フジテレビは26日、都内でグローバル事業の戦略発表会を開催。大多亮専務が、パートナーシップを締結したアメリカ、中国、韓国それぞれの来日ゲストとともに、共同制作するドラマなどについて説明した。

  • (左から)カカオエンターテインメント IP事業部長のファン・ゼホン氏、フジテレビ 専務取締役の大多亮氏、スカイバウンドエンターテインメント リニアコンテンツ担当マネージングパートナーのリック・ジェイコブス氏、Bilibili 副総裁の張聖晏氏

ドラマ『ウォーキング・デッド』などを生み出した米・スカイバウンドエンターテインメントとは、SFドラマ『ハート・アタック』を共同制作する。日本人キャストは決定しており、制作会社にロボットが入り、12月にクランクインを予定。大多専務は「アメリカ的なSFの発想で、フジテレビでは思いつかない。これをフジテレビでもやっていきたいと思ってお話をしたら、大事なIP(知的財産)を出していただくことになりました」と経緯を説明する。

スカイバウンド社リニアコンテンツ担当マネージングパートナーのリック・ジェイコブス氏は、フジをはじめ日本のコンテンツを見てラブ・ストーリーがウケると感じたとした上で、「『ハート・アタック』で描かれるのは初恋が出発点。アメリカ的な作品かもしれませんが、初恋はみんなが経験するものですから」と自信を見せた。

中国・Bilibiliとのパートナーシップでは、同社の制作アニメを放送する専門枠「B8station(ビーハチステーション)」を10月に深夜で新設し、第1弾として『時光代理人 -LINK CLICK-』を放送中。大多専務は「中国アニメは、今後大変なことになると思っています」と成長に期待を示し、この実写ドラマを連ドラとして放送することを決めている。

Bilibili副総裁の張聖晏(レオ チャン)氏は「中国本土で人気のIPが、フジテレビで日本のドラマの形式によってその世界観を広げていくことで、ヒット間違いなしと感じています」と力強く語った。

そして、『梨泰院クラス』を生み出した韓国・カカオエンターテインメントとの協業では、Webtoon(ウェブコミック)の『アクアマン』を実写ドラマ化。大多専務は「アニメと漫画の間にあるWebtoonは、我々にはノウハウがないので、一緒に組んでその世界を教えてほしいと思っています」と狙いを語る。

カカオ社IP事業部長のファン・ゼホン氏は「『アクアマン』はユニークで芸術的なスタッフがいるスタジオが作っています。たくさんのファンを韓国で持っていて、我々にとって重要なライターがいるところなんです」と、ストーリーに自信を見せた。

今回説明した米・中・韓原作ドラマの日本での放送・配信について、大多専務は「現状では脚本の開発中でどの程度の出来になるかまだ分からないので、基本的には深夜、FODを想定しています。ただ、これからもずっとやっていきますので、ものによっては地上波のゴールデンタイムのど真ん中ということも、ないわけではない。できればそのくらいのことにしたいという気持ちであります」と、将来的な構想を披露。同局では近年、GP帯の連ドラ枠を増設しているが、「こういった戦略も背景にあって増やしてるところもあります」と語った。

さらに、「(パートナーを結んだ社の)皆さん日本のコンテンツが大好きで、フジテレビと何か一緒にやれば化学反応が起こると言ってくれているので、(この協業を)絶対に生かしたいと思います」と決意。ただ、「グローバルのビジネスは甘くないです。なかなか金の鉱脈に当たりません」とした上で、「とにかく世界中のパートナーの方と組んでいかなければ、進まないと思っています。精神論になりますが、“買わない宝くじは当たらない。立候補なくして当選なし”といつも思っています。様々なチャレンジが必ず世界のどこかに届いて、大きなうねりになると信じてやっております」と、この事業に懸ける思いを述べた。

  • 司会のフジテレビ ビジネス推進局・秋元優里氏