2023年10月16日は、ソニーのフルサイズミラーレスの初代モデル「α7」「α7R」が登場してからちょうど10年になります。「誰も作らなかったカメラ。」をキャッチフレーズに登場した初代α7、当時は「売れないだろう」といぶかしがる声もあったものの、小型軽量ボディをかたくなに守りながらオートフォーカス性能や速写性能、動画性能をどん欲に磨き上げ、アマチュアのみならずプロの支持も獲得してフルサイズミラーレス市場を独走。現在も高いシェアを誇っています。

  • 2013年10月16日に開かれた新製品発表会で、ソニーがEマウント初のフルサイズミラーレス「α7」「α7R」を発表。当時は「Eマウントでフルサイズは無理」と言われていたが、圧倒的な小型軽量ボディと手ごろな価格で写真ファンを驚かせた

  • 初号機から、標準モデルのα7(右)と高画素モデルのα7R(左)をラインナップしていた。この路線は現在も継承している

  • ボディ剛性や操作性、質感に課題があると指摘されたが、2世代目モデルのα7 IIで早くも改善してきた

  • 機動力の高さと画質の高さを両立した、これまでにない発想で作られたカメラだとした

現在、αシリーズのカメラはディープラーニング技術を用いたAIプロセッシングユニットを搭載し、リアルタイム認識AFで被写体追従性能をさらに引き上げることに成功。α7R Vを皮切りに、α6700やα7C II、α7CRなどの中上位モデルに続々と搭載しています。

交換レンズのリニューアルを精力的に進めているのもαシリーズのポイント。発売から時間が経ったG MasterシリーズやGレンズを対象に、描写性能を高めつつ大幅な小型軽量化を図った改良版を意欲的にリリースしています。もっとも新しい望遠ズームレンズの新版「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」(SEL70200G2)は、製品名の通りマクロ機能も強化し、「指名買いされる小三元ズーム」としてスマッシュヒットしています。

  • 初代モデルから大幅な小型軽量化を図りつつ、マクロ性能も高めたことが注目されているFE 70-200mm F4 Macro G OSS II

若年層を中心に高まる動画需要に応えるべく、直営店のソニーストアを動画重視の方針でリニューアルしているのも最近のトレンド。専門知識を持つスタッフによるレクチャー付きの動画撮影や編集、配信が体験できる場を無料で提供し、新たなソニーファンや熱心なソニーユーザーの獲得を狙います。

  • ソニーストア札幌を皮切りに設置を進めている動画体験コーナー。動画クリエイターの間で定評のあるカメラやアクセサリーを設置し、動画撮影や編集、配信が無料で体験できる

2024年7月にはパリ五輪が開かれることから、2024年春ごろまでに各社がフルサイズミラーレスのフラッグシップモデルを投入するとみられています。ソニーも、α1シリーズやα9シリーズでどのような斬新な変化を見せるのか、注目です。