セダンの人気がなくなってはや幾年月。街中を走っているのはSUVやミニバンなど、背の高いクルマたちがほとんどだ。そんな中、BMWが「ジャパンモビリティショー2023」(会期は11月5日まで)に持ってきたのが、先月の「IAAモビリティ」(ドイツのモーターショー)でワールドプレミアしたばかりのセダン「ビジョン・ノイエ・クラッセ」(Vision Neue Klasse)。アジアでは初公開となる。どんなクルマなのだろう。

  • BMW「ビジョン・ノイエ・クラッセ」

    「ビジョン・ノイエ・クラッセ」が日本に降臨!

昔の名前で登場

「ノイエ・クラッセ」とは、1961年にフランクフルトの国際モーターショーでBMWが発表した中型セダンに付けられた愛称だ。「ノイエ」は「ニュー」、「クラッセ」は「クラス」を意味する。

昔のノイエ・クラッセは、シンプルかつ美しいスタイルの4ドアセダンだった。フロントは中央に一対のキドニーグリル、左右に丸型ライトを配していて、サイドから見るとサメの鼻先のような逆スラントのラインになっていた。もうひとつの特徴は、Cピラー手前に「ホフマイスター・キンク」と呼ぶデザインエレメントを採用していたこと。これらが以降のBMW車のアイコンとなり、優れた走りのスポーツセダンとして3、5、7シリーズへと進化していったのだ。

今回のヴィジョン・ノイエ・クラッセはどんなクルマなのか。ジャパンモビリティショーに合わせて来日したBMWのオリバー・ツィプセ会長は「このクルマは完全に新しいモデルジェネレーションで、デジタライゼーションとサステナビリティに完全対応できるBEVです」と紹介した。

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  • 「ビジョン・ノイエ・クラッセ」は完全なニューモデルだとツィプセ会長

もう少し詳しく知りたいところだ。デザイン責任者のエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏が何を語ったかは以下の通り。

「テクノロジーにおける大きな前進は、常にデザインにおける大きな変化のきっかけとなり、それはBMWの本質を引き出すとともに未来に導きます。その最初のヒントが、このヴィジョン・ノイエ・クラッセなのです。ダイナミックさとショートオーバーハングを強調した2.5ボックススタイルの全てが、BMWであることを物語ります。フロントフェイスは新しい解釈となり、新型のライトシグネチャーがBMWのアイデンティティを表現しています」

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  • 新しさと伝統が同居する「ビジョン・ノイエ・クラッセ」のエクステリア

かなり概念的な話だ。では、インテリアはどうなのか。ホーイドンク氏の解説だ。

「インテリアはとてもクリーンで、明るく心地よいものになりました。ヘッドアッププロジェクションの経験値を取り入れたBMWパノラミックビジョンディプレイによって、フロントウインドーの幅いっぱいまで情報が表示できます。同乗者も見ることができる設計です。操作は特徴的なスタイルを持つステアリングの右スポークを使います。ドライバーは手を離すことなく、視線を前方に向けたまま操作できます」

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  • フロントウィンドウに横に大きく広がるディスプレイを投影する「BMWパノラミックビジョンディプレイ」。ヘッドアップディスプレイをガラスに映すクルマはほかにもあるが、この大きさは先進的だ

BEV(電気自動車)としてビジョン・ノイエ・クラッセはどのくらい走るのか。ホーイドンク氏は「航続距離は30%増え、充電は30%早く、効率は25%向上しています」と話していた。

  • BMW「ビジョン・ノイエ・クラッセ」

    左からBMWジャパンの長谷川正敏社長、BMWのツィプセ会長、ホーイドンク氏。ブースの背景には東京タワーと富士山が描かれていて、日本に向けての力に入れようがわかる

次期「3シリーズ」か?

実際に大人4人が乗り込んだ様子を見てみると、室内は決してゆったりという感じではなくそこそこのタイト感があるものの、広いグラスエリアによる開放感もある。サイズ的には次期「3シリーズ」というイメージだ。ちょっと演出が過剰になりがちな国産メーカーのコンセプトカーたちに比べると、ヴィジョン・ノイエ・クラッセはシンプルでクリーンなスタイルが目を引く。キドニーグリルやホフマイスター・キンクは伝統を失っていないけれども新しい。

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    「ビジョン・ノイエ・クラッセ」に大人4人が乗車している様子

ビジョン・ノイエ・クラッセの市販車バージョンは2025年に登場すると伝えられているので、期待が膨らんでしまう。スタイルはこのままでOK。BMWのスポーツセダンは、やっぱりカッコいいのだ。

  • BMW「ビジョン・ノイエ・クラッセ」
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