トヨタ自動車は新型「クラウン」にクロスオーバー、スポーツ(SUV)、セダン、エステート(ワゴン)の4つのボディタイプを用意した。新型クラウンでは今まで見たこともないボディタイプが目が行きがちになるのだが、本丸(?)のセダンでトヨタは何を目指すのか。
クラウンといえば、やっぱりセダン?
新型クラウンの「セダン」はハイブリッド(HEV)と燃料電池自動車(FCEV)の2種類。ボディサイズは全長5,030mm、全幅1,890mm、全高1,470mm、ホイールベースは3,000mm。タイヤは19インチと20インチの2種類だ。
トヨタは10月6日~8日に新型クラウン4種類を勢ぞろいさせたイベントを六本木ヒルズで開催。その際にクラウン開発陣から各ボディタイプについての解説を聞くことができた。
チーフエンジニアの清水竜太郎さんは、新型クラウンのセダンを「スポーツ(SUV)とは、まさに対極にあるクルマ」と表現。4タイプを用意するクラウンの中で、「やっぱりひとつは王道のセダン、クルマの『カタ』を目指して」開発したかったそうだ。
とはいえ、従来通りのセダンを作るつもりはなかったとのこと。デザインにこだわり、「新しい時代のクラウン、ニューフォーマル」を目標に開発を進めた。でありながら、従来からのクラウンの根本的な価値である静粛性と乗り心地には「徹底的」にこだわったとのことだ。
新型クラウンの中で、水素で走るFCEVを選べるのはセダンだけ。通算16世代目となる新型で「クラウン史上初の『ゼロエミッション』となる」こともこのクルマの特徴だと清水さん話していた。
デザイナーの宮﨑光則さんによると、セダンの大きなテーマは「極限まで水平に。佇まいとして踊らない」だったとのこと。それでいて、後ろから見たときにはたっぷりとしたボリューム感を感じられるように気を付けたという。内装は「広さ感、落ち着く雰囲気」を大切にし、乗る人が触れる部分は「手になじむよう、質感を高く作った」そうだ。
セダンには全体を黒で統一した特別な仕様を用意する。20インチのブラック調ホイールを装着し、加飾も極限まで黒くしたクラウンとなるそうだ。
セダンのボディカラーは全部で6色。クラウン4タイプのうち「プレシャスブラックパール」を選べるのはセダンのみだ。この色を選ぶと、「水平な印象がより際立ち、面の変化が楽しめる」とカラーデザイナーの宍戸恵子さんは話していた。
内装では、クラウン4タイプの中で唯一の特徴として木目調加飾を使用。「表面のグロスや凹凸にも徹底的に」(宍戸さん)こだわったそうだ。内装のカラーは「ミッドブラウン」を設定。品格と落ち着きの中に華やかさも感じられる色調を狙った。
新型クラウンのセダンはHEV、FCEVともに2023年秋ごろの発売を予定している。