Eメールやチャットツールが浸透している現代においても、電話は欠かせないコミュニケーションツールです。そして電話後のお礼メールは、相手との信頼関係を構築する上での重要なステップになります。また電話の内容に対する双方の認識合わせ、確認をする際の導入にも使えます。
本記事では「先程はお電話にてありがとうございました」について、シーン別のメール例文や詳しい意味、言い換え、注意点などを紹介します。
「先程はお電話にてありがとうございました」の意味とは
「先程はお電話にてありがとうございました」とは、電話後のフォローメールなどにおいて、相手に対して感謝を伝えるフレーズであり、特にビジネスシーンでよく使用されます。
それぞれの単語の意味、フレーズの構造を確認しておきましょう。
- 「先程(さきほど)」:少し前のこと。電話が終わってからあまり時間がたっていないことを意味する
- 「お電話」:電話を丁寧に表現し相手に対する敬意を示す
- 「にて」:手段や理由などを表す格助詞。ここでは、具体的に何に対するお礼なのかを示す言葉は省略されている
- 「ありがとうございました」:フォーマルな場面で使われる丁寧なお礼の表現
これらを合わせて、「電話でやり取りした話の内容に対する感謝」あるいは「電話の時間を取ってくれたことに対する感謝」などを意味します。
具体的に何の内容についてのお礼なのかは省略されているため、硬い表現というよりは、お礼を伝えるために日常的に使えるフレーズと言えるでしょう。
「先程はお電話にてありがとうございました」の使い方と例文【シーン別】
取引先と電話でのコミュニケーションが必要な仕事であれば、「先程はお電話にてありがとうございました」を利用できるビジネスシーンは多く存在します。基本的には、電話で会話した後にメールなどを送る際に使用するフレーズです。
この章では、場面に応じた使い方と例文をシーン別に紹介します。どんなシーンで使えるか、具体的な場面をイメージしておきましょう。
受発注に関するお礼と詳細の確認
電話で商品の注文を受けたケース、または受けてもらったケースで、相手にお礼を伝えるために使われます。同時に、口頭だけでは不安な場合に、相手が注文の内容を再確認できるよう、お礼に続けて詳細を記載すると自然な文章になります。
電話の内容は時間の経過と共に記憶が不鮮明になりがちです。多数の取引先を抱えている場合はなおさらで、後から見返せるメールが残っているだけでも安心感があります。電話とメールを組み合わせて丁寧なコミュニケーションを取ることで、相手に好印象を与えましょう。
【例文】
先程はお電話にてありがとうございました。
改めてご注文内容を記載いたします。
(中略)
ご注文の商品は、ご希望の納期【◯月◯日中】までに届くよう、手配いたします。
内容の補足や重要な連絡事項に関する確認
電話での打ち合わせで伝え忘れてしまったことがある場合や、新たに出てきた不明点の確認をしたい場合、メールで電話のお礼を伝えると同時に、改めて補足・確認をする方法があります。
時間を空けずに再度電話を掛ければ相手を煩わせてしまうばかりか、不在時に折り返しの手間が発生するなど非効率にもつながります。事前の電話で話の全体像について共通の認識を持っていれば、わざわざ電話をするまでもなくメールで十分です。
先の打ち合わせについてお礼を伝えつつ、補足情報を手短に記述する、あるいは確認事項だけを問い合わせるとスマートでしょう。
【例文】
先程はお電話にてありがとうございました。
さてご依頼いただいた条件でお見積もりを作成するにあたって、以下の点についても追加でご教示いただけますと幸いです。
商談など、かしこまったアポイントの日程確認
連絡先は知っているが取引関係のない見込み客にアポイントを取り付けた場合や、今までもやり取りのある取引先ではあるが重要な商談の際など、かしこまった面談のアポイントを取った後は、お礼のメールにアポイントの詳細を付け加えると安心でしょう。
改めて文字にすることで、自分は「4日(よっか)」だと思っていたが先方は「8日(ようか)」だと思っていた、自分は「本社に行く」と思っていたが先方は「支社に来てくれる」と思っていたなどの認識の違いを解消することができます。
また日時や場所に加え、面談の目的や確認連絡を伝えておくことで、訪問の重要度やゴールを先方にあらかじめ認識してもらうことも可能です。
【例文】
先程はお電話にてありがとうございました。
お電話の内容と重複いたしますが、念のためアポイントの詳細をこちらにも記載いたします。
(中略)
〇〇様にお会いできることを楽しみにしております。
要望やクレームに対する反応
電話で取引先などからクレームを受けた場合に、改めて、謝罪と同時に貴重な意見を頂いたことへの感謝を示すことが有効です。手段はメールもしくは、込み入った内容であれば手紙を送ることもあります。手紙の場合は時差があるので、「先程」の部分を「先日」とするといいでしょう。
電話での強いクレームの場合、電話口では相手が感情的になっている場合があります。電話後に相手の気持ちが落ち着いてきたタイミングで、重ねての謝罪と再発防止策に加え、貴重な意見に対する感謝の気持ちをセットで伝えることが重要です。
【例文】
先程はお電話にてありがとうございました。
頂いた貴重なご意見をもとに、社内にて早急に再発防止策を検討いたします。
この度は多大なるご迷惑をお掛けしましたこと、お詫び申し上げます。
「先程はお電話にてありがとうございました」の類語・言い換え表現
「先程はお電話にてありがとうございました」の言い換え表現も押さえておきましょう。
先程はお電話にてご対応いただき、ありがとうございました
電話の相手に問い合わせ、あるいはお願い事などをして、その場で対応してもらった場合に使えるフレーズです。
「ご対応いただき」を加えることで、丁寧な印象とともに、相手に対して敬意を示すことができます。
先程はお電話いただき、ありがとうございました
相手から電話を受けた側が、連絡をもらったことに対してお礼を伝えるためのフレーズです。
電話でやり取りをした内容に焦点を当てるというよりは、「電話をしてもらえたことがうれしいです」というような、ウエルカムなニュアンスになります。
お電話ありがとうございました
最小限の言葉でシンプルな分、少し砕けた表現です。社内の関係者や親しい間柄の取引先など、フランクなコミュニケーションが取りやすい相手に使うといいでしょう。
「先程はお電話にてありがとうございました」のお礼メール使用時の注意点
「先程はお電話にてありがとうございました」は、使い方次第で相手に失礼な印象を与えてしまう場合もあります。誤解を避けるためには「お礼を受けた相手はどう感じるだろうか」と、受け手の気持ちを考えることが基本です。
この章では「先程はお電話にてありがとうございました」を使う際の注意点を、深掘りして紹介します。
時間を空けず早いタイミングで送る
お礼は早くした方が相手に気持ちが伝わりやすいので、メールを送るタイミングは電話をした当日中がベストです。電話をした時間帯が終業時刻に近い場合、必ずしも当日中に送る必要はありませんが、遅くとも翌日の午前中には送るようにしましょう。翌日の場合は「先程は」を「昨日は」に変更します。
相手が多忙な人であるほど、お礼の連絡まで日にちが空いてしまうと「何の話だっけ?」と混乱させてしまう可能性があります。また「仕事が遅い」と思われてしまう恐れもあります。本当に感謝しているのかとさえ疑問視されてしまうかもしれません。特になるべく早く対応しなければならない急ぎの案件などは、注意が必要です。
定型文の使用はなるべく避ける
定型文を使用すると、お礼の文章を作る業務時間は短縮できますが、パターンが単調になってしまいがちです。変化がない単調なお礼表現では、読む相手方も次第に目を通さなくなるでしょう。「本当に感謝しているのか」と疑問視されやすい、単調な定型文の使用は避けた方が無難です。
「先程はお電話にてありがとうございました」のフレーズは共通で使いつつ、ほかの文面で変化を持たせる必要があります。例えば「先日の注文は急ぎで対応していただき、大変助かりました」「いつも高品質な商品を納品していただき、お得意さまにも大変ご好評をいただいております」など、普段から感じていることを伝えてもいいでしょう。
長文にならないよう文章は簡潔に
「お電話にてありがとうございました」に続いて、大量に業務上の情報が記載されていたら、読み手はどう感じるでしょう。「なんでさっき電話で伝えてくれなかったのかな」と思うかもしれません。
お礼表現に続く文章はあくまで簡潔に、電話の内容の補足にとどめましょう。
もし多くの情報、全く別の新たな情報を伝えなければならない場合は、時間を空けて別のメールで行う方がいいでしょう。
「先程はお電話にてありがとうございました」を含むビジネスメールの例文
「先程はお電話にてありがとうございました」を使ったお礼は、メールで行われるのが一般的です。この章では、実際のお礼メールの例を紹介します。
件名:お電話でのご注文のお礼とご注文詳細/◯◯株式会社(名前)
株式会社△△ △△様
お世話になっております。◯◯株式会社(名前)です。
先程はお電話にてご注文いただきましてありがとうございました。
改めて、ご注文内容を以下に記載いたします。
・商品名:◯◯◯◯
・数量:◯◯kg
・納品先:株式会社△△ XYZ工場(△△県△△市…)
・納品日:◯◯年◯月◯◯日
ご不明な点やご要望がございましたら、いつでもご連絡ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
(名前)
「先程はお電話にてありがとうございました」を含むお礼メールを送ってみよう
「先程はお電話にてありがとうございました」を活用すると、仕事でお世話になっている相手に感謝の気持ちを伝えつつ、おのずと丁寧なコミュニケーションを取ることにつながります。
取引先に好印象を与え、ビジネス関係を深めるための方法として、「先程はお電話にてありがとうございました」を使ったお礼メールを実践してみましょう。