ツインバードはコストパフォーマンスの高い家電メーカーとして知られていますが、2018年に登場したプレミアム全自動コーヒーメーカーシリーズとともに「こだわりの家電」も目指すようになりました。現在は高コスパのベーシックな「感動シンプル」と、こだわりの「匠プレミアム」という2つの製品ラインを展開しています。

そんなツインバードが10月24日、匠プレミアムラインの新製品「匠ブランジェトースター(TS-D486B)」を発表しました。新製品の注目ポイントを発表会の実機で体験してきました。匠ブランジェトースターの価格はオープン、推定市場価格は25,800円前後です。

  • 11月17日発売予定の匠ブランジェトースター

珍しい奥行きあるデザインの2枚焼きトースター

匠ブランジェトースターは2枚焼きのトースター。一般的に2枚焼きトースターといえば食パンを横に2枚並べる構造ですが、本製品は前後に2枚を配置する一風変わった設計です。実はこれ、トースターの扉を1枚焼きサイズに小さくすることで、ガラス面を狭くして熱を逃がさないための工夫。

  • 正面から見ると一枚焼きのような見た目の匠ブランジェトースターですが、横から見ると奥行きがあります。本体サイズは幅250×奥行き371×高さ253mm、重さは4.2kg

トースター庫内上下には2本ずつヒーターを配置。このヒーターにもこだわりがあります。上ヒーターには遠赤外線カーボンヒーター、下にはハロゲン(近赤外線)ヒーターを採用しているのです。

上部の遠赤外線カーボンヒーターはすばやく熱を伝えやすく、下部のハロゲンヒーターは食材を焦がさず中心までじっくり熱を加える加熱に適しています。異なるヒーターの特性を生かし、パンの美味しさを引き出すという点が、匠ブランジェトースターの真骨頂です。

  • 匠ブランジェトースターの上ヒーターは、遠赤外線を放射するカーボンヒーター。庫内サイズは幅190×奥行き270×高さ110mm

  • ハロゲンヒーターは発熱時に明るく発光。下ヒーター使用中は庫内がトースターとは思えないくらい明るく照らされ、食材の焼き色がわかりやすくて便利! そのうえ、匠ブランジェトースターは、トースターには珍しく庫内灯も装備しています

一番のこだわりは世界一のパン職人による火入れの技

さまざまなハードウェアの工夫がある匠ブランジェトースターですが、最大の特徴は「職人の火入れ技術」です。つまり、ソフトウェアによる火力制御にあります。

匠ブランジェトースターは、「世界一のパン職人」であるトモニパンの浅井一浩氏との共同開発。浅井氏はドイツで開催されるパン職人の世界大会「iba cup」において、日本人初となる総合優勝経験者でもあります。

  • 千葉県成田市にあるベーカリー「トモニパン」の店主でもある浅井一浩氏

パンは焼きたてが一番美味しい瞬間。とはいえ、お店で購入したパンは焼いてから時間が経過したものがほとんどでしょう。多くの家庭では、冷えたパンをトースターなどで温め直していると思います。

しかし、浅井氏は「SNSなどの写真を見ると、多くの家庭ではリベイク時に火を入れすぎ」と感じていたそうです。浅井氏によると、食パン以外のパンは基本的に「売っている状態」が最適な焼き色の状態。温め直して焼き色がこんがりと濃くなった場合、それはもう「焼きすぎ」なんだとか……。

焼きすぎたパンは小麦の香りが弱くなり、パン職人が狙ったパン本来の美味しさを再現できません。そこで、匠ブランジェトースターは「焼きたての味を再現できる」ような火力調整をしています。

  • パンの種類やメニューによって最適な火加減に調整。メニューは左から、アレンジパン、食パン、クロワッサン、フランスパン、カレーパンです。食パン、クロワッサン、フランスパン、カレーパンの4メニューは、冷凍パンを美味しくリベイクできる「冷凍」モードにもできます

  • ガラス面下に設定情報をアイコン表示。写真は食パンモードの設定です。食パンの枚数と焼き色(3段階から選択可能)、冷凍モードの有無を表示します。シェフの横顔アイコンは「浅井氏監修による火力調整をしているメニュー」利用時に点灯

自動モードのほか、マニュアルモードや上火モードも搭載。マニュアルモードでは、120℃/140℃/160℃/180℃/200℃/220℃/240℃/260℃から温度を選んでオーブンとしても使えます。上火モードは上ヒーターのみを使用して、最大火力で加熱する調理モード。グラタンの焼き色をつける場合などに便利ですね。タイマーは最大30分です。

実際どう? 気になるパンを試食!

会場では、匠ブランジェトースターで焼いたパンを試食。まずはトースターの基本ともいえる食パンを、食パンモードの焼き色「中」で調理しました。食パンはコンビニに売っている一般的なものです。

  • 自動調理モードのなかで、食パン調理のみパンに焼き色をつけるモード。中間の焼き色設定を選びましたが、なかなか美味しそうな焼き色です。食べてみると、外はカリッと香ばしく、中はフワフワでしっかり水分を保持しています。これは確かに美味しい!

  • 食パンを裏返して反対側の焼き色もチェック。裏側にもしっかりムラなく焼き色がついていました。実際のところ、食パンの裏側にここまでしっかり焼き色がつくトースターはレア。食パンのトーストはかなり優秀です

次はクロワッサンモードをチェック。クロワッサンは厚みがあるため、トップ部分がヒーターに近くなり、バターをたっぷり使っているので上部分のみ焦げやすいという傾向があります。しっかり中心まで温めつつ、美味しくリベイクするのは難しいパンなんです。

匠ブランジェトースターでリベイクしてみると、焼き色はほとんど変化なし。でも、トースターに入れるときはフニャッと柔らかかったクロワッサンの表面が、手で触れるとホロホロ崩れるほどサクサクに。大き目のクロワッサンも、中心までしっかり温かくなっていました。

  • 調理前(写真左)と調理後(写真右)のクロワッサン。焼き色は調理前後でほとんど変わっていません

フランスパンも専用モードでリベイクしました。フランスパンも厚みがあり、上部分が焦げやすいパン。外はパリッと、中身はモチっと中まで温かく仕上がることが理想です。

実際にリベイクしたところ、フランスパンも温め直し前後で焼き色に変化はほとんどなし。なのに、パン中心までしっかりと温かくなっていました。ただこの試食では、残念ながらパン表面のパリッ感はそこまで強く感じられませんでした。

ツインバードによると、会場で同時に多くのトースターを稼働していたため電圧が不安定になった可能性があるとのこと。今回のように加熱が物足りない場合は、追加で加熱すると良いそうです。

  • 調理前(写真左)と調理後(写真右)のフランスパン。こちらも焼き色は調理前後で違いがありません。中までしっかり温まっていましたが、乾燥せずもっちりと水分が多い仕上がりでした

最後はカレーパンモード。カレーパンは具材部分がなかなか温まらず、中心まで温めようとすると、油分の多い外側が焦げやすいというパンです。

今回はスーパーなどでよく見かける大手製パン会社の100円前後のカレーパンをリベイクします。結果、リベイク前は表面がべチャッとして少々油臭さもあったものが、リベイク後はカリッと香ばしく生まれ変わりました。

カレーも中心までしっかり加熱。筆者は過去にこのカレーパンを何度も食べたことがあるのですが、正直同じカレーパンとは思えないくらいのクオリティに格上げされていました。

  • 調理前(写真左)と調理後(写真右)のカレーパン。完成まぎわは、パン表面の油分がふつふつと泡立っていました。表面はサクサクなのに、焼き色は「よく見ると濃くなったかな?」程度しか変わっていません

今回は4つのモードを試しましたが、食パン、クロワッサン、カレーパンはとにかく優秀な仕上がりに驚きました(フランスパンはもう一度じっくり試したいところ)。匠ブランジェトースターはパンの種類さえ選べば、トースターが自動的に美味しく仕上げてくれます。

最近の高機能トースターは総菜の温め、餅やピザの調理、焼き芋など多彩な調理モードを搭載していますが、匠ブランジェトースターの自動メニューは「パン」だけ。そのぶん操作がシンプルなのもいさぎよくて好印象。なお、パン以外を調理したい場合は、温度と加熱時間を設定するマニュアルモードで対応できます。