ユーグレナは、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスの利用者2万1,371人のゲノムデータをもとにした「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」を公開した。
ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスは、個人の健康リスク・体質・祖先について350項目以上の遺伝子型を解析し、どのような病気にかかりやすいか、どのような体質の遺伝的傾向があるかについて結果を提供するサービス。遺伝子解析サービスの利用者の中から20,000人以上のゲノムデータを用いて、ダイエットの観点から脂質代謝に関わる遺伝子の遺伝子多型と肥満傾向・体質の関係をみた項目「ダイエット【脂質代謝】(SNP: rs651821)」に注目し、解析した。
今回の調査では、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ」である「CT」と「CC」の遺伝子型を「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」とし、この遺伝子タイプに該当する人の割合を都道府県(出生地)別に算出し、数値化した。
上記の解析結果より、「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」の人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 沖縄県、2位 佐賀県、3位 鹿児島県、4位 秋田県、5位 島根県、6位 福島県、7位 宮城県、8位 山形県、9位 宮崎県、10位 新潟県となり、九州や東北各県が上位に入った。
東京大学の研究チームが2023年2月にアメリカの科学誌「アイサイエンス(iScience)」のオンライン版で発表した研究論文では、縄文人由来の遺伝子多型を多く持っている、つまり「縄文度」が高い地域として、一番高いのは沖縄県で、次いで東北各県や九州では鹿児島県、中国地方では島根県と報告されている。これは当社の今回の調査による「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」の上位に入った地域と非常に似ていることが見て取れる。
なお、縄文人由来の遺伝子多型である「血糖値および中性脂肪を高める」遺伝的因子は、現代の日本人にとっては肥満の要因となるものの、縄文人にとっては、血糖値や中性脂肪を高く維持することで常に食料を入手できるわけではない狩猟採集生活に適応していた可能性があると考えられている。
今回の調査で遺伝子解析項目「ダイエット【脂質代謝】(SNP: rs651821)」に関して、日本人における遺伝子型の割合は、「標準型に多いタイプ(遺伝子型: TT)」が42.6%、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型: CT)」が45.6%、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型: CC)」が11.8%だった。つまり、日本人の約6割が「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」に該当することが分かった。