家電を動かすには電気が必須。一見すると「エコ」や「サステナブル」というイメージはわかないかもしれませんが、最近は多くの家電メーカーが環境に配慮した取り組みをはじめています。
パナソニックもそんなメーカーのひとつ。パナソニックがメディア向けに開催した、家電とサステナブルをテーマにしたイベントを取材しました。「環境に配慮している」というのは、ユーザーの目には正直わかりにくいところも多いため、最新家電のどこに環境に配慮した工夫があるのかを見てきました。
輸送時から「サステナブル」はスタートしている
パナソニックはいち早く環境配慮活動をスタートしたメーカーです。わかりやすいのは家電に使われるダンボールの印刷。かつて「パナソニック」「ナショナル」と複数のブランドを使い分けていましたが、パナソニックに統一した2008年から、家電の輸送用ダンボールの印刷を「一色インク」にして、インクロスの少ないエコ仕様に。
最近はプラスチックや発泡スチロール製だった緩衝材を、折り込み式のダンボールやパルプモールドといったリサイクル可能な紙資材に変更しました。このほか、カメラの化粧箱などに採用していた表面がツルツルとしたフィルムコーティングを分別廃棄性がよい樹脂フィルムレス仕様に切り替えたり、そもそも梱包サイズを小さくしたりと、さまざまな工夫で梱包のプラスチック使用率を減らしています。
梱包資材のほか、製品本体の素材も変化しています。たとえば、インバーター全自動洗濯機(NA-FA7H2)などは本体のプラスチックのうち約40%に再生プラスチックを採用。古くからの石油を原料としたプラスチックではなく、自然由来のバイオマスプラスチックを採用した製品も増えています。
こういったエコ素材は、少なくとも現時点では従来の石油を由来とするプラスチックと比べて格段に高コストです。それでもパナソニックは、そこに価値を見出しているということでしょう。
意外なところでサステナブル化が進んでいるのは「紙カタログ」です。かつてはイメージ写真などを多用した小冊子のようなカタログが多かったものですが、最近は各モデルの特徴やスペックの概要をさっと見られる簡易的なものに変更。店頭では紙カタログによって各モデルのおおまかな機能やスペックの違いをわかるようにして、詳細はQRコードから開くWebページでチェックするように工夫しています。
「家電を使う」ことが環境配慮になる場合も?
家電を使うことが、環境配慮につながることもあります。たとえば、パナソニックのドラム式洗濯乾燥機「NA-LX129CL」は、アウトドアウェアやレインコートで劣化してしまった撥水(はっすい)機能をよみがえらせる「はっ水回復コース」を搭載。
水を弾かなくなった衣類を再生して、一枚の衣類を長く使えるようにケアできます。LXシリーズは、国内の洗濯機では珍しい「おしゃれ着洗い用洗剤の自動投入機能」を搭載したりと、衣類を「ケア」することに優れている洗濯機です。
また、食洗器を使えば手洗いよりもキレイになるうえ大きな節水になります。4~5人家族分の食器(食器40点・小物20点)を手洗いすると約75Lの水が必要とされていますが、食洗機の「NP-TZ300」を使うと約11Lの水で洗えます。しかも熱湯を利用するため除菌にもなって清潔な仕上がりです。
テクノロジーを活かしたサステナブルな家電もあります。最近はフードロス問題が取り上げられることが増えていますが、外出先からスマートフォンで好きな量を炊飯できる自動計量IH炊飯器「SR-AX1」なら、フードロスの削減にも貢献できるかもしれません。
SR-AX1は、スマートフォンアプリで「茶碗一杯分」から好きな量の炊飯を指定できる炊飯器。最低で0.5合を炊けるため、「食べきれる量だけそのつど炊く」ことでフードロスを減らせるでしょう。また、SR-AX1は無洗米専用ということで、「炊飯時にとぎ汁がでない」という点でも環境に優しいといえます。
以上、駆け足ですがパナソニックのサステナブルな家電関連の取り組みの一部を紹介しました。家電といえば我々の生活を快適かつ便利にしてくれるものですが、今後は環境に配慮した製品であることも、選ぶ理由のひとつになっていくのかもしれません。