女優の富田望生が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、22日に放送される『ボクと父ちゃんの記憶 2023 ~父のいない家と母の夢~』。若年性認知症で施設に入った父を介護してきた息子と家族の新たな生活を追った作品だ。
このシリーズのナレーションを収録するのは5回目となり、一家に親近感を覚えながら語りを吹き込んでいるという富田。今回は、彼らの“前を向く”姿に希望を感じたという――。
■林さん一家と「一緒に入っているような気持ち」
緑に囲まれた千葉・睦沢町で暮らす林さん一家は、50歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断された父・佳秀さんを、母・京子さんや息子・大介さんを中心に、2人の妹たちと介護してきた。しかし病が進行し、京子さんは佳秀さんを介護施設に入所させることを決断。離れて暮らすことで父の記憶から家族の存在が消えてしまう……それは、実質的な父との“別れ”を意味していた――。
2021年からこのシリーズのナレーションを担当する富田は「こんなにも長くこの家族と一緒に走れていることがうれしくて、ありがたいです。お会いしたことがないのに、“あの日々がここにつながったんだ”とか、“胸の内にこういう思いがあったんだ”ということが知れると、一緒に走っているような気持ちになるんです」と、親近感があるのだそう。
それだけに、「これまでの物語からもグッとくる部分があって、改めてこの家族の絆の強さ、意志の強さ、“父ちゃん”への愛が見えました」と実感した。
■“大ちゃん”から“大介さん”に
今回は、京子さんの「また家族一緒に、みんなで暮らすことはできないか…」という思いからの夢を知り、そこに向かっていくパワフルな一面を見ることができる。
「京子さんが認知症の介護について相談される側になる場面もありましたが、そのときの行動の仕方や場の作り方に、経験者だからこそかもしれないけど、根っからの“人と接する優しさ”がにじみ出ていた気がしました。それは今まで見えなかった新しい一面かもしれないけど、実は変わらないんですよね。どんなに忙しくても、家族の形が変わっても、新しい日常が始まっても、京子さんは変わらないんだということを、確認できたと思いました」
一方でこれまでと変わったのは、大介さんの成長だ。いわゆる「ヤングケアラー」だったが、父が施設に入り、高校を卒業して就職し、今回は恋愛の行方も描かれている。
「今まではボウルのままご飯を食べたり、上半身裸になっていたりして“少年”という感じだったのですが、“大ちゃん”から“大介さん”になったなという感覚があります。男らしくなって頼りがいがさらに増していたのですが、それは就職して自分でお金を稼ぐという立場になって一生懸命になっているからこそ、“大介さん”が見られたのではないかと思います」
しかし、恋の相手に対する押しの弱さには、思わず「そこはグッと進まないとダメだぞ!(笑)」と指摘。「プライベートな部分を見ると、ちょっと語ってるだけじゃいられなくて、ツッコミたくなりますね(笑)」と、彼の“お姉さん”のような気持ちになってしまうようだ。