第一三共ヘルスケアの解熱鎮痛剤ブランド「ロキソニン(R)」(OTC医薬品)は10月18日、「みんなの生理痛プロジェクト」高校教師向けセミナー・ワークショップを開催。埼玉県立大宮南高等学校の1学年担任9名が参加し、産婦人科医・高尾美穂先生によるセミナーを聞いたり、"教師や学校ができること"を考えたりしました。
■「生理痛と正しく向き合える社会」の実現に向けて
2023年3月、生理痛のメカニズムに着目した新製品「ロキソニンSプレミアムファイン」の発売に合わせて始動した「みんなの生理痛プロジェクト」は、「生理痛と正しく向き合える社会へ」をコンセプトに、俳優・石原さとみを起用した広告などを展開。性別を問わず、より多くの人に「生理痛に正しく向き合ってもらうため」の活動を行うと共に、これに関する情報を発信してきました。
同プロジェクトは、20~40歳の女性を対象にした「生理・生理痛に関する実態調査」の結果を受け、立ち上げられました。それによれば、生理痛を経験する女性の9割以上が「何らかの我慢をしている」ことが明らかに。同じく9割以上が「生理・生理痛に悩んでいる人がいるという事実が理解されてほしい」と回答したのです。
第一三共ヘルスケア ブランド推進本部 広告宣伝グループ主任の鈴木佳那子氏は、「生理・生理痛に関して、多くの若い女性が『何らかの我慢している』ということを知り、ショックを受けました。そして『もっと理解を深めなければ』と考え、プロジェクトを始動しました。痛みを感じているご本人にも、周囲にも、社会にも、『生理痛を甘く見ないで』ということを伝えたいです」と話します。
■4パートに分けて"生理・生理痛"と向き合う
プロジェクトの"FIRST STEP ACTION"として今年12月、埼玉県立大宮南高等学校において、同校生徒を対象に生理痛について学び・考える授業」が実施されることが決定しました。これは、生理痛の理解促進と対処啓発を目的に、同校とロキソニン、女性のウェルネス課題の解決・支援事業を行うFermataの三者がタッグを組んで実施するものです。
今回の高校教師向けセミナー・ワークショップは、この12月の授業実施に向けて、日々生徒と向き合っている教師が"生理・生理痛"について改めて学び、"生徒が自分ごと化できる授業"を考える内容となっていました。
当日は、生理痛に関する教師の理解の実態を共有し合う「共有」、産婦人科医・高尾美穂医師による基礎知識セミナーの時間「学ぶ」、教師や学校ができることを考える「考える」、12月の授業実施に向けて必要な工夫を考える「行動する」のパートで展開。
【1】生理・生理痛へのイメージや意見を共有し合う
「共有」のパートでは、「学校とはどういう場所か」「痛みを色で表すと何色が浮かぶか」「生理に関してどういうキーワードが思い浮かぶか」といったお題に対してイメージすることを、教師陣が絵や色、言葉を使って付箋に記していき、それを大きな模造紙にどんどん貼り付けていきました。
【2】産婦人科医に生理の仕組みなどを学ぶ
また、高尾医師のセミナーでは、男女の生物学的な性差や臓器の違い、生理の仕組みについてなどを学びました。高尾医師は「生理について理解することは、相互理解のベースになるということを知っておいていただけたら」と話します。
●生理痛が起こるメカニズムを解説
「女性の体にある子宮は筋肉でできている臓器で、自分でコントロールすることができない筋肉。エストロゲンというホルモンが分泌され、排卵が起こった後には、いろいろなところが浮腫んだり、PMSの原因になるプロゲステロンが分泌され、それが終わると、赤ちゃんが乗るためのベッド(子宮内膜)が剥がれて出血(生理)が起こります。その剥がれた内膜は、自然に身体の外に排出されるかというとそうではなく、体外に押し出すため、ボトルを手でぎゅーっと握りつぶすような形で筋肉を動かします。この力(プロスタグランジン)が強過ぎると、下腹部が締め付けられるような痛みになります」と高尾医師。
●痛みを我慢せず、症状に合わせた対処をすることの重要性も強調
「この痛みをブロックするのがロキソニンといった痛み止めのお薬の役割。これを知っておけば、『体がプロスタグランジンを作りかけているときに早めにお薬を飲めば対処できる』ということを、先生が生徒にアドバイスできると思います。また、婦人科に相談に行くようにしてもらえれば、痛み止めのほか、低用量ピルの対処法も提案できます。対処法が分かれば、痛みを気にせずにしたいことに集中できます」と話しました。
さらに、「生理で生活に支障が出ているなら、それは対処するべき課題。本人が困っているならば月経困難症という診断になります」と説明。「若い女性の場合は、子宮や卵巣に明らかな異常が認められない『機能性月経困難症』であることが多いのですが、この症状が重かった人は、将来的に子宮内膜症になるリスクが高く、不妊症の理由にも成り得るので、若い年代からきちんと対策した方がいいです」と強調しました。
【3】教師として、学校としてできることを考える
続いて、セミナー後の「考える」のパートでは、生理痛について「教師として生徒にできること」「学校として生徒にできること」をディスカッション。「休暇の取得・相談できる場所・産婦人科との連携・休憩できる場所などについて、制度を整備する」「1年時にやる職業調べと同時に、男女の生物学的な性差や、女性にはタイムリミットのある期間限定の臓器があることを伝え、キャリア形成に関係するということも指導したい」「保健だよりやワークショップで全体に周知する」といったアイデアが交換されました。
【4】生徒のワークショップ充実に向けた具体的なアプローチに落とし込む
最後に「行動する」のパートでは、今後の生徒向けワークショップの充実につながるよう、内容で工夫したいこと、進め方で工夫したいことを発表。「大宮南高校は男子生徒がやや多いので、リアリティを感じてもらうためにケーススタディの方が参加しやすいのではないかと思う」「生徒に伝えたいことの着地点を決める」「男女混合のグループで学んでもらう」「個人で考える時間を長めに取る」といったアイデアがまとめられました。
■生理・生理痛を抱える人を"想像する"きっかけにしてほしい
第一三共ヘルスケアの鈴木氏は今回のセミナーを終え、「この学びをキャリア形成を考える際に結び付けていくという新たな視点には驚きました。先生ならではのご意見だったなと思います。このディスカッションに答えはないのですが、12月に生徒さんたちに対して実施する『生理痛について学び・考える授業』でも、"どうしたら置いてけぼりにならずに学べるか"ということを考えながら、普段の生活や家族の話など、身近な事例を絡めたりすることで、自分ごと化していただけるようにしたいです」と語りました。
さらに、「授業は、"生理や生理痛について理解を深める"というところまでは考えておらず、『それによって毎月、目には見えないけれど痛い思いをしている人がいるのかもしれない』ということを考えるきっかけにしていただければと。まずはそこから。思いやりの気持ちを育んでいただけたらと思っています」と期待を込めました。