難しい言葉を知っていると周りから「おっ」と思われたり、表現が豊かになったり、雑学として話のネタに使えたりします。

本記事では読み方が難しい漢字、意味を勘違いしがちな慣用句、日本独特の美意識を表す言葉、響きや意味がかっこいい言葉や意味を想像しにくいカタカナ語など、さまざまな難しい言葉を集めました。

  • 難しい言葉の一覧

    読み方が難しい漢字、意味を勘違いしがちな慣用句など、さまざまな角度から難しい言葉を集めました

意味が難しい言葉の一覧

まずは、字面を見ただけでは意味がわかりにくい言葉や、言葉の意味自体がわかりにくく難しい言葉をご紹介します。日常生活で見掛ける言葉もあるので、ぜひ覚えてみてください。

誤謬

「誤謬(ごびゅう)」は間違い、誤りという意味の言葉で、「誤」も「謬」も共に「あやまり」を表す漢字です。

「誤謬を正す」のように一般的にも使われる言葉ですが、論理学では専門用語として「誤謬」が登場し、正しくない推論や論証のことを表します。

侘び寂び

「侘び寂び(わびさび)」は日本特有の美意識です。

「侘び」は簡素、質素なものに美しさを感じる、趣の心のことです。「寂び」は古くなることで独特な味わいが出てくることを指します。

これらを合わせて、質素なものや不完全なものに美を感じる心、といった意味を表します。西洋の豪華さ、シンメトリーなどを中心とする美意識とは対を成す概念です。

しかしその奥深い概念を文章で説明することは難しく、その本質を理解するには「侘び寂びがある」とされる状況を実際に体験したり、美術品を見たりするしかないかもしれません。

齟齬

「齟齬(そご)」は物事が食い違ったり行き違ったりすることを指す言葉です。漢字が難しいだけでなく、単に2つの物事が違うことを表す「相違(そうい)」と区別しにくく、意味もわかりづらい言葉です。

例えば以下の会話では、砂糖ではなく塩だったという相違はありますが、なにも食い違いはありません。

  • A:「これは砂糖ですか?」
  • B:「いいえ、塩です」

一方、以下は両者の言い分に食い違いがあるため、「齟齬がある」と表現するのが適切です。

  • A:「これは砂糖ですよ」
  • B:「いいえ、塩に間違いありません」

杞憂

「杞憂(きゆう)」は必要以上に心配すること、取り越し苦労という意味の故事成語です。

古代中国の「杞」の国の人が、空が落ちてこないか心配したことが由来です。

「憂」という字は心配する、うれえる、という意味なので何となく意味がわかるでしょうが、「杞」が国の名前だということを知っている人は少ないでしょう。元となった故事を知らないと、正しい意味にたどり着くのが難しい言葉です。

偕老同穴

「偕老同穴(かいろうどうけつ)」は夫婦仲が良いことを表す四字熟語です。古代中国の詩集『詩経』に由来し、「生きて共に老いて、死んで同じ墓穴に入る」ことを表しています。

「同穴」だけで2人で同じ墓に入るということまで想像できず、文字を見ただけでは意味がつかみにくい言葉です。

なお同様に夫婦の絆、仲むつまじいことを意味する言葉として「比翼連理(ひよくれんり)」や「連理の枝(れんりのえだ)」などがあります。

虚心坦懐

「虚心坦懐(きょしんたんかい)」はわだかまりのない心で、物事にこだわらず、素直に接する様子を表す四字熟語です。「虚心」が空っぽでわだかまりのない心、「坦懐」が心が穏やかで物事にこだわらないことを表します。

一見しただけでは意味がわかりづらく、使いどころもすぐには思いつかない言葉です。

例えば「今までのことは忘れて、虚心坦懐に話し合う」のように、偏見や先入観を持たずに、心を開いて相手に接する、といったことを表現したいときに使われます。

読みが難しい言葉の一覧

  • 難しい読みの言葉

ここでは、日常生活でも使う可能性のある難読漢字をご紹介します。いざという時のために、読めるようにしておきましょう。

逼迫

「逼迫」は「ひっぱく」と読み、さしせまる、余裕がない、という意味です。「逼」も「迫」も、せまる、近づくという意味があります。

「財政が逼迫する」「医療体制の逼迫が懸念される」といった表現で、ニュース等でも耳にすることがよくある言葉です。しかし「逼」は「逼迫」以外ではあまり使われず、常用外の漢字でもあるため、読み方に迷う人も多いでしょう。

確り

「確り」は「しっかり」と読みます。「しっかり結ぶ」のように使われる、確実さや堅固さを表す言葉です。

意味を見ると納得する人が多いでしょうが、通常は「しっかり」とひらがなで書くため、読むのが難しい漢字です。

慇懃

「慇懃」は「いんぎん」と読み、礼儀正しいこと、真心がこもっていることを表す言葉です。「慇」も「懃」も丁寧、という意味があります。

どちらの漢字も常用外漢字であり、あまり使われない字のため、読みにくい熟語の一つです。

丁寧な振る舞いが逆に失礼な態度に見えるという意味の四字熟語、「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の形でもよく使われます。

鮟鱇

「鮟鱇」は「あんこう」と読み、深海に生息する魚のアンコウを指します。鍋料理や肝が絶品とされる、古くから日本で親しまれている魚です。

また、太って腹が出た力士の体形を「鮟鱇形(あんこがた)」といいます。小豆で作る「あんこ」だと勘違いしている人もいるかもしれませんが、実は魚のアンコウの体形に似ているというのが語源です。

無花果

「無花果」は「いちじく」と読み、夏から秋にかけて旬を迎えるおなじみの果物です。イチジクは花が咲かないと考えられていたため、この字があてられるようになったといわれています。

しかし、実は花が咲かないのではなく、果実の中心部分に花が隠れています。外からは花が見えないので、花が咲かないと勘違いされたようです。

なお「映日果」と書くこともあります。

竜髭菜

「竜髭菜」は「あすぱらがす」と読み、野菜のアスパラガスのことです。地面から芽が伸びる姿がリュウのヒゲに似ていることから、この漢字になったという説があります。

ちなみに台湾でよく食べられている野菜で「龍のヒゲ」という意味の「龍鬚菜(ロンシューツァイ)」という青菜があります。また、庭などの植栽として利用されるリュウノヒゲ(別名ジャノヒゲ)という植物をご存じの方も多いでしょう。

このように、植物を竜(龍)のヒゲに例えることは珍しくないようです。

意味を勘違いしがちで難しい慣用句の一覧

  • 難しいことわざや慣用句

ここでは、間違って使われやすい、本来の意味が難しい慣用句をご紹介します。人によっては本来の意味を知らず、解釈が異なる可能性があるため、注意して使うようにしましょう。

敷居が高い

「敷居が高い(しきいがたかい)」は、不義理をしてしまったなど、人間関係に問題が生じて、相手の家を訪ねにくくなることを表す慣用句です。

しかし高級さや格式の高さから、店舗に入りにくいという意味だと誤用している人が多くいます。文化庁が行った令和元度の「国語に関する世論調査」によると、本来の意味で理解している人が29%、間違った意味で理解している人が約56%でした。

よって「敷居が高い」は、誤解を与えずに使うのが難しい言葉と言えるでしょう。

気が置けない・気の置けない

「気が置けない(きがおけない)」や「気の置けない(きのおけない)」は、遠慮が不要な、打ち解けた関係を表す言葉です。例えば「気の置けない友人」は、とても親しい友人を意味します。

しかし「気の置けない」は、逆に気兼ねや遠慮が必要な関係という意味で誤用する人が多い言葉です。文化庁が行った平成24年度の「国語に関する世論調査」によると、本来の意味で理解している人が約43%、間違った意味で理解している人が約48%でした。

このように「気の置けない」は相手によって意味が逆転してしまうため、使いどころの難しい言葉です。

潮時

「潮時(しおどき)」は何かを行うのにちょうどいい時期を表す言葉です。もとは海の潮の満ち引きに関連した言葉が、一般でも使われるようになったと考えられます。

しかし、「潮時」が何かの終わりを表す言葉だと誤解している人も一定数います。文化庁が行った平成24年度の「国語に関する世論調査」によると、本来の意味で理解している人が60%、間違った意味で理解している人が約36%でした。

本来の意味で使っている人が多いものの、意味を誤解される可能性のある言葉だと言えるでしょう。

檄を飛ばす

「檄を飛ばす(げきをとばす)」は、自分の考えを広く知らしめ同意を求めること、またそれによって人々に行動を促すことを表す言葉です。

しかし、実際には本来の意味よりも「頑張るように励ますこと」「元気のない人を活気づけること」「激励すること」という意味だととらえている人の方が多いようです。文化庁が行った平成29年度の「国語に関する世論調査」によると、本来の意味で理解している人が約22%、間違った意味で理解している人が約67%でした。

もやは誤用されることの方がはるかに多い言葉のため、「頑張るように励ますこと」「元気のない人を活気づけること」「激励すること」という意味も辞書に掲載されるまでになりました。

なお「檄を飛ばす」の「げき」は「檄」と書きます。「檄」は訓読みで「ふれぶみ」と読み、自分の考えを述べて人々に行動を促す文書のことを言います。訓読みで「はげ(しい)」「はげ(ます)」と読む「激」と書き間違える人が多いので、併せて注意しましょう。

難しくてかっこいい言葉の一覧

  • 難しいけどかっこいい言葉

ここでは意味が魅力的、漢字の見た目が洗練されている、口に出して読んだときの響きがいい、などの「かっこいい」難しい言葉をご紹介します。

疾風迅雷

「疾風迅雷(しっぷうじんらい)」は激しい風と雷を表す言葉で、急激な変化や迅速な行動を例えるときにも使われます。

例えば「あの会社の経営は、社長の疾風迅雷のような素早い判断力に支えられている」といった形で使われます。

意味も言葉の響きもかっこいい言葉です。

知行合一

「知行合一(ちこうごういつ)」は「本当の知識には実践が必要である」という意味の四字熟語です。吉田松陰の私塾、松下村塾でもこの掛け軸が掲げられていたとされ、現代でも知行合一を座右の銘としていると公言する経営者がいます。

知識や口だけでなく、行動も伴っていることを意味する言葉です。仕事が計画通りうまくいったときに自信ありげに使えば、かっこよく見えるかもしれません。

魑魅魍魎

「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」は化け物や妖怪を意味する言葉です。「魑魅」が山林の化け物、「魍魎」が山川や水の化け物を表すとされています。さらに「悪巧みする人」や「得体(えたい)の知れない人」を例える場合にも使われます。

また、「魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する」や「魑魅魍魎が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する」といった表現でも用いられます。「跋扈」は「思いのままにふるまう」、「跳梁」は「跳ね回る、はびこる」の意味です。

例えば政治家の得体の知れなさを表すために、「永田町には魑魅魍魎が跋扈している」などと表現されることがあります。

漢字も読みも、そして使いどころも難しいため、もし最適な場面で使えればかっこよくハマる言葉です。

蒼穹

「蒼穹(そうきゅう)」は青空のことです。普段あまり目にしない言葉のため、あえて使えば印象に残る表現になります。

例えば、「青空のようなすがすがしい気分だ」を「蒼穹のようなすがすがしい気分だ」と表現すると、よりかっこいいと感じませんか。

「蒼」という漢字には、あお、草木が茂るといった意味があります。「穹」には弓型という意味や大きいという意味の他、おおぞら、天といった意味があります。

なお「青空」には他にも「碧落(へきらく)」「蒼昊(そうこう)」「碧天(へきてん)」など、かっこいい言い換え表現が多くあります。

カタカナの難しい言葉の一覧

  • カタカナの難しい言葉

特にビジネスシーンでは、カタカナの難しい言葉、専門用語が使われることも多いですね。そのうちのいくつかをここで紹介するので、実際に使う時になって困らないようにぜひ覚えておきましょう。

サステナビリティー

「サステナビリティー(sustainability)」は英語で「持続可能性」を意味します。

貧困や環境問題など、世界が直面する問題を解決し持続可能な未来を築くための国際的なアジェンダに記載された、SDGs(持続可能な開発目標)に関連した言葉として、近年注目されるようになりました。

さらに企業の社会的責任(CSR)の観点からも、環境保全や社会的秩序の維持・発展などが重要だとして、ビジネス用語としても使われています。

シンジケーション

「シンジケーション(syndication)」には、業界によっていくつかの意味があります。

金融の分野では、複数の金融機関が共同で融資を行う資金調達手法をシンジケートローンといい、その共同融資の組織などをシンジケーションと呼んでいます。

Webの分野では、自社が作ったコンテンツや記事を第三者のWebサイトにも配信し、リーチを拡大する仕組みをシンジケーションと呼んでいます。例えば新聞サイトが別のニュースサイトに記事を提供し、再配信することなどを指します。

コアコンピタンス

「コアコンピタンス(core competence)」はその企業独自の強みとなる、中核を成す能力、競争分野のことです。もともとは1990年代にゲイリー・ハメルとプラハラードがその著書『コア・コンピタンス経営』の中で提唱した概念です。

企業の強みを表す言葉として「ケイパビリティ」も知られていますが、これは特にバリューチェーンにまたがる組織的な強みを意味し、「コアコンピタンス」はバリューチェーンの中の特定の強みを意味することが多いです。

英語の難しい言葉の一覧

  • 英語の難しい言葉

最後に、つづりが長くて覚えるのが難しい英単語や、英語を母国語とする人でも発音が難しいとされる英単語をご紹介します。

Antidisestablishmentarianism

「Antidisestablishmentarianism」は「国教制廃止主義反対」を意味する言葉です。これは19世紀から20世紀初頭のイギリスにおいて、国教会廃止運動に反対する立場を取った人々の主義を指します。結果としてはイングランドではこの主義が勝利を収め国教会が存続し続けることになり、ウェールズやスコットランド、アイルランドでは国境分離が進むこととなりました。

この単語は、一般的な英語の辞書に記載されている最も長い英単語として有名です。英国史を学んでいる人以外が使うことがあるかどうかは分かりませんが、覚えるのが難しい言葉です。

Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis

「Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis」は肺疾患の名前の一つで、英語の最も長い単語として有名です。

意味としては「非常に細かいケイ酸の火山塵によって引き起こされる肺疾患」です。

実に45文字からなり、覚えるのも発音するのも大変でしょう。

Worcestershire

「Worcestershire」はイギリスの地名で日本では「ウスターシャ」と呼ばれています。インターネット検索で発音が調べられた回数が多く、英語を話すアメリカ人でも発音が難しい言葉として知られています。

ちなみに日本でもおなじみの「ウスターソース」は、ウスターシャの主婦があまった野菜や果物、スパイスを使って最初に作ったことが、その名前の由来です。

難しい言葉を使いこなして日本語の表現力を高めよう

語彙の豊かさは教養の豊かさを表す重要な指標です。難しい言葉を使うと教養があると思われ、話す内容にも説得力が生まれます。また、豊かな語彙力は表現力を高めることにもなり、自分の考えをより正しく相手に伝えることにも役立つでしょう。

しかし、ただ単純に難しい言葉を使っても、相手に通じなかったり、知識をひけらかしているように思われたりして、マイナスのイメージを与える可能性もあります。

語彙の豊かさは言葉の力を最大限に引き出すための土台に過ぎません。いろいろな人とコミュニケーションをとり、相手に自分の言いたいことが最も伝わる方法を選択できるよう、経験を積み、想像力を働かせることが大切です。