10月22日、生活協同組合パルシステム千葉は、組合員や一般の方を対象にした商品展示会「超えフェス2023」を開催した。商品の試食や販売のほか、生産者や商品メーカー、地域で活動する団体との直接交流といったイベントの内容を紹介したい。

パルシステム千葉「超えフェス2023」とは

毎年秋に開催されるパルシステムの商品展示会。地域ごとに趣向を凝らし、パルシステムの商品を試食・体験できるのが特徴だ。コロナ禍でしばらくリアル開催や試食ができなかったが、今年は各地で試食や直接対話ができるイベントとなった。今回は、その一つ、パルシステム千葉の展示会(通称「超えフェス2023」)に参加した。

「超えフェス2023」会場は、ファイターズ鎌ケ谷スタジアム(千葉県鎌ケ谷市)。パルシステムのカタログやホームページで紹介されている産地や商品メーカーなど約30社が出展した。各社による試食や販売、プロジェクト紹介を通して、参加者と生産者との交流を促すことを目的とする。イベントは組合員のみならず、一般の方も対象としており、パルシステムの商品の良いアピールになっていた。

千葉の米を試食で強力アピール

ズラリと並ぶブースの中で、やっぱり人気があるのは試食。カタログで目にしていた商品を実際に食べられる貴重な機会である。さすが、「産直にこだわり、安全・安心な食材や生活用品」の宅配を行うパルシステムだけあって、どの試食も魅力的。

さっそく千葉県北部で「千葉こしひかり」を栽培している「ちば緑耕舎(りょくこうしゃ)」のブースに。こちらでは、きなこ、あんこの2種の餅を試食。

「農薬は78%、化学肥料は55%削減して、こしひかりを育てています。私たちの⼼意気を知ってください!」と、気⾵がいい。

パルシステムの米といえば、「お米で超えてく」という独自のプロジェクトにも注目したい。日本の田んぼと米生産者を応援しつつ、食料自給率向上や生物多様性の保全を目指している。

その中の一つである「予約登録米」という仕組みもユニークだ。田植え前に組合員が1年分のお米を予約登録することで、生産者が安心して環境保全型農業に取り組めるという意義がある。

予約登録米としては、「秋田あきたこまち」も人気だ。「秋田南部圏・食と農推進協議会」というグループも秋田からはるばる駆けつけ、米とともに秋田特産の「雄勝りんごジュース」などをアピールしていた。

米にはカレー!海もあって魚も美味

ここは海も里山もある千葉。米だけでなく、おいしい「地物」だらけなのである。

スパイス料理研究家の印度カリー子さんもブースを出展し、「万能ザクザク食べるカレー」などを宣伝していた。これがなかなかのアイデア商品で、スパイスのザクザク食感が楽しい。

印度カリー子さんは、「ご飯にのせるだけでカレーになります。料理も何もやる気がない時などにお勧めです」とのこと。

やっぱり、おいしい米にはカレーを合わせるしかない。

とはいえ、魚も美味。組合員が商品づくりに参加する商品開発チームが1年ぐらいかけて開発した「さばの味噌煮」は、西京味噌と信州味噌をブレンドし、隠し味に醤油を使った人気商品。

パルシステム組合員でないと購入できない品だが、当日はイベント限定の特価で販売され、「さばのみぞれ煮」「しめさば」などもよく売れていた。

「産直大葉ノンオイルドレッシング」も目を引いた。もともとあった人気商品だが、「味が甘すぎる」「もっと大葉の風味を!」といった組合員の声を取り入れて、このほどリニューアルとなった。

増粘剤などの添加物を使わず、寒天を使うことでとろみを出す、砂糖を花見糖に変更など、細部まで配慮が行き届いた一品だ。

ステージイベントで盛り上がる

試食や販売だけでなく、こども食堂団体によるブースもあった。

パルシステムは貧困問題にも取り組んでおり、組合員の協力も得ながらこども食堂やフードバンクなどの支援団体に商品寄付を行っている。「超えフェス2023」の盛り上がりは、パルシステムの真摯な商品開発に対する姿勢や社会貢献活動に対する、消費者の共感の表れなのだろう。

会場にはステージが設けられ、地元中学校の吹奏楽部による演奏で盛り上がったのち、理事長の髙橋由美子さんからの挨拶があった。

「パルシステムでは、商品を『つくる人』と『たべる人』が顔を合わせ、お互いの想いを伝え合うことを大切にしてきました。そのつながりから生まれた商品が、それぞれのくらしや地域、社会をより豊かにしています。この商品展示会に参加した皆さんに、その出会いやつながる楽しさ、もっといい明日になりそうと希望を感じてもらい、これからも一緒に商品をつくり、利用し続けてもらえたら嬉しいです」と、今後の展望を述べた。

来場者約1,500人と、大盛況だった「超えフェス2023」。近年、環境や人権に配慮したエシカルな商品への意識が、消費者の間で高まっている。今後は11月5日に静岡・新潟、11月11日に埼玉、11月25日に神奈川でも商品展示会が予定されている。