今年(2023年)3月に決勝大会が開催された、高校生向けのビジネスアイデアコンテスト「第9回マイナビキャリア甲子園」。その決勝大会に出場した、ドルトン東京学園高等部の「りきゃっぷ」チームのリーダーが10月6日、日本生命の社員向け研修のステージに上がった。

  • 日本生命の社員向け研修のステージに上がる、ドルトン東京学園高等部のヴァンダーキャムさん

■高校生が新しい保険の仕組みを提案

第9回マイナビキャリア甲子園は、日本全国から2,318チーム(8,959名)が挑戦。書類審査、プレゼン動画審査、準決勝を経て、わずか8チームが各企業・団体の代表として決勝大会に進んだ。ドルトン東京学園高等部の「りきゃっぷ」チームは生命保険協会代表として出場して堂々としたプレゼンを披露したが、その内容に感銘を受けた日本生命では、10月の社員研修の講師としてヴァンダーキャムさん(ドルトン東京学園高等部2年生、りきゃっぷのリーダー)を招いたのだった。

  • 日本生命丸の内ビル 丸の内ANホールにて。研修には50名ほどが参加した

“これからの社会に寄り添った、生命保険会社が提供する新たなサービス”という大きなテーマに対して、「りきゃっぷ」は性的マイノリティ当事者の方々の声を取り入れた、新しい保険の仕組みを創造した。

たとえば、生命保険加入者がログインできるDream Metaと呼ばれるメタバース空間をつくり、LGBTQにフレンドリーな会社の求人を掲載する。また被保険者がGID診断を受けた場合に一時金などを受け取れる学資保険の『GID特約+』を提案。LGBTQフレンドリー企業と保険会社が連携することで、GIDの方がLGBTQフレンドリー企業から手術治療のための貸付を受けられる仕組みも考えた。このほか、GIDの方が手術後の後遺症などで働けなくなった場合に備えて保険会社が残金を返済する『GIDエクスプレス保険』を提案するなど、豊かな発想力で新しい保険の未来を創造。3月の決勝大会でも、各生命保険会社の代表者から称賛の声が寄せられていた。

  • プレゼンのスライドから

この日、ヴァンダーキャムさんは磨き上げてきたプレゼンを20分ほどで披露。いわば生命保険のプロである、日本生命の社員たちから温かい大きな拍手がおくられた。

続く質疑応答で、社員からいくつかの質問が寄せられた。ウェブやアプリではなく、メタバース空間を利用してサービスを構築する理由について聞かれると「アバターを使用することで、自らが望んでいる性別、姿になることができます。遠隔での診療にも有効になることから、メタバースを採用しました」と回答。

  • 社員から質問が寄せられた

また、生命保険に興味を持った経緯については「2年ほど前になりますが、友だちが留学先で怪我をして手術をすることになりました。通常なら高額な医療費がかかるケースですが、ご両親が保険に加入していたため、わずかな負担で済んだそうです。その出来事が、あらためて保険の重要性、身近さに興味を持つきっかけになりました」と話した。


なおこの日は、ヴァンダーキャムさんのプレゼンのあと、カエカ 代表取締役の千葉佳織氏が「聞き手に前向きな気持ちを持ってもらえるストーリーテリング、価値観の提供」というテーマで講演している。この2つのテーマで社員研修をした理由について、日本生命幹部は「社員の皆さんには、新しいことに挑戦する気持ちで業務に取り組んで欲しい。講演された2人は非常にお若く、チャレンジング精神に満ちている。そのマインドを感じてもらえたら。アントレプレナーシップ(entrepreneurship、起業家精神)という言葉に表されるようなマインドセットで皆さんが新しい仕事に取り組むことが、今後、会社の活性化につながっていきます」と話していた。