近年、取り回しがしやすい軽量コードレススティッククリーナーが次々と登場しています。多くの製品は軽量化とともにゴミ収集容量も減り、掃除環境によっては頻繁なゴミ捨てが必要です。

このゴミ捨て問題を解決したのが、2021年に登場したパナソニックのセパレート型コードレススティック掃除機(他社にも同じコンセプトの掃除機があります)。クリーンドック(充電台)に掃除機をセットすると、掃除機本体に溜まったゴミを自動でドックへと収集してくれる仕組みで注目を集めました。

そして11月下旬から、このセパレート型コードレススティック掃除機の新製品が発売されます。新モデルは生活スタイルに合わせて「MC-NX700K」「MC-NS100K」「MC-NS70F」という3つのモデルを用意(MC-NX700Kは2024年3月発売予定)。モデルによる違いを中心に、パナソニックにて実機をチェックしてきました。

  • 写真左から、MC-NX700K、MC-NS100K、MC-NS70F。価格はいずれもオープン。推定市場価格は、MC-NX700Kが80,000円前後、MC-NS100Kが65,000円前後、MC-NS70Fが55,000円前後

    写真左から、MC-NX700K、MC-NS100K、MC-NS70F。価格はいずれもオープン。推定市場価格は、MC-NX700Kが80,000円前後、MC-NS100Kが65,000円前後、MC-NS70Fが55,000円前後

スタンダードなバランスタイプモデルは長時間掃除に対応

3モデルの内訳は、パワー&スタミナタイプの「MC-NX700K」(80,000円前後)、バランスタイプの「MC-NS100K」(65,000円前後)、フローリング特化の「MC-NS70F」(55,000円前後)です。

各モデルとも掃除機本体をクリーンドックにセットすると、掃除機本体内のゴミを自動的に吸い上げてクリーンドック内の紙パックに溜める仕組み。紙パック容量は0.8Lで、標準的な家庭ならば約1カ月のゴミ捨てが不要になります。MC-NX700KとMC-NS100Kのクリーンドックはパナソニックのイオン技術「ナノイーX」機能を搭載。長時間ゴミを溜めていても臭いが気になりにくい仕様です。

  • 写真は基本となるバランスタイプのMC-NS100Kと、フローリング特化型MC-NS70Fのクリーンドック。クリーンドックはヘッド収納部が床と滑らかに続いているため、掃除機を出し入れするときに「持ち上げる」動作がいりません。掃除の延長で格納でき、引っ張るだけで引き出せる手軽さも特徴

【動画】紙パックは3モデル共通で0.8Lタイプの「AMC-U2」を使用。紙パックなのでゴミ捨て時にホコリが舞わないほか、直接紙パックを触らない工夫も
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 3モデル共通でクリーンセンサーを搭載。目に見えないゴミも検知し、ゴミがある場所は赤く点滅、キレイになると青色に点灯します

今回は3つのモデルが発表されましたが、このうち2021年発売の従来モデル「MC-NS10K」の後継となるのはバランスタイプのMC-NS100Kです。

  • 純粋な後継モデルとなるMC-NS100K。本体サイズは幅213×奥行き130×高さ1,045mm、本体の重さは1.5kg。バッテリー駆動時間はHIGHモードで約6分、AUTOモードで約10~15分

MC-NS100Kは、ホウキのようなストレートハンドルタイプのスリムな本体。見た目も機能も従来モデルとほぼ同じです。クリーンドックのゴミ自動収集時の音がやや(-4dB)低くなったほか、バッテリーの着脱がワンタッチになるといった改良が入りました。

従来モデルのバッテリーは着脱に工具が必要だったのですが、新モデルは工具なしでサッとバッテリーを外せます。別売りの予備バッテリーを購入すれば、長時間使用にも対応しやすいというメリットがあります。

  • 本体前面のバッテリーカバーがワンタッチで取り外し可能に。予備バッテリーへの交換も簡単になりました

ヘッド内のブラシには、継続して「からまないブラシ」を採用。ヘッド両端に円すい型ブラシを配置することで、ブラシに毛が絡んでも自動的に中央へと毛が集まり、掃除機に吸引される仕組みです。

新モデルのMC-NS100Kはヘッド内にイオンプレートを内蔵するようになり、このプレートがマイナスイオンを発生して静電気を抑え、ゴミを取れやすくします。これにより、フローリングの床に張り付いたハウスダストや菌を床から引きはがし、既存製品よりもツルツルに掃除できるようになるそうです。

  • MC-NS100Kのヘッド裏。ヘッド内にイオンプレートを内蔵。フローリングの菌まで拭き掃除をしたように清掃できるそう

フローリング特化モデルは隙間の形にあわせて変形するヘッド

スタンダードなMC-NS100Kも軽量コンパクトではありますが、新モデルではさらに軽いフローリング特化タイプの「MC-NS70F」が登場。スティック時の重さは約1.2kgとなり、従来モデルと比較して約300gの軽量化を図っています。

軽量化のためか、ヘッドは回転ブラシ非搭載の吸い込み専用ヘッドです。このモデルは基本的に「フローリング(かたい床)の掃除」を目的としており、カーペットやラグの掃除には向いていません。

  • 軽さとコンパクトさ、狭い場所の掃除のしやすさに特化したMC-NS100K。本体サイズは幅214×奥行き152×高さ1,045mm、本体の重さは1.2kg。バッテリー駆動時間はHIGHモードで約6分、AUTOモードで約10~15分

MC-NS70Fは仕様的にはスタンダードタイプのMC-NS100Kとほぼ同じですが、唯一大きく異なっているのがヘッド構造です。MC-NS70Fはヘッド内に回転ブラシを内蔵しないほか、なんとノズル部分が自由自在に「変形」する新ギミックを搭載。吸い込み口を中心に、左右に張り出したノズルが前後に動きます。狭い隙間もヘッドをグイッと押し込んで掃除できます。

  • 新しい構造の変形するヘッド。左右の出っ張りが前後に回転し、狭い隙間にもスポッと入り込みます

【動画】フローリング専用のこの掃除機、ヘッドが変形して狭い場所へも入ります。障害物が多い部屋も掃除しやすい機構です
(音声が流れます。ご注意ください)

しっかり掃除をしたい人に向けたハイパワータイプ

ゴミ捨てがないのは便利だけど、家じゅうをしっかり掃除するには駆動時間などに不安がある……。そんなニーズに応えてくれるのは、パワー&スタミナタイプの「MC-NX700K」。

これまでのセパレート型掃除機はスッキリした本体デザインが特徴のひとつであり、ハンドル部分はホウキのようなストレート形状でしたが、MC-NX700Kは一般的なコードレススティッククリーナーのような、長時間掃除をしても疲れにくいリング型のハンドルデザインです。

  • パワフルな吸引力とバッテリー持続性能の高さが魅力のMC-NS100K。本体サイズは幅253×奥行き193×高さ1,130mm、本体の重さは2kg。バッテリー駆動時間はHIGHモードで約10分、AUTOモードで約16~28分、LONGモードで約35分/約70分

本体が大きくなったぶん、MC-NX700Kはスタンダードタイプよりもハイパワーなモーターを搭載して吸引力をアップ。さらにバッテリー容量も大きく、バッテリー駆動時間は最大70分まで延びました。家じゅうをしっかり一気に掃除したいというニーズに応えてくれるモデルです。

  • 駆動時間が延びたうえ、別売の予備バッテリーとの交換も可能。バッテリー容量を気にせず長時間の掃除ができます

ところで、MC-NX700K以外のセパレート掃除機は基本的にヘッド近くにモーターやバッテリーを配置した下重心タイプの掃除機です。本体内のゴミ収納スペースも床に近い位置に配置されており、クリーンドックの大きさも抑えることができていました。

一方、パワーと使い勝手を重視したMC-NX700Kは、手元近くにモーターやバッテリーを配置した上重心タイプ。このため、MC-NX700Kのみクリーンドックの形状が他モデルと異なります。

ゴミ収納スペース位置が手元にあるためドックの背が高くなり、掃除機の出し入れにも少しだけ「持ち上げる」動作が必要です。「自動でゴミを収集する」というメリットは大きいものの、セパレート掃除機ならではの「出し入れの手軽さ」は残念ながら減っています。MC-NX700Kはパナソニックの以前からあるセパレート型掃除機というよりも、「自動ゴミ収集機能を搭載したパワフルなコードレススティック掃除機」という印象です。

  • 左からMC-NX700K、MC-NS100K、MC-NS70Fの掃除機本体。MC-NX700Kのみ上重心タイプの掃除機です

以上、新セパレート掃除機3モデルのファーストインプレッションでした。どんな場所でもそつなく掃除するバランスタイプのMC-NS100K。パワーに物足りなさはあるものの、掃除のしやすさで「掃除が面倒」というストレスを減らしてくれそうなフローリング特化のMC-NS70F。手軽さは減ってしまったものの、パワーとスタミナの安心感あるMC-NX700Kと、どのモデルも特徴的。いずれの製品もメリットとデメリットがありますが、自分の生活スタイルを考えながら選べるところに注目です。