ビジネスシーンでよく耳にする「スケジュール感」という言葉。なんとなく分かっているつもりでも、その意味をはっきりと説明できる人は少ないでしょう。

本記事ではスケジュール感やコスト感、サイズ感などの意味の他、スケジュール感を持つメリット、スケジュール感がない人の特徴や、スケジュール感の身に付け方を紹介します。

  • スケジュール感とは

    「スケジュール感」の意味や「スケジュール」との違い、身に付ける方法などを紹介します

「スケジュール感」の意味とは

「スケジュール感」という言葉自体に、明確な定義があるわけではありません。

しかしビジネスシーンでは「スケジュール感」は、主に「大まかなスケジュールのイメージ」「何となくのスケジュールの感覚」といった意味で使われているようです。

「予算感」「サイズ感」などに使われる「感」の意味

「感」とは、その物事の様子や、物事に接した際に生じる心の動き、感覚などを意味する言葉です。

「スケジュール感」同様に、「予算感」「サイズ感」など、さまざまな名詞の下に付けることがあります。この場合は、「○○の感じ」と考えるとイメージしやすいでしょう。

「予算感」は「予算の感じ」、「サイズ感」は「サイズの感じ」、「スケジュール感」は「スケジュール(日程、予定、計画)の感じ」といった具合です。

「スケジュール」との違いは?

「スケジュール」と「スケジュール感」は人によって捉え方が異なるので、明確な違いはありません。

強いていうなら、「スケジュール=具体的な日程、計画」「スケジュール感=ざっくりとした日程、計画」という違いがあるでしょう。

例えば「本プロジェクトのスケジュールはどのようになっていますか」と聞かれた場合は、明確な納期やマイルストーンの日付を伝えることが求められます。「最終納期は来年の1月◯日中で、その前に○月○日の段階で…」といった具合です。

しかし「本プロジェクトのスケジュール感はどのようになっていますか」と聞かれた場合は、ざっくりとした納期やマイルストーンの時期を伝えればいい、という場合が多いでしょう。「最終納期は来年の1月中旬くらいの見込みです」といった具合です。

前述の「予算」と「予算感」の例も知っておくとさらにイメージしやすいでしょう。「予算は100万円です」と言った場合は、100万円を超えることはほぼ不可能でしょう。しかし「予算感は100万円です」と言った場合には、状況次第で多少オーバーしても大丈夫、幅がある、といったニュアンスになります。

「○○感」はあくまでも「どのくらいの感覚か」という雰囲気で使う言葉です。

スケジュール感を押さえておくメリット

  • スケジュール感を押さえておくメリット

スケジュール感とは、大まかなスケジュールを捉えることだとお伝えしました。そしてスケジュール感を押さえておくと、仕事がスムーズに進みます。どういうことか、詳しく見ていきましょう。

大まかな日程・流れを押さえることで、調整がしやすい

ざっくりでも、スケジュール感があるかないかでは大きな違いがあります。大まかな予定を押さえておくことで、調整がしやすくなるでしょう。

例えばあなたが営業やクリエイターの場合、先方と納期を擦り合わせる際にスケジュール感がなければ、相手の言いなりになってしまいます。

しかし大体のスケジュール感を提示できれば、無理のない納期を設定でき、後で自分や関係者がしわ寄せを受けることを避けられます。無理のない納期であれば、関係者への依頼もしやすくなり、また万が一不測の事態が起こっても、余裕を持って対応できるでしょう。

業務の工数を見分けるスキルが身に付く

スケジュール感を押さえていれば、一日の中での大まかな流れはもちろん、数カ月単位のプロジェクトであっても、その流れをつかめます。

次のタスクまでに何を終わらせておくべきか、それぞれにどのくらいの工数を掛けられるのかといったことが把握可能です。業務工数を正確に把握できるようになれば、スケジュール設定の精度も高まります。

やるべきことの優先順位を付けられるようになる

スケジュール感をつかめば、多くの予定やタスクをさばけるようになります。日常的に多くの業務を抱えているとやるべきことの優先順位がわかりにくくなりますが、スケジュール感を押さえていれば、今やるべきことがハッキリするのです。

優先順位が明確になれば、コア業務に時間を割き、優先度の低い業務については効率的にさばけるようになるでしょう。スケジュール設定の精度がますます高まります。

スケジュール感がない人の特徴

  • スケジュール感がない人の特徴

スケジュール感は経験によって精度が上がっていくものです。最初は感覚がなくて当然ですが、次に当てはまる人は、特に自分のスケジュール感について見直してみるといいかもしれません。

漠然とした予定しか把握していない

スケジュール感がない人は、漠然とした予定しか把握していないケースが多いです。例えば紙にタスクだけが記されていて期限が書かれていなかったり、具体的な内容が書かれていなかったりします。

内容が漠然としていると正確なスケジュールが立てられないため、想定以上に時間が掛かり、次の予定やタスクに間に合わなくなってしまう場合があります。

タスク工数の想定が甘い

スケジュール感がない人は、スケジュールやタスク工数の想定が甘いケースもあります。せっかく細かいタスク内容と期限を把握していても、本来は3時間掛かるタスクを「1時間」と見積もっていれば、当然その後のスケジュールが詰まってしまいます。

以降の重要なタスクに支障が出てしまう可能性があるので、しっかりとスケジュールやタスクの工数を見積もっておくことが大切です。

スケジュールを詰め込みすぎている

スケジュールを詰め込みすぎていることも、スケジュール感がない人の特徴の一つです。多くの予定を入れると、予定をこなすことで精いっぱいになってしまい、一つ一つの作業のクオリティーが下がりかねません。

また一つの予定に想定以上の工数を要した場合、次の予定に支障が出る可能性もあります。

締め切りにバッファを持たせる、不測の事態に備えて毎日1時間は余白を作っておくなど、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

スケジュール感をつかむためのポイント

  • スケジュール感を掴むためのコツ

最後に、スケジュール感をつかむためのポイントをご紹介しましょう。先ほどお伝えした「スケジュール感のない人の特徴」に当てはまった人や、スケジュール感をつかめていないという自覚のある人は、以下のポイントを意識してみてください。

仕事を頼まれたときは必ず納期を聞く

上司や取引先などから仕事を頼まれたときは、必ず納期を聞きましょう。可能であれば、「最終納期」と「希望納期」の2つを聞くのがおすすめです。

基本的には希望納期に合わせてスケジュールを組みますが、想定以上に工数が掛かって間に合わない場合もあるでしょう。そういった場合、最終納期を知っておくことで少し余裕を持って取り組めます。

締め切りを数字で見える化する

スケジュール感を押さえるためには、最終提出物の納期だけでなく、細分化したタスクにおいて、自分の中での締め切りの設定をすることが重要です。「◯月◯日の◯時までに、○○の部分までを終わらせる」など、具体的な数字で見える化しましょう。

少し余裕を持った締め切りを設定することで、もし想定以上の時間が掛かっても、予定が後ろ倒しになることなくスケジュールを進められます。

各タスクの優先順位を決めておく

多くのタスクを抱えている場合は、各タスクの優先順位をすべて決めておきましょう。優先順位とは、重要度と緊急度によって決まります。

そして漏れがないように、具体的なタスクに落とし込んだ上でリスト化するなど、見える化しておきましょう。

メンバーとスケジュール感を共有する

仕事のプロジェクトに参加している場合などは、自分一人でスケジュールを決めず、必ずチームで共有しましょう。自分の都合だけでスケジュールを決めると、プロジェクトの進度や納期に認識のズレが生まれ、スケジュール全体が後ろ倒しになる可能性があります。

プロジェクト全体を滞りなく進めるために、メンバーがいる場合は、必ず全員でスケジュールを共有しましょう。

過去の実績をもとにスケジュールを確認する

スケジュール感をつかみたいとき、過去の実績も役立ちます。例えば営業なら、これまでの履歴をさかのぼると、似たような営業案件があるはずです。

アポイントから成約までどのくらいの期間を要したか、トータルで商談を何度行ったかなど過去の実績を調べてみると、計画が立てやすくなります。細かい部分の違いはあれど、実績の内容を調べておけば、おおむね正しいスケジュール感をつかめるでしょう。

経験者から大まかな流れを聞いてみる

上司や過去の担当者など、経験者から大まかな流れを聞くのもおすすめです。経験が豊富で成果を出している人は、スケジュール感のつかみ方も上手なことが多いです。

経験ベースで話をしてくれるので、業務プロセスのイメージもつかみやすいでしょう。自分でスケジューリングをするのが苦手な方は、経験者を頼ってみてください。

業務効率を高めるためにもスケジュール感をつかもう

本記事では、スケジュール感の意味やつかみ方について詳しくお伝えしました。スケジュール感には「大まかなスケジュール」というニュアンスがあります。

スケジュール感をつかむことで業務工数を見極められたり、優先順位をつけられるようになったりとメリットも多いです。スケジュール感をうまくつかめず悩んでいる方は、本記事でお伝えしたポイントをお役立てください。