栃木県那珂川町の那珂川町観光協会は、80年以上前に廃止になった東野鉄道の廃線跡と幻の未成線をたどるツアーを12月2・16日に開催すると発表した。監修とナビゲートを「旅の文筆家」蜂谷あす美氏が担当する。

  • 廃止前の東野鉄道(大田原市那須与一伝承館提供)

東野鉄道は1918(大正7)年4月に西那須野~黒羽間13.1kmが開業。1924(大正13)年12月に黒羽~那須小川間13.3kmが延長開業した。さらに茨城県大子までの路線延長が計画されたものの、大戦後の不景気で貨物量減少による赤字が大きくなり、黒羽~那須小川間は1939(昭和14))6月に廃止されたという。

その後も乗降客と貨物の減少が続いた中、1966(昭和41)年9月25日朝、栃木県北部地方を襲った台風25号により、東野鉄道の蛇尾川鉄橋が破壊された。その復旧費が負担となり、1968(昭和43)年12月に西那須野~黒羽間を廃止。東野鉄道の全線が廃線となった。

今回企画されたツアーでは、東野鉄道に精通した地元の学芸員とともに、1939年に廃止された先端区間の廃線跡を見学。廃止から80年以上経過しているものの、草むらをかき分けた先にホームの跡や橋台などが残り、静かな時間旅行へいざなう。廃線跡だけでなく、線路がつながるはずだった大子(茨城県大子町)までの未成線も見て回る予定。貴重な史料を携え、計画予定地を歩けば、山裾を縫うように走る列車の姿が脳裏に浮かぶという。

  • 「東野鉄道 廃線・未成線をめぐる まぼろしの鉄道の旅」ツアーPRチラシ

昼食は那珂川町の名産が詰まった「東野鉄道駅弁」を用意。こだわりの掛け紙にも注目とのこと。参加者限定オリジナル「硬券切符型しおり」「東野鉄道社章キーホルダー」も用意する。12月2・16日に2回開催予定とされ、募集人数は10名。参加費は7,500円。申込み方法は那珂川町観光協会のサイトに掲載予定となっている。