耐熱ガラス食器やコーヒー器具で知られるHARIOが、“IoTスマートコーヒーマシン”なるアイテムの先行販売を開始しました。その名も「Hikaru V60 Smart Brewer」。応援購入サービス「Makuake」にて10月24日から支援募集を開始していますが、スタート1日目にして1,000万円を突破する注目製品となっています。

超早割価格は57,000円から(10月25日10時時点。一般販売予定価格は86,800円)。一体どんな製品なのか、Makuake本社で実物を見てきました。

先に所感をまとめてしまうと、専用のスマホアプリと連携するコーヒーマシンで、正確なドリップ”を実現するための本体機構もさることながら、アプリによる抽出設定のカスタマイズが圧巻。さほどコーヒーにこだわりのない筆者でも(だからこそでしょうか)1mL/1度単位で行える緻密な制御に驚き、かつ使いやすいインタフェースになっていることが印象的でした。

  • Hikaru V60 Smart Brewer。コーヒーサーバーを置く場所は円形の空間となっており、和室にも洋室にも合いそうなデザインです

HARIOのスマートコーヒーマシン「Hikaru V60 Smart Brewer」でコーヒーを抽出しているところ

Hikaru V60 Smart Brewerとは?

「Hikaru V60 Smart Brewer」(以下、Hikaru)は、HARIOの代表的なドリッパー「V60ドリッパー」(2005年発売)と組み合わせて使うコーヒーマシン。Bluetoothを搭載し、本体に内蔵した9種類のプリセットレシピによる美味しいドリップコーヒーを手軽に淹れられるほか、専用のスマートフォンアプリ「Hikaruアプリ」でお湯の水量、流速・抽出時間、湯温などを、好みによって細かく設定できることが特徴です。

水量や流速・抽出時間、お湯の温度はコーヒーを淹れるのに大事な要素。これらを緻密に制御することで、誰でもコーヒー豆の特徴や美味しさを最大限に引き出せる正確なドリップが行える……というのが、このコーヒーマシンです。

9つのプリセットレシピは、出来上がりのコーヒーの量や豆のローストレベルに合わせ、ユーザーが選ぶだけという手軽さ。湯量はS(290mL・約2杯分)/M(440mL・約3杯分)/L(580mL・約4杯分)、このそれぞれに焙煎度Light Roast/Medium Roast/Dark Roastの3種類が選べ、コーヒーに詳しくなくても美味しいコーヒーを淹れられます。

  • 操作ボタンは上部にまとまっています。プリセットレシピの場合は、コーヒー粉とペーパーフィルターをドリッパーにセット→S/M/Lから抽出量を選択→Startボタンを押す、という3ステップだけで操作が完了します

  • 専用アプリ。自分が使っている豆の焙煎度によって、プリセットレシピ自体のカスタマイズも可能です

Hikaruはスマホアプリを組み合わせることで、さらに自分好みのカスタマイズが可能な点がポイントです。アプリではプリセットレシピを自分が使うコーヒー豆の焙煎度によって変更できるほか、コーヒーを美味しく淹れる要素である水量や流速、温度などを細かく設定し、自分用のカスタムレシピを登録できます。

  • 自分のオリジナルレシピを登録することも可能。ユーザーによる味の記録も可能です

  • 抽出プロセスではお湯を注ぐ回数、蒸らし時間などを細かく設定可能

高精度スケールやセンサーで正確なドリップを実現

さてHikaruで正確なドリップを再現できるその秘密は、本体に内蔵した高性能なスケールやセンサーにあります。

水量は、タンク下部に内蔵した高性能スケールにより正確な制御が可能。お湯の流速は、速いほどドリッパー内のコーヒー粉が撹拌され、抽出効率が高くなるとのこと。コーヒーサーバーを置く円形スペースの一番上にある注湯口は5つ穴のシャワー式で、中央の一番大きい穴からは強めに、4つの小さな穴からは控えめにお湯が注がれ、ドリッパーの中で対流を生む構造になっています。

流量は毎秒1mL~10mLまで、10段階での調整が可能。お湯を注ぐ回数も指定でき、最大5回(5投)、水量1mL~599mL/回まで設定できます。また、蒸らし時間(注湯のインターバル時間)は0秒~99秒まで、1秒単位で設定できます。

味に影響する水温は、微小な温度差を感知できるNTC温度センサーをタンクに内蔵し、80度~96度を1度単位で調節可能です。

  • 水タンク。高性能スケールやNTC温度センサーなどを内蔵しています

  • お湯を注ぐタイミングごとに温度を設定可能

  • お湯の注ぎ口。中央からは強めに、周りの4つは控えめにお湯がでる設計だといいます

HARIOのスマートコーヒーマシン「Hikaru V60 Smart Brewer」注湯のようす。正確なドリップを実現するため、注湯口にもこだわりがあります

  • 温度も80度~96度を1度単位で設定可能

加熱中はオレンジ、注ぎ中は白……視覚で楽しめる抽出

本体は向かって左側にタンク、コーヒーサーバーを置く部分は円形の穴が開いたデザインをしています。

コーヒーサーバーを囲むようにLEDが配置され、例えばお湯の加熱中にオレンジ、ドリップ中にホワイトなど、周囲が光る演出も。デザインは「インテリアとして置けるものを目指した。視覚と味覚の関わりにフォーカスしている」といい、透明なコーヒーサーバーにコーヒーが注がれるのを待つ時間は、見ていてワクワクするものでした。またコーヒーを淹れているとき、アプリ側では加熱中の温度や抽出終了タイミングを数字で表示するため、よい目安になりました。

コーヒーサーバーを置く部分には円形のガイドがあり、注湯口とサーバーの中心がまっすぐになるように置ける仕組みです。保温機能はありません。

  • お湯の加熱中は、オレンジのライトで演出

  • お湯を注いでいるときは白のライト

  • 加熱までの温度をリアルタイムで表示

  • コーヒーサーバーを置く部分は円形のガイド付き。保温機能はありません

  • コーヒーが抽出されているところ。付属するV60グラスサーバーは透明で、抽出を眺めているとワクワクします

  • 上部のランプは、一番上がBluetoothの接続状況を示すランプ、中央のしずく型アイコンが「コーヒー抽出レシピに足りる水の量が入っているかどうか」を示すランプ、一番下の星型アイコンが清掃タイミングを知らせるランプ

最後に本体のスペックを簡単に紹介。サイズはW398×D170×H300mm、重さは2.8kg。コードは本体裏側に直付けされ、長さは1.5mです。最大抽出量は約580mL(1回あたり)。Bluetoothのバージョンは5.2、専用アプリはiOSとAndroidをサポートします。

ちなみにMakuakeの製品ページで紹介されているアプリの表示は英語ですが、日本語表示も選べるとのこと。今後はトップバリスタによる抽出レシピの公開が予定されているほか、豆販売店との提携により、コーヒー豆のパッケージに印刷されたQRコードをスマホアプリで読み取ることで、その豆に合った“最適な抽出”の設定でコーヒーを淹れられる、といった展開も見込んでいます。

単純に考えれば、“トップバリスタが淹れるコーヒー”と同じ湯温、注ぎ方、蒸らし時間などを再現すれば、同じくらい美味しいコーヒーが淹れられるはず。技術によってコーヒーを美味しく淹れるマシンを本気で目指した1台だと感じました。

  • コーヒー豆のパッケージに印字されたHikaru用のQRコード

  • QRコードをスマホアプリで読み込むと……

  • その豆を美味しく淹れられるレシピがアプリに表示される、という面白い取り組みです

  • アプリは日本語表示も可能