スイーツブランド「BAKE CHEESE TART」「PRESS BUTTER SAND」などを手掛けるBAKE は、今年10周年を迎える。コロナ禍で変化した市場に対応するため経営戦略を新しく再定義、また実店舗のないECで展開する新ブランド 架空のパティスリー「しろいし洋菓子店」をオープンする。10月10日には「BAKE INC.10周年戦略 & 新ブランド発表会」を開催 、その様子をレポートする。
オンラインとオフラインの好循環を生み出す新戦略
今年10周年を迎えたBAKEは、しあわせにBAKEるをミッションにブランドを展開している。お菓子の製造・販売をメイン事業としながら、コロナ禍に立ち上げたECサイト「BAKE THE ONLINE」での販売、WEBメディア「THE BAKE MAGAZINE」の運営も行う。
同社は創業以来、ユニークなビジネスモデルである「1ブランド1プロダクト戦略」、北海道に自社工場を持つといった独自の「おいしさの三原則」、お菓子にひとつの世界観・ストーリーを持たせて提供する「ブランディング力」を経営戦略としてきた。
しかし、消費者や業界などの市場の動向がコロナ禍により急速に変化し、従来のビジネスモデルの転換が必要となったアフターコロナでは、「おいしさの三原則」、「ブランディング力」はそのままに、「1ブランド1プロダクト戦略」を廃止し、新しく4つの要素でビジネスモデルを再構築した。
新しい4要素には、多様化する価値観に合わせた「多彩なブランドポートフォリオ」、オンラインとオフラインを融合し、利便性の高いシームレスなサービスの提供「OMO(Online marges with Offline)」、「会員基盤」の立ち上げ、「SDGs・オープンイノベーション」を取り込み、経営戦略を再定義したという。
特に、これまではBAKE.INCのコーポレートイメージをフォーカスしてこなかったため、各ブランドが同じ運営会社だと認知されていなかった。しかし、今後はBAKE.INCをマスターブランドとして「BAKE the SHOP」や「BAKE the ONLINE」で世界観を体現し、「『BAKE.INC』だから期待できる」という事業ブランドを展開していく。
また、「OMO戦略」も注力していく。オフラインではリアル店舗で五感に訴求し、最大の体験価値ができる場所に、オンラインでは特有の没入感、利便性を活かし、EC限定ブランドやライブコマースを活用しながら、自社ECサイト「BAKE the ONLINE」で購買できる仕組みを作る。他にも、オンラインメディアのタッチポイントを使い誘客をするなど、オンラインとオフラインを両方使うことで、好循環を生み出す戦略を掲げるという。
今後は、OMOをベースとした国内のブランドビジネスを再構築する。そして「ECでの成長戦略推進」「新ブランドのローンチ」「海外事業の伸長」の3つの柱に注力していくとした。
OMOブランド「しろいし洋菓子店」ラインナップ
また、BAKEはコロナ禍を経てデジタルシフトした顧客に対応し、オンラインを基軸にOMOを実現したブランドを新たに立ち上げる。
今回オープンするのは、新ブランド 架空のパティスリー「しろいし洋菓子店」。本ブランドは、実店舗のないECで展開するもので「BAKE the ONLINE」にて販売するという。
コンセプトは「北海道の素材にこだわった、アートなお菓子作りにひとびとが『うつつをぬかす』洋菓子店」。BAKEの自社工場である北海道札幌市白石区の「しろいし」をネーミングに取り入れた。多くのオンラインブランドが台頭する中で、選ばれるブランドになること、大量生産ではなしえないクラフト感のある商品へのこだわりを持って作られている。
北海道の原材料を使用し、パティシエの丁寧な手作業で作られたアートなお菓子を販売するクラシカルかつストーリー仕立てでプレイフルなブランド。これらを通じてブランドへの没入感(Immersive)を提供するという。
ブランドのアイコンには、螺旋を取り入れたグラフィックを採用。メインカラーにはインディゴブルー、オレンジ、グレージュの3色を使い、「遠近感」と「連続性」を活かしたデザインで没入感を表現する。
また「しろいし洋菓子店」のお菓子は、 1階にしろいし洋菓子店を構える「マンション・インディゴ」を基点に、上の階に住む住人の推しお菓子とともにストーリーを進めていく設定だ。
住人にはオーナーや絵描き、楽器職人といった個性豊かなキャラクターが住んでおり、お菓子名にはそれぞれの部屋の号室がついている。先日オープンしたWebサイトには1階からマンションの上へ上がっていくような作りになっているそう。
「しろいし洋菓子店のクッキー缶」(3,200円)は、柄を入れたクッキー生地が螺旋に引き込まれるような形で缶に入っており、開けたときにインパクトを与える仕組み。また4段構造になっており、最初の二段は「501号室 夜更かしのためのクッキー」4種、三段目は「302号室 絵描きとリスの窓辺でかじるフロランタン」、4段目は「201号室 雪の降らない日のブルードネージュ」と段ごとに違うクッキーを詰めているため、食べ進めていく没入感と楽しさを演出できる。
「501号室 夜更かしのためのクッキー」は発酵バター、チョコ&カカオニブ、アールグレイ、アーモンドの4種類。北海道の小麦粉とバターを使い、生地にこだわったクッキー。
「302号室 絵描きとリスの窓辺でかじるフロランタン」は、北海道バターを使ったサクサク食感のクッキー生地に、アーモンドを混ぜ込んだキャラメルを重ねている。キャラメルには柑橘をアクセントに効かせ、アーモンドとキャラメルの芳醇な香りとコクを引き立てている。
「201号室 雪の降らない日のブルードネージュ」は、北海道産の小麦粉とバターにアーモンドパウダーを加え、雪の玉を思わせる形に仕立てた。一口食べると、しっとりほろほろと儚い口溶けになっている。
また、パウンドケーキ2種も展開。「403号室 水平線の先まで持っていきたいパウンドケーキ」はショコラ&マロン、アールグレイ&クリームチーズの2種類。北海道産の小麦粉とバターを使用した生地で、しっとりふんわりとしたパウンドケーキ。それぞれ7cmが691円、13cmが2,538円と、2サイズを用意する。
今後は、新商品が出るごとに住人が増えたり、「マンション・インディゴ」が体験できるポップアップを展開するというような、何度もサイトを訪れたくなる仕掛けを展開していくとのこと。