アイドルグループ・Sexy Zoneの佐藤勝利が、舞台『モンスター・コールズ』の主演を務めることが30日、明らかになった。
原作は、アメリカの作家パトリック・ネスが、シヴォーン・ダウドの遺したメモに自由な発想で肉付けして書いた挿絵(絵:ジム・ケイ)付きの小説。英国で最も権威ある児童文学賞と言われるカーネギー賞(現:カーネギー作家賞)と、その絵に対しての賞であるケイト・グリーナウェイ賞(現:カーネギー画家賞)を同時受賞し、ベストセラーとなった。2016年には映画化され(邦題『怪物はささやく』)世界的に高い評価を受け、その後18年に英国のオールド・ヴィック・シアターで舞台版が初演を迎えた。19年のローレンス・オリヴィエ賞で「Best Entertainment and Family」(現:Best Family Show)を受賞し、22年にはイギリス・ロンドン、ブリストル、アメリカ・ワシントンと各地で上演され、絶賛を博した。
オリヴィエ賞を受賞した翌年の20年に日本での初演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により上演は断念。4年の時を経て、英国チームと日本人キャストというワールドワイドな取組みにより、日本初上演を迎える。演出を務めるのは、18年の初演時の演出家であり、今作が日本での初演出となるイギリスの演出家、サリー・クックソン。俳優として10年活動したのち演出家となり、いくつもの劇場で数多くの作品を手掛け、映画監督としても活動、さらにブリストル・オールド・ヴィックのアソシエイト・アーティストとして、同劇場で『ジェーン・エア』や『眠れる森の美女』など数々の作品を演出し好評を得る、新進気鋭の演出家。本作の演出では、視覚的な美しさとダイナミックなムービング、吊りロープで縁取られたむき出しの白いステージを使用し話題を集めた。
主演を務める佐藤は、圧倒的な存在感を放ちながらもどこか儚い空気を纏い、孤独と絶望に苛まれる13歳の少年・コナーを演じる。コナーの家に現れる謎めいたモンスター役には山内圭哉、末期癌を患っている母親役に瀬奈じゅん、コナーと離れて暮らす父親役に葛山信吾、母親の入院中にコナーの面倒を見ることになる祖母役に銀粉蝶と、日本初演に向けて手練れの俳優陣が勢揃いする。
■あらすじ
コナー・オマリー、13歳。窓からイチイの木が見える家で、母親との二人暮らし。
だが、母親は闘病中で、そのために、コナーとは気の合わないおばあちゃんが、世話に来てくれている。
父親は、アメリカに新しい家族を作って出ていった。学校では、母親の病気がもとで、いじめられている。
唯一コナーを気遣う幼なじみのリリーとも不仲になり、孤立している。
それは、夜中過ぎにやって来た。モンスターがコナーの前に現れ語る。
「これから三つの物語を聞かせる、私がその三つの物語を語り終えた時、お前が四つ目の物語を私に聞かせるのだ。
そして、それはコナーが隠している真実でなければならない。
お前は真実を語る、そのために、お前は私を呼び出したのだ。」と。
投薬を変えても病状が良くならない母親。ついには、入院することになり、コナーはおばあちゃんの家に預けられる。
時計が12時7分になる。闇の中で待つモンスターが最初の物語を語る。
エスカレートするいじめ、学校の先生からも腫れ物に触るように扱われている。
急きょ、アメリカから帰国する父親。日に日に悪化する母の病状。
時計が12時7分を指すとき、第二、第三の物語が語られる。
そして、コナーは、四つ目の真実の物語を語ることが出来るのだろうか?
12時7分には、どんな意味があるのだろうか?
■パトリック・ネス コメント
舞台『モンスター・コールズ』は、小説『A Monster Calls(邦題:怪物はささやく)』同様に多くの共同作業を伴う企画でした。当初は、優れた作家だった故シヴォーン・ダウドの原案から着想を得て小説を書き、それにジム・ケイの素晴らしい挿絵を入れたので、私たち3人の作品だと思っていたのですが、その後、演出家のサリー・クックソンと脚本家のアダム・ペックから、小説を翻案して、キャストとスタッフが稽古でアイディアを積み重ねながら舞台作品を作りたいという話があったときは、またとない素晴らしい企画だと思いました。私自身も頻繁に稽古場に足を運び、キャスト、デザイナーやミュージシャンが協力し合ってユニークな舞台作品を作り上げていく過程をワクワクしながら見守りました。こうして、ごくシンプルな小道具と何もない白い舞台空間から、細やかな演出によって、魅力に溢れ、感情に深く訴えかける演劇作品が生まれたのは、私にとって最高に幸せなことであり、ものすごく誇りに思っています。この作品を日本のお客様にお届けするのを楽しみにしています。
■サリー・クックソン コメント
最初に読んでから何年経っても心に残る物語があります。本作『モンスター・コールズ』の原作『怪物はささやく(原題:A Monster Calls)』もその一つで、まるで強力な薬のように、愛、喪失、癒しといった普遍的なテーマが心の底に深く染み入って残ります。その舞台化を手がけられたのは光栄でしたが、今度は日本のキャストとスタッフと共にこの作品に再び命を吹き込むチャンスも舞い込んできたのでわくわくしています。これほど運に恵まれるとは思ってもいませんでした。充実した文化交流や、異なる視点で物語を模索するのをとても楽しみにしています。私は作品を創作する際に共同作業を大切にしているので、今回は言葉の壁はあるものの、俳優たちと密接にコミュニケーションをとっていくつもりです。俳優の身体と心の中に物語が息づくことが求められ、それを実現するためには一緒に深く掘り下げていく必要があります。パトリック・ネスは、(シヴォーン・ダウドが癌で亡くなる前に書いた原案をもとに)この物語を書いた経験を「バトンを渡された」と言い表しています。次は私がパトリックから渡されたバトンを手にしてPARCO劇場に向かって走り、この作品の日本版に一緒に取り組むカンパニーの皆さまに手渡すことになるので、今から楽しみにしています。 ##■佐藤勝利 コメント
情報解禁の今日、実は僕の誕生日なので、記念日に発表できるなんて嬉しいです(笑)。
海外の方々との作品創りは初めてで、演出の仕方もきっと違うと思いますし、刺激的な日々になると思いますので、楽しみです。今までに経験したことのない、思いもよらないリクエストやアドバイスをいただけると思うと、ワクワクします。サリーさんが演出されたイギリスのオリジナル版の舞台映像を拝見した時に感じた海外作品っぽさ、それと同時に感じた再現することの難しさ。今までにないことに、挑戦できることを楽しみにしています。
実はこの作品は、2020年に上演される予定で、お話も伺っていました。原作や台本も読んでいて、このような作品に出られるなんて光栄だと思っていたところ、残念ながら、コロナ禍となり発表されることもなく延期となってしまっていました。この4年の間に自分の経験値も期待値も上がっていて……、それと比例するようにプレッシャーも大きくなってはいます。ただ、そのプレッシャーをいい作品にするエネルギーに変えてがんばりたいです!
今日で、また1つ歳も重ね、コナーという役の13歳とはまた離れてしまったのですが、僕はデビュー当時からあまり顔が変わっていないと言われることがあるので(笑)、見た目的には心配ないのかなと思っています。今までで演じた中でも一番若い役ですが、『ブライトン・ビーチ回顧録』で14歳の役をやっているので、その経験を活かしながら創り上げたいと思います。
家族愛を描いた作品で、コナーは特に心の動きが大きい役です。セットの仕掛けなどワクワクするところも多く、ダークファンタジーの良さが詰まった作品になると思いますので、楽しみにしていてください!