スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究チームは、音に反応してインスリンを放出する「デザイナー細胞」を創り上げたのだが、その細胞が最も効果を発揮した曲は、なんと英ロックバンド・QUEENの世界的ヒット曲「We Will Rock You」だったそうだ。この研究成果は、医学雑誌「The Lancet」に掲載されている。ネットでは「現代の最新医療」「音楽の可能性は無限大」などと話題だ。

  • クイーンの名曲で「インスリン分泌」する人工細胞が開発される - ネット「音楽の可能性は無限」「ロックで病気治る」

    QUEENの世界的ヒット曲「We Will Rock You」で、インスリン分泌が最も促進される細胞が誕生したようだ

糖尿病は、体内のインスリン不足または細胞へのインスリン効果の低下により血糖値が高くなる病気。糖尿病患者の体内では、インスリンがほとんど分泌されないため、注射器などで外部からインスリンを投与する必要があり、もっと簡単に体内のインスリンレベルを増加させる方法が模索されてきた。

この研究によると、同研究チームは、大腸菌からカルシウムイオンの細胞内物質への流入を制御するタンパク質を採取。そのタンパク質を人のインスリン細胞に組み込み、細胞にイオンの通り道を備えたデザイナー細胞を開発したという。このデザイナー細胞は、音波に反応して正電荷を帯びたカルシウムイオンを細胞内に侵入させ、細胞内で生成されたインスリンを外部に放出させる性質があることがわかったのだとか。

そこで、この細胞において、どの音量レベルと周波数が最も影響を与えるかを分析。すると、60dB前後の音量レベルと50Hzの低音周波数にさらされたとき、最も効果的な反応を示すことが判明したそう。さらに同研究チームは、どのジャンルの音楽が効果的かを、デザイナー細胞を移植したマウスを使って実験を行なった。

その結果、最も効果が高かった曲は、QUEENの世界的ヒット曲「We Will Rock You」で、5分以内にインスリンの約70%を放出し、15分以内に完全に放出させられたそうだ。次いで、米スーパーヒーロー映画「アベンジャーズ」のサウンドトラックだったという。逆に、クラシック音楽やインストゥルメンタル・ギターのような低音の少ない音楽に対する反応は低かったとのこと。

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ちなみに、デザイナー細胞によるインスリンの放出は、移植したデザイナー細胞とスピーカーが直接くっついているときだけだったという。イヤホンやヘッドホンで音楽を聴いても効果はなく、さらに飛行機の音や芝刈り機の音、会話など日常的な周囲の雑音ではインスリン反応は起こらなかったそうだ。つまり意図せずインスリンが放出されることはないようだ。

ネット上では「音楽の可能性は無限大😌」「コレが現代の最新医療ですね」「マジでメタルがガンに効く未来まで見えてきたな……」などの声が寄せられた。