大阪・関西万博の開催を前に、会場内外で利用できる「EXPO2025デジタルウォレット」が登場。その中で使える決済サービスの愛称が「ミャクペ!」、ポイントサービスが「ミャクポ!」、NFTサービスが「ミャクーン!」に決定しました。2025年4月の万博開幕まで1年半、11月から一部サービスを提供することによって、大阪・関西万博に向けた盛り上がりを高めていきたい考えです。
完全キャッシュレスとなる2025年大阪・関西万博
大阪・関西万博では完全キャッシュレスが予定されており、会場内では三井住友カードらが提供する決済プラットフォームのsteraが導入され、決済端末としてstera terminalとタブレット型POSであるTWINPOS Sxのセット1,000台を三井住友フィナンシャルグループが用意。クレジットカードの国際ブランドやQRコード決済など、60の決済手段での支払いに対応する予定です。
キャッシュレス決済手段を持たない来場者には、プリペイドカードも用意。チャージ機や相談所も設置して、完全キャッシュレスによる万博を実現する計画です。
利用者にとっては、スムーズな会計、現金不要でカード・スマートフォンだけで決済できる、決済に伴うポイントなどが得られます。店舗側にとっても、レジ時間が35%削減でき、現金がなくなることで管理コストが67%削減されるほか、不正や盗難のリスクが減少します。
どちらにとってもこうしたメリットがある、と話すのは2025年日本国際博覧会協会会場運営プロデューサーの石川勝氏。万博の完全キャッシュレス化によって、日本のキャッシュレス化の加速も狙う考えで、「様々な協力企業にも参画してもらい、オールジャパンで万博に向けた機運を高めたい」と石川氏は話します。
日本のキャッシュレス比率は、2023年に36%に達したものの諸外国に比べれば低迷しており、政府目標である比率80%を目指す上で、2025年4月から10月までの184日間にわたって実施され、想定2,820万人が来場する万博は、完全キャッシュレスのイベントとして重要な役割を担うと石川氏は判断しています。
「ミャクペ!」「ミャクポ!」を万博内外で活用
新たに愛称が発表された「ミャクペ!」は、万博会場で利用できる万博独自の決済サービス。会場では60種類の決済サービスが利用できることになる予定で、ミャクペ! を使う必要はないのですが、万博アプリである「EXPO 2025デジタルウォレット」とともにミャクペ! を提供することで、万博に対する盛り上がりの一助となることを狙います。
デジタルウォレットアプリは、10月23日からダウンロードを開始。11月1日からは一部サービスを先行提供し、2024年5月からはミャクペ! サービスもスタートします。万博に先行してサービスを提供することで、万博への機運を高めたい、と石川氏は繰り返します。
デジタルウォレットに搭載されるのは、「サーバー型の金融連携サービス」と「ブロックチェーンを活用したWeb3領域の事業連携サービス」という2種類の機能。サービスとしては、電子マネー「ミャクペ!」、ポイントサービス「ミャクポ!」、ウォレットの利用に応じて万博独自のNFT「ミャクーン!」、そして「事業連携サービス」という4種類が用意されます。
ミャクペ! 自体は三井住友フィナンシャルグループのプリペイド基盤を活用することで、銀行口座やクレジットカードなどからチャージをしてスマートフォンのタッチ決済での支払いが行えます。ミャクペ!では、クレジットカードのタッチ決済に加え、Apple Pay向けにはiD決済も利用可能。
来年5月以降は、ミャクペ! にチャージをして、一般のクレジットカードのタッチ決済やiD加盟店での支払いが可能になります。
さらに「ミャクミャクリワードプログラム」も用意し、特典やプレゼントの提供を通じて、万博アプリの利用促進を図るプログラムで、万博の協力企業やその他の事業者と連携して特典を用意する予定。
ミャクペ! はさらに、電子マネーとポイントなどの交換を行う協力会社の募集も開始。ポイントチャージもできるよう、ポイント事業者との連携も検討しているそうです。
ミャクポ! は、「買い物によって付与されるポイントではない」と協会企画局企画部企画事業課参事の谷川淑子氏は説明します。あくまで「万博機運醸成ポイント」と「SDGs関連ポイント」といった位置づけで、会期前から万博関連プログラムに参加するなどしてポイントを獲得。オリジナル景品や万博入場券との交換、会場内パビリオンでの体験との交換なども予定します。
デジタルウォレットアプリは、プラチナパートナーのSMBCグループ、ゴールドパートナーのりそな銀行とSBIグループ、サプライヤーの三菱UFJ銀行という4つの金融グループによる金融コンソーシアムが運営しますが、他に多数の協力会社が参加する予定。
事業連携サービスは、こうした協力会社などと連携してサービスを提供する計画。ブロックチェーン技術を使用して作成されたSBT(SoulBound Token)によって、譲渡ができず、改ざんもできない資格証明が可能になります。
これをデジタルIDとして活用し、会場外でも万博に関連したスタンプラリーやイベント参加証明、インセンティブの提供などが可能になるとしています。様々なサービスを提供する事業者とデジタルウォレットを接続して、万博とサービス利用者を繋げて、こちらも機運醸成に繋げたい考えです。
連携する事業者としては、例えば大阪外食産業協会があり、1万店を超える加盟店舗との連携を目指すといいます。他にもJR西日本、JAL、京都府や奈良市などの自治体などとの連携も予定されています。
事業連携サービスを担当したHashPort代表取締役CEOの吉田世博氏は、「このWeb3ウォレットを1,000万人以上の人が利用し、ウォレットとWeb3で本人確認をするSBTデジタルパスポートを持つ世界を作っていきたい」とアピール。万博アプリでWeb3ウォレットが利用されることになり、「日本が世界で一番Web3の普及が進んだ国になるような、そういったレガシーを残していきたい」と話します。
こうした万博開催までの盛り上げの中心的な役割を担う「EXPO2025デジタルウォレット」は10月23日からダウンロードを開始。キャッシュレス決済をテーマにしていることから、「ウェルカムキャンペーン」として、11月30日までにアプリをダウンロードした人の中から4万人に抽選で「EVERING」の万博特別仕様版「welcome ring」がプレゼントされます。
EVERINGは指輪型のキャッシュレス端末で、スマホアプリで残高をチャージすれば、クレジットカードのタッチ決済対応端末に指輪をタッチするだけで決済が行えます。EVERINGの決済では、今後ミャクポ! がもらえるキャンペーンも企画しているそうです。
大阪・関西万博に向けてキャッシュレス決済やウォレットアプリで盛り上げていくことができるのか、今後の取り組みにさらに注目が集まります。