ダイハツ工業の「コペン」といえば、軽自動車のお手軽感でオープンカーの走りが楽しめる人気モデルだ。現行型は2014年に発売となった2世代目。そろそろ、次のモデルがどうなるか気になっている人も多いはずだ。「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開は10月28日~11月5日)に登場したコンセプトカー「ビジョン コペン」(VISION COPEN)についてダイハツに話を聞いてきた。
電動化はするのか、しないのか!
現行型コペンは「Robe」「XPLAY」「Cero」「GR SPORT」の4つのスタイルから選べる軽自動車のオープンカー。走りに振った「S」グレードがあったりマニュアル(MT)車が選べたりと個性的な1台だ。
ジャパンモビリティショー2023のダイハツブースで話を聞いた説明員によれば、コペンは「『いつか買おう、いつか買おう』と思ってくださるお客様が常にいて、台数はそこまで多くないですが毎月安定して売れているクルマです」とのこと。ホンダ「S660」が生産終了となった今、コペンは小さなオープンスポーツカーの貴重な、というかおそらく唯一の選択肢となっている。
そんな人気モデルのコペンだが、次のモデルについての正式な発表はまだない。ただ、2025年12月になれば継続販売の(元からある)車種であっても「自動ブレーキ」(衝突被害軽減ブレーキ)搭載の義務化に対応する必要が出てくるため、現行型コペンを自動ブレーキに対応させるのか、あるいは次期モデルに移行させるのか、ダイハツは選択を迫られている。
「ビジョン コペン」ってどんなクルマ?
「ビジョン コペン」はダイハツが「少し先の将来も見据えて、『こういう方向性はどうですか?』とご提案」(前出の説明員)するコペンのコンセプトカーだ。「Aセグメント(小さなクルマ)で走る楽しさを思い切り表現したらどうなるか」というのが提案の趣旨である。あくまで「ゼロスタートのスタディモデル」ではあるものの、顧客や世間からの反応を見たいという思いもあってモビリティショーに出展した。
ビジョン コペンはカーボンニュートラル(CN)燃料の活用も見据えたFRレイアウト(フロントにエンジンを積みリアタイヤを駆動)のクルマだ。同社のラインアップでは商用車に後輪駆動のクルマがあるそうだが、乗用車では「久しぶり」だという。FRレイアウトを想定しておけば、何らかの事情で電気自動車(EV)として作ることになったとしても作りやすいらしい。
コペンは「今や大切なブランドに育ったので、できるだけ守っていきたい」というのが前出の説明員の考えだ。
軽EV「オサンポ」は次期コペンじゃないの?
ちなみに、ダイハツのブースにはオープンカーの軽EV「オサンポ」(OSANPO)というクルマも展示してあった。
この見た目からして、オサンポは次期コペンのもうひとつの選択肢(方向性)なのかと思ったのだが、ダイハツに聞くとそうではないとのこと。「昔、ダイハツにはフェローバギーというクルマがあったんですけど、そんなイメージで」とのことだった。
ダイハツ初の軽EVは商用車となることが決定済み。オサンポは軽EVを乗用車に展開するとどうなるかを探るコンセプトカーなのだという。
「お客様に買っていただけるお値段で、何ができるか」を考えたというオサンポ。航続距離はそんなに長くなくても、安くて軽くて乗って楽しい軽EVが発売となるかもしれないとすれば、ついつい期待してしまう。