お金の増やし方は大きく分けて「収入をふやす」「節約をする」、そして「投資をする」の3つ。マイナビニュース編集部では、さまざまな“お金の達人”たちが実践してきたお金の増やし方を紹介しています。今回は、有望な“ボロ物件”を見定めDIYによって「低コストで高利回りの物件」に変貌させる、不動産投資に注目。貧困家庭で育ち高校を中退、工場勤務のかたわらで不動産投資を始め、いまや総資産1億円という不動産投資家・みわ氏の、意外なほど堅実な投資術についてお話をお聞きしました。
貧困家庭で学費が払えず高校中退。工場勤務の副業で、30歳から始めた不動産投資
僕の父親は病弱で、母親が新聞配達をしていて僕も小学校の頃から手伝っていたような家庭環境でした。高校は学費が払えずに1年で退学して、地元のウナギ工場に就職。4年前まで働いていました。副業を考え始めたのは、26歳の時です。中国から来ていた外国人技能実習生の方と結婚を考えた時に、当時月収が約17万円で貯金が60万ぐらいしかなかったので、生活が大変だなと思ったのがきっかけです。最初はヤフオクの転売から始めて、アフィリエイトもやったりして、当時は規正が緩かったのもあって月30~50万円の利益が上がったんですよ。ただ結婚話はなくなってしまったんですが、気づくと貯金が460万ぐらいに増えていました。
不動産を始めたのは30歳の時です。あるビジネス誌に「300万円のアパートを買って、年間300万円の収入がある」という人の記事が載っていて、興味を持ったのが始まりです。そこから気になって、有名な不動産投資家の方たちに、直接話を聞いてみて始めることにしました。
不動産投資を始めて8年経った現在、総資産は1億円を超えました。家賃年収は4,668万円。手取りで3,000万ぐらいだと思います。4年前の34歳の時にいわゆるFIREして、現在はYouTube配信やコミュニティー運営をしながら主夫をしています。
築50年戸建て100円の物件からスタート。最初は3軒中2軒で失敗
不動産は、やりながら感覚をどんどん飲み込んでいく感じなので、最初は失敗もしました。最初に購入したのは、ネットで見つけた築50年の戸建てで、250万円で売りに出されていた物件。安いだけあって、カビだらけで床は抜けているし、人が住めるのか分からないぐらいの状態でした。これを買っていいのか判断がつかなくて、いろいろな人に話を聞くと、「100万ぐらいなら買っても大丈夫じゃないか」ということで、交渉してみたら100万円で通っちゃったんですね。
それでも迷って、ある投資家さんの1時間1万円の電話相談に申し込んだら、「100万円だったら自分が欲しいぐらいだよ。なんで迷うの?」っていう感じで。あ、そういう温度感なのかと思って買うことにしました。結果、購入費とリフォーム代など合計220万円ぐらいかけて、半年後に家賃5万円で入居者さんが入って、7年間持って売ったんですよ。315万円で売れたので、投資としては成功でした。
1棟目を購入した1ヶ月後に、6部屋あって400万円のアパートを300万円で購入しました。ここは元々風呂なしだったけど、風呂をつけたらいけると思って買ったら、思ったより風呂をつけるのにお金がかかったんですよ。しかも場所が悪くて、車社会の地方なのに、車で家まで行けない物件だった。結局、手つかずのまま入居者も募集できなかった失敗例ですね。しばらく持っていて5年後に売りに出したんですけど、今でも売れ残っています。
3棟目はメゾネットタイプのアパートを1室780万円で購入しました。4DK駐車場ありで6万円ぐらいの家賃を見越して買ったんですけど、あとで調べてみると、近くに同じような間取りで、3万円台で住める市営住宅が建っていたんですよ。なので家賃を下げるしかなくて、4万5,000円で募集してようやく埋まったので、収支が合わず、これも失敗でした。
ボロ物件から“わらしべ長者”的に資産1億に
最初に“ボロ物件”から始めたのは、利回りがとにかく高いから。投資額に対して年間何%回収できるかの指標を利回りと言うんですけど、ボロ物件は購入金額が安い分、利回りがいいんです。普通10%でも高いと言われるところ、僕の場合だと1棟目は30%ぐらいありました。
まずは“ボロ物件”から始めて、その物件を売ったお金を元手にもう少し高い物件……と、わらしべ長者的的に買い続けていくんですよ。そのうち収入の基盤が整ったら、利回りが下がってもいい場所で築浅のものを購入するフェーズに入る。僕の場合、3年目で2,400万、その次は3,000万とどんどん大きくなって、7年目の去年には築26年4階建て物件を1億2,000万で購入しました。
不思議なもので、最初の1棟目の時は1時間1万円の電話相談をしながら悩みましたけど、1億の物件を買う時の判断は簡単にできました。7年ぐらいやってると、いける物件かどうか感覚で分かってくるんです。
不動産投資はハイリスク・ハイリターン、ではない!?
不動産は購入金額が高いのでハイリスク・ハイリターンだと考える人もいますけど、実は飲食店を始めるよりも収入は安定しています。飲食店だと、1年間の売上げが流動的で予測つかないですよね。でも不動産は、入居者の出入りはそんなに活発じゃないので、年間入ってくる家賃収入は安定してるんですよ。火事や地震などの天災があっても保険がありますし、不動産はよっぽどじゃないと大失敗しない堅実な投資だと思います。
例えば先ほどの1億2,000万の物件でいうと、1ヶ月の家賃収入100万で、月の返済額は約53万円。諸々経費をマイナスして手残りは約40万円くらいあります。しかも、僕の感覚ではこの物件は売る時には1億5,000万円にはなるので、返済が進むほど、売る時に増えて戻ってくる感覚なんです。“返済は見えない貯金”って言われるんですけど、不動産投資をやっている人が資産を持っているのはこういう原理なんです。
不動産で失敗があるとしたら、僕が最初にやってしまったような「入居が見込めない物件を買ってしまう」ことぐらい。あとは、営業の人に勧められるままに新築ワンルームを購入してしまうこと。マンションってお金を借りやすくて、営業の人にとっては売りやすいんですよ。でも買った人には何も残らないので注意ですね。
成功の鍵は自分の足で動くことと人脈作り-結果が出せない人の特徴とは
不動産投資家の中でサラリーマンの方が副業としてやっている割合は多くはないですけど、副業で始めた人は、ほとんどが5〜6年で不動産だけで生活が成り立つようになっていると思います。
結果が出せない人の特徴は、自分で動かず、人脈がない人。僕も始めたころは、有名な不動産投資の人が開く飲み会に参加したり、直接会いにいっていました。その時に10人ぐらいに話を聞いて、皆さん総じて穏やかで、やってよかったという話しか聞かなかったので始めようと決心できました。逆に、YouTubeやブログだけを見て人に会わない人は上手くいかないと思います。
不動産って、基本的にいい物件が買えたら上手くいくんですよ。不動産で儲ける人って、いい物件を紹介してくれる人を探せる人なんです。そういう人とつながることができれば、待っていても情報がくる。紹介してくれる人は、気持ちよく取引できる人、やりやすい人に情報を持っていきたくなるじゃないですか。だから人となりがいい人とかコミュニケーション力が強い人は好かれるし、情報も入ってきやすくなると思います。
基本的に、普通の会社員であれば誰でもできると思いますよ。300万ぐらい貯金があるとスタートしやすいですけど、なくてもお金を借りることができればできます。不動産投資を考えている人は、とにかく早くやった方がいい。投資した分の返済が進めば進むほど、売った時の利益が違うので、2年前に始めるのと今始めるのとでは結構な差が出てきます。
34歳でFIRE、現在はYouTube配信をしながら、もっぱらのんびり主夫ライフ
4年前に会社を辞めた時の給料は手取りで約20万だったんですけど、今考えたら月曜から土曜日まで1日8時間拘束されて20万はひどいんじゃないかと思います(笑)。仕事自体は嫌いじゃなかったけど、戻りたくはないですね。今は時間の使い方が自由にできていいなと思います。
不動産投資している人には海外に行ったり、沖縄に行ったりする人もいますけど、僕は環境が変わることが合わなくて、この前ハワイに1週間行った時も現地で帯状疱疹になっちゃいました(笑)。みんな、不動産である程度安定した収入が入ってきて自分の中で余裕ができてくると、自分が心からやりたいことが見えてくるんだと思います。
最初にお話したように、僕は育った環境が普通の生活じゃなかったので、普通の生活をすることが一番やりたいことでした。今は朝ゆっくり過ごして、YouTube配信をやったりコミュニティーの運営をやる以外は主夫をやっています。奥さんがずっと仕事しているので、僕が家にいてごはんを作って待ってるんですけど、それが楽しいんですよね。