Ankerのオーディオブランド・Soundcoreから、初となるオープンイヤー型ワイヤレスイヤホンが11月15日に登場します。短時間ながら実機に触れることができたので、ファーストインプレッションをお届けしましょう。

  • Soundcore AeroFit Pro。後ろに見えるのは同梱の着脱式バンド

  • Soundcore AeroFit

どちらも耳掛けのイヤーフックを備え、耳穴をふさがずに音楽を楽しめるワイヤレスイヤホン。装着しながら人と会話でき、家事やランニング中でも安心して使えるのが大きな特徴です。オープンイヤー型のワイヤレスイヤホンは既に各社から登場していますが、Ankerもようやくこのカテゴリーに参入したかたちです。

ラインナップは、普段使いに適するという「Soundcore AeroFit」(16,990円)と、スポーツモデル「Soundcore AeroFit Pro」(22,990円)の2機種。どちらも左右イヤホンが分離した完全ワイヤレスタイプですが、AeroFit Proには左右をつなぐ着脱式バンドを同梱していて、ネックバンド型のワイヤレスイヤホンとして使うこともできます。

  • (左から)Soundcore AeroFit、Soundcore AeroFit Pro

  • 装着イメージ

カラーバリエーションは、AeroFitがブラック、ホワイト、ピンク、グレイッシュブルーの4色、AeroFit Proがミッドナイトブラック、ソフトホワイト、ミントブルー、ディープパープルの4色です。発売日は本体カラーによって異なり、詳細は以下の通り(AeroFitのブラックと、AeroFit Proのミッドナイトブラックは予約販売受付中)。

  • 11月15日発売:AeroFit(ブラック、ホワイト) / AeroFit Pro(ミッドナイトブラック、ソフトホワイト)
  • 2024年春ごろ発売:AeroFit(ピンク、グレイッシュブルー) / AeroFit Pro(ミントブルー、ディープパープル)
  • AeroFit Proのカラーバリエーション。左からミッドナイトブラック、ソフトホワイト、ディープパープル、ミントブルー

  • AeroFitのカラーバリエーション。左からブラック、ホワイト、ピンク、グレイッシュブルー

オープンイヤー型のイヤホンは、「音楽は聴きたいけれど、仕事や家事、スポーツなどで使うので外の音もある程度は聞こえないと困る」という向きにピッタリ。耳をふさがない構造上、ムレや聞き疲れなどが軽減されるので、「耳栓型(カナル型)のイヤホンが苦手」という人にも向いています。

  • AeroFit Proのイヤホン本体

  • AeroFitのイヤホン本体

またAeroFit/AeroFit Proは前述の通り、多彩なカラバリを用意しているので、「オープンタイプが欲しいけど黒ばっかり……」と敬遠していた層にも刺さりそうです(一部カラーは2024年春まで待たないといけませんが)。

今回の2機種は、形状や大きさ・重さだけでなく、搭載しているドライバーのサイズや、対応する防水規格なども異なります。主な違いを以下にまとめました。欲しい機能や、懐具合にあわせて選ぶとよさそうです。

AeroFit

  • 14mmダイナミック型ドライバー搭載
  • 3Dオーディオ対応
  • IPX7防水対応
  • タッチセンサー操作
  • 片耳約8.5g
  • 単体11時間/充電ケース込みで最大42時間再生
  • AeroFitのケースを開けたところ。

  • イヤホンの耳に当たる側はこんな感じ。ドライバー部を覆うメッシュは独特な形状をしているが、特に音響的な効果をねらったデザインではないとのこと

  • AeroFitの充電ケース

  • 充電状況を示す3つの白いLEDがある

AeroFit Pro

  • 16.2mmダイナミック型ドライバー搭載
  • 重低音「BassUp」対応
  • ヘッドトラッキング対応3Dオーディオ
  • IPX5防水対応
  • 物理ボタン操作
  • 片耳約12.2g
  • 単体14時間再生/充電ケース込みで最大46時間再生
  • 着脱式バンド同梱
  • AeroFit Proのケースを開けたところ。やや見えにくい部分だが、イヤホンをしまうとケース内部にある白いLED(中央左右の弧状のパーツ)が光る

  • イヤホンの耳に当たる側のデザイン。ドライバー部を覆うメッシュはAeroFitと同様の形状

  • 着脱式バンドを取り付けるとこんな感じ

  • 着脱式バンドを取り付けて頭に装着したところ

  • イヤホン本体側の着脱式バンド取付部。凸凹のあるマグネットパーツでしっかり固定できる。イヤホン側面には、通話用マイクのメッシュ部が見えている

  • AeroFit Proの充電ケース。外側にある直線上の白いLEDの光り方にも、設計のこだわりを感じる

短時間ながら、実機のサウンドも聴いてみました。

スマートフォンと接続してYOASOBI「アイドル」を流してみたところ、耳穴をふさがないオープン型ながらパンチの効いたサウンドが楽しめました。搭載しているドライバーの振動板の素材は共通でいずれもチタンコーティングを施しており、サウンドの傾向にも大きな違いはありません。Soundcoreアプリと連携して、8バンドイコライザーを使って好みのサウンドに調節することもできます。

オープン型と聞くと「低音が抜けてしまって迫力のない音になるのでは?」と想像しがちですが、個人的にはどちらも必要十分な量がでていると感じました。さらにAeroFit Proのみとなりますが、独自の重低音機能「BassUp」を装備しているので、抜けやすい低音もしっかり楽しめる印象です(なお、BassUpのオン/オフ機能はないとのこと)。

音漏れについては、今回は音量50%ほどの比較的大きめの音量で音楽を聴いていましたが、会場の喧噪の中で説明員に確認してもらった限りでは「全然聞こえなかった」とのこと。図書館や深夜の街中など、よほど静かな場所でなければひとまず安心して使えそうです。

  • 大口径ドライバーを搭載

  • Soundcoreアプリと連携したところ

なお今回は試せていませんが、独自の3Dオーディオ対応という“飛び道具”を盛り込んできた点も、オープン型のイヤホンとしてはユニークなポイント。AeroFit Proは、頭の動きに追従するヘッドトラッキングにも対応するので、コンテンツの楽しみ方の幅がさらに広がります。

  • Soundcoreアプリの画面イメージ

通信面では、どちらもBluetooth 5.3準拠で、対応コーデックはSBCとAAC。内蔵マイクを使ったハンズフリー通話も可能で、通話時のノイズを低減するノイズリダクション機能や、同時に2台のデバイスに接続して使えるマルチポイント機能といった、昨今のワイヤレスイヤホンに求められる基本機能はひととおりカバーしています。

いずれも充電ケースが付属し、USB Type-Cによる有線充電が可能。ワイヤレス充電に対応していないのが残念なポイントですが、ここはコスト面と使い勝手のトレードオフといったところでしょうか。

オープンイヤーイヤホン型のイヤホンは安いモノで1万円台から、上位機種になると3万円台のものまで、既に多数のライバルが存在します。Soundcoreブランドはこの分野ではかなり後発ですが、AeroFit/AeroFit Proの音質や使い勝手の完成度は十分な域に達しており、購入検討時の有力な候補に入ることは間違いありません。

個人的には、機能が充実していて、なおかつ着脱式バンドで完全ワイヤレスイヤホンにありがちな落下・紛失リスクを減らせるAeroFit Proを選ぶ方が幸せになれると思います。機能の多さは求めず、室内限定で使うというのであれば、より手ごろなAeroFitを選ぶのもアリでしょう。