ANSIルーメンまで明るくなり、光源にはAladdin X社としては初めてLEDとレーザーのハイブリッド「Dual Lightテクノロジー」を採用しました。

Aladdin X社はこれまでLED光源を採用していましたが、LED光源は高輝度を実現するのが難しいという一面があります。そこで、レーザーを組み合わせることでより高輝度な映像を実現しているそうです。レーザーとLEDを組み合わせた光源には、レーザー単体の光源と比べて目が疲れにくいというメリットもあるそうです(ここは個人差が大きいところです)。

  • Aladdin Marcaで投映したコンテンツを体験しましたが、けっこう明るい部屋だったにもかかわらず、我が家のAladdin X製品よりパキッとした印象でした。もちろんプロジェクターなので、明るい場所だとテレビよりは映像が薄くなります

  • 0.33インチのディスプレイチップを搭載。映像の解像度は従来と同じフルHDの1,920×1,080ドットです

音響には引き続きHarman Kardon社製のスピーカーを搭載。Aladdin X2 Plusは8W+8Wの中高音ステレオスピーカーでしたが、Aladdin Marcaには8W+8Wに加えて15Wの低音スピーカーを加えました。

今回の発表会では重低音が効果的なコンテンツの視聴体験はなかったのですが、映画などでは迫力のある重低音が楽しめるそうです。Aladdin MarcaはBluetoothスピーカーとしても利用できるので、音響の幅が広がったのはうれしいポイントですね。

  • 背面のインタフェース。入力ポートはHDMI 2.1×2、USB 2.0×2、DC×1、LAN×1。出力ポートには3.5mmジャック×1を用意しています

現在、自宅でAladdin X社の照明一体型プロジェクターを利用している筆者は「Aladdin X社のプロジェクターは照明一体型でジャマにならないのが特徴だったのでは?」と、少々新製品に対して微妙な印象がありました。

しかし、実際にAladdin Marcaを体験すると、ファブリック調で家電感のない本体デザインや、壁(スクリーン)の近くに置ける超短焦点ならではの設置性にひかれました。照明一体型とは違う方法で「ジャマにならない」を実現している製品です。いままで「プロジェクターはジャマだし置く場所がない」とあきらめていた人も、ぜひチェックしてみてください。

  • Aladdin Marcaのリモコン。音声入力機能があり、リモコンに話しかけることで本体のオンオフやアプリの起動といった操作が可能