毎回バラエティに富んだユニークな怪獣が出現し、これに対抗する「特殊怪獣対応分遣隊=SKaRD(スカード)」隊員たちの人間味あふれるやりとりが話題を呼んでいる『ウルトラマンブレーザー』が、現在テレビ東京系毎週土曜あさ9時から放送中である。かつてないワイルドな戦い方をする斬新なウルトラマン像や、隊員たちのピンチを救うべく「俺が行く」と率先して危険な場所へ飛び出していくヒルマ ゲント隊長(演:蕨野友也)とウルトラマンブレーザーとのユニークな「関係性」、そして魅力的な個性を備えた隊員たちが「怪獣対策」という任務のもとひとつに結束し、絆を深めていくストーリー展開が魅力となっている。

  • 伊藤祐輝(いとう・ゆうき) 1987年生まれ、北海道出身。映画『フレフレ少女!』(2008年)『海賊とよばれた男』(2016年)、テレビドラマ『新警視庁捜査一課 9係』(2010年)『ラジエーションハウス』(2019年)『合理的にあり得ない』(2023年)、舞台『飛龍伝21~殺戮の秋~』(2013年)『High Life』(2018年)、ドキュメンタリー、MV、CMなど出演作多数。2009年の映画『ぼくはうみがみたくなりました』で主演を務めたほか、短編映画『MIRRORLIAR FILMS plus/ハレの夜』(2021年)では脚本・監督・主演をこなした。 撮影:大門徹

『ウルトラマンブレーザー』単独インタビュー、今回はゲント隊長を補佐し、若い隊員たちを支える「縁の下の力持ち」タイプのナグラ テルアキ副隊長を演じる伊藤祐輝が登場。劇中では怪獣学に通じ、さまざまな理由で地上に出現する怪獣たちの生態に詳しいテルアキは、人類に危害を加える怪獣をただ除外するのではなく、同じ生命同士として尊重し、極力「共生」の道がないかと模索しているところがある。役を演じる伊藤もまた、テルアキと同じく生真面目でストイックな面と、子どものころに抱いた「ウルトラマンへの憧れ」を大事にするロマンチストの面を併せ持つ、魅力的な人物である。そんな伊藤に『ウルトラマンブレーザー』キャスト同士のチームワークの良さ、特撮作品に出演したことへの思い、そしてテルアキのキャラクターを深みのあるものにするべく、いかなる工夫をしたのかを語ってもらった。

――『ウルトラマンブレーザー』の放送をご覧になった方々から、感想をお聞きすることはありますか?

SNSで本当にたくさんの方たちから感想をいただくことが多く、感謝しています。驚いたのは、いままでウルトラマンを観たことがなかった、役者や映像関係の知り合いから「観てるよ」「盛り上がってるねブレーザー」と言っていただいたことです。

――テルアキ副隊長の役が決まるまでの経緯を教えてください。

最初に企画書をいただいて、プロデューサーさんと田口清隆監督と1時間くらい面談がありました。普段の自分のことをお話ししたり、台本でのテルアキのセリフを読んだり、銃の持ち方の指導などもあり、ひととおり『ブレーザー』に必要なことをやらせていただいた感じでした。

――放送開始前に全話の撮影が終わっているとうかがっています。撮影中はどんな思いで取り組まれていましたか。

アンリ役の内藤さんがよく「私たち、ウルトラマンの撮影に来てるんですよね?」って言ってたんですけど(笑)、ウルトラマンに出ているという実感がなかなかわかなかったのは確かです。台本を読み、実際に芝居をしていて思ったのは、『ウルトラマンブレーザー』には他のウルトラマンシリーズとの関連性がない、単独の世界観でのストーリーなんだなということ。怪獣がいたるところに潜んでいて、地球防衛隊が存在する世界に、ウルトラマンが初めて現れたら、人々はどういう反応をするのだろうか?という根本の部分から入ることができたのは、ありがたかったです。

――伊藤さんが子ども時代に好きだったウルトラマンは誰ですか。

僕が子どもだったころはウルトラマンシリーズの新作がなくて、もっとも強く覚えているのが再放送で観ていた『ウルトラマン』なんです。あとは、レンタルビデオでいろんなシリーズを借りて、何度も繰り返し観ていたことも記憶に残っています。あのころの思い出は強烈で、ウルトラ怪獣があまりにも魅力的で、まるで本物の生物をそのまま撮っているかのような感じだったんです。よくひとりでウルトラマンになりきって、居間で空想の怪獣を相手に格闘していた記憶が蘇りました。

テルアキは、害のない怪獣は殺さなくてもいいのではないかとか、人間と怪獣との共生を目指すとか、怪獣側に理解のある人間なんです。子どものころから僕自身、怪獣がウルトラマンにやっつけられているのを見て「痛そうだなあ」とか「かわいそう」とか思っていて、テルアキの考え方には共鳴する部分が大きいです。ジャミラなんて、怪獣になった経緯も含めてすごくかわいそうで、あとシーボーズが怪獣墓場へ帰りたがっているなんてシーンもすごくよく覚えています。

――撮影しているとき、ご自身がウルトラマンの世界に入っているんだなあと実感する瞬間のことを教えてください。

まず『ウルトラマンブレーザー』の衣装合わせでSKaRDの隊員服を着たときですね。ユニフォーム、ヘルメット、各種装備を身に着けたときです。そのとき「ああ、ウルトラマンに出るんだな!」という実感がわいたんです。科学特捜隊から始まり、歴代ウルトラマンシリーズで活躍した特捜チームの歴史の中に、僕が連なることができるんだ……と思うと興奮しましたね。あとは第1話「ファースト・ウェイブ」。ウルトラマンブレーザーを目撃したとき、上官の磯崎(演:仁科貴)の言葉を受け、僕が「ウルトラマン……」とつぶやくところです。あの撮影が終わった直後「おれさっき、ウルトラマンって言ったなあ……」みたいに、大事なセリフを噛みしめるように思い出しました。

――テルアキは怪獣の生態に詳しいという面がありますし、専門用語を話すシーンが多いので大変そうに思います。

大変です(笑)。現実にある用語、ない用語を含めて、怪獣における専門的な言葉を毎回セリフとして言うのは大変ですね。面談のときも、ゲードスの生態について専門用語だらけの説明セリフを4行も話さなければならなくて、とても苦労しました。