米Appleがハロウィン前夜の10月30日にスペシャルイベントを開催することを発表した。PT(太平洋時間)の10月30日午後5時(日本時間:10月31日午前9時)にイベントのストリーミング配信を開始する。配信は、apple.com、Apple TVアプリ、およびYouTubeで視聴できる。

今回のイベントのキャッチコピーは「Scary fast.」で、ハロウインを連想させるものとなっている。Appleは通常、米西海岸時間の午前10時にイベントを開始しているが、今回は夕方〜夜である。ハロウイン当日ならば、子供たちが仮装してトリックオアトリートに繰り出す時間帯なので、イベントでもハロウィンにちなんだ演出が取り入れられる可能性がある。

Appleはイベントの内容について直接言及していないが、Eventページで30日のイベントをAppleのロゴがmacOSのFinderのロゴに変化するビデオで紹介し、Macの新製品発表の可能性を示唆している。また、Scary fast(ふるえ上がるくらい速い)というキャッチコピーから、新しい「M3」チップを搭載した高速なMacが登場することへの期待が高まっている。

9月に発表されたiPhone 15 Proシリーズは、TSMCの3nmプロセスルールを採用した「A17 Pro」チップを搭載している。同様にMシリーズも、M3でTSMCの3nm世代に移行すると予想されている。M2はTSMCの5nm改良プロセスを使用しており、3nmへの移行によってトランジスタの集積度が向上し、高速化や電力効率の改善、または新たな機能の統合が可能となる。

IDCが10月9日に公表した2023年第3四半期の世界のPC出荷台数(速報値)は、前年同期比7.6%減の6820万台であった。PC市場の縮小が続いているものの、前期の同13.4%減から減少幅が縮小しており、市場の底打ちの兆しを見せている。そうした中で、Appleは第3四半期に同23.1%減(720万台)という大きな落ち込みだった。

2020年末にApple Silicon搭載Macが登場し、今年6月に全てのラインナップへの搭載が完了した。その間、Macは好調に売れ続けており、Apple Siliconへの移行需要が落ち着き始めた現在、反動的な減少が見られている。また、ホリデーシーズンを前にして、新製品の発表やM3チップへの移行を期待するユーザーが購入を控えている可能性もある。

新製品投入でMacの出荷台数の減少が緩和するか、そしてPC市場でシェアを拡大する成長をMacは取り戻せるか。競合他社もApple Silicon搭載Macへの対抗策を進めている。Apple Siliconへの移行を完了し、新たなフェーズに入ったMacをAppleはどのように展開するのか。Macの今後の展望を見る上で、30日のスペシャルイベントは重要なものになる。