帝国データバンクは10月10日、「2023年上半期の企業倒産件数」を発表した。集計期間は4月1日~9月30日、集計対象は負債1,000万円以上法的整理による倒産。
2023年度上半期の倒産件数は4,208件(前年同期比+34.7%)と、上半期としては2年連続で前年を上回り、4年ぶりに4,000件を超えた。増加率(年度半期ベース)は2000年度以降で最も高くなっている。
負債総額は、前年同期比10.1%減の1兆5,868億3,600万円。前年同期から減少したものの、「パナソニック液晶ディスプレイ」や「ユニゾホールディングス」などの大型倒産が相次いだこともあり、上半期としては10年ぶりに2年連続で1兆円を超えた。
業種別にみると、15年ぶりに全7業種で前年同期を上回り、特に「サービス業」(1,022件、前年同期比+26.0%)が最も多く、「小売業」(885件、同+58.3%)では前年同期から300件を超える大幅増に。資材価格の高止まりや人手不足が続く「建設業」は、上半期としては2年連続で前年を上回った。
主因別にみると、「販売不振」が3,312件(前年同期比+41.6%)で全体の78.7%を占める結果に。また、「業界不振」(同+29.0%)などを含めた「不況型倒産」の合計は3,377件(同+41.8%)と、2000年度以降初の前年同期から4割増に。
倒産態様別にみると、「清算型」では、「破産」が3,959件(同+36.8%)、「特別清算」が134件(同+11.7%)で、合計4,093件(同+35.8%)と全体の97.3%を占める結果に。「再生型」倒産は115件(同+6.5%増)発生した。
負債規模別では、「5000万円未満」が最も多い2,424件(同+35.7%増)。一方、「100億円未満」が14件(同+55.6%)、「100億円以上」は10件(同+42.9%)となるなど、大型倒産の増加が目立つ結果に。
資本金規模別では、「1000万円未満(個人事業主含む)」の倒産が2,868件(同+38.0%)発生し、全体の68.2%を占めた。
業歴別にみると、「30年以上」が1,355件(同+33.6%)で最も多く、全体の32.2%を占める結果に。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は46件(同+24.3%)発生。一方、業歴10年未満の新興企業は1,230件(同+33.8%)と、上半期としては10年ぶりに1,200件を超えた。
地域別では、15年ぶりに全9地域で前年同期を上回った。このうち、「北海道」(118件、同+22.9%)、「東北」(225件、同+53.1%)、「関東」(1,552件、同+33.0%)、「九州」(358件、同+55.0%)では、コロナ禍前の2019年度上半期を超えた。
注目の倒産動向
2023年度上半期の「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、324件(前年同期比+58.0%)発生、年度半期ベースで過去最多を更新した。また、実際の融資額が判明した約330社のゼロゼロ融資借入額の平均は約5,800万円となり、「不良債権(焦げ付き)」に相当するゼロゼロ融資喪失総額は推計で約596億1,700万円にのぼった。
「人手不足」による倒産件数は135件(同+104.5%)。前年同期から倍増、年度上半期ベースで初の100件超えとなり、通年で過去最多を大幅に更新する見込み。業種別では、「建設業」(51件)が最も多く、「サービス業」(31件)、「運輸・通信業」(23件)が続いた。
また、「後継者難」倒産は287件(同+23.7%)と、年度半期ベースで過去最多を更新。さらに、「経営者の病気・死亡」による倒産が全体の約4割を占めるなど、後継者の選定ができずに代表者が活動できなくなり倒産となった企業が目立った。
「物価高(インフレ)」による倒産は383件(同+142.4%)と、前年同期から約2.4倍に急増し、このペースで推移すれば、11月にも前年度(463件)を上回る見込みに。主因別では、「原材料」や「エネルギー」コスト高騰などが多数を占めたが、「人件費」の上昇による倒産が前年同期の約3倍となった。