日向坂46の齊藤京子がドラマ単独初主演を務める『泥濘(ぬかるみ)の食卓』(テレビ朝日系 毎週土曜23:30~)が現在放送中だ。伊奈子氏によるコミックを実写ドラマ化する同作は、“毒親”に育てられたことで「自分には何の取り柄もない」と思い込む自己肯定感の低いスーパーの店員・捻木深愛(ねじき みあ)がバイト先の店長と禁断の恋に落ち、やがて店長の息子、店長の妻と、愛する相手の家庭へ徐々に寄生して泥濘へと引きずり込んでいく“パラサイト不倫”を描く物語。

今回は齊藤がドラマ単独初主演の喜びや意気込み、原作の魅力、そしてファンや後輩への思いを語った。

  • 日向坂46・齊藤京子 撮影:泉山美代子

    日向坂46・齊藤京子 撮影:泉山美代子

■ヒコロヒーからの激励に喜び

――ドラマ単独初主演おめでとうございます! 初めて知ったときの心境を教えてください。

マネージャーさんと打ち合わせをしていたときに「決まったよ」と教えていただきました。坂道グループでのドラマには何度か出演させていただいたことがあるんですけど、単独で出演すること自体初めてだったので衝撃でした。今年の最初に「ドラマに出てみたい」とブログに書いたので、本当に夢が叶ったんだなという気持ちです。単独主演も初めてのことなので想像がつかず、こんな大役を任せていただいていいのか……。本当に光栄で、感謝してもしきれません。今も、まだ実感が湧かずふわふわしていて。撮影中はドキドキしたままなんじゃないかなと思います。

――初主演を務めることは、どなたかに報告されましたか。

『キョコロヒー』(テレビ朝日系)で一緒にMCをしているヒコロヒーさんに報告しました。お食事に行ったときに自分の口から伝えたのですが、自分のことのように喜んでくださって、「絶対に頑張れ」と言ってくださいました。より頑張りたいなと思えましたし、すごくうれしかったです。

――『キョコロヒー』といえば、「嫌なギャル役」が上手いと評判ですが、引き続きこの役でのオファーも受け付けていますか。

一回はやってみて、また番組でイジられたいですね(笑)。

齊藤京子

■天海祐希のアドバイス胸に「自分と違う役」へ挑戦

――原作の感想を教えてください。

出演が決まってすぐ全5巻を買って読みました。本はあまり読めないタイプだったのですが、一気に最後まで読んで、もう1周読み返すほど面白かったです。深愛はとてもかわいらしいキャラクターで、一緒に深愛を作り上げている衣装さんやメイクさんとも、いつも「本当にかわいいよね」と話しています。

――改めて物語の魅力に感じたところを教えてください。

登場人物一人ひとりの人生にフォーカスして、深く見てみたいと感じるくらい、皆が個性あふれるキャラクターばかりですごく面白いです。

――深愛の役作りで気をつけたことは。

私は声が低くてトーンも一定で、深愛はこんな声じゃないだろうと、声色から変える努力をしました。監督とも相談して、声のトーンを明るめにしたり、語尾を上げてかわいらしく台詞を言ったりしています。普段はサバサバしていて落ち着いた声に聞こえるとよく言われるので、自分とは真逆だからこそ難しくもあり、やりやすさもありますね。声以外にも、些細なところで孤独な雰囲気を出したり、可哀想だと感じるような仕草を取り入れています。出演が決まったときは髪も今より短かったので、撮影までに深愛と同じ長さにしたいと思って伸ばしました。深愛のコマをスクリーンショットして、こんなときこんな服を着るんだ、こんなときこんな表情をするんだと、研究を続けています。

――真逆の役を演じるにあたり、心がけていることはありますか。

『キョコロヒー』に天海祐希さんがゲスト出演してくださったとき、「自分とは全然違う役はどう演じたらいいですか」とうかがったことがあったんです。天海さんは「普段生きてて絶対しないようなことをする役だからこそ、ここでしかできないから、思いきりその役になりきって楽しんじゃえばいいんだよ」とこたえてくださって。その言葉がずっと心に残っていて、自分の人生で起きない物語だからこそ、思い切り深愛になりきろうと思えました。そのときは、以前、舞台『サザエさん』でワカメちゃんを演じたときのことを思い浮かべて聞いたのですが、今となってみれば、あのときたまたまこの質問をしていて良かったと思います。