JR東日本は、膨大な社内外データをリアルタイムにわかりやすく地図上に表示するデジタルツインプラットフォーム「JEMAPS」(JR East Mashup Probe System / ジェイイーマップス)を開発したと発表した。

  • 「JEMAPS」の首都圏付近における俯瞰図「鉄道運行×局地的大雨」(JR東日本提供)

同社は鉄道の安全・安定輸送、利用者の安全確保のため、膨大な社内外データ(鉄道の運行情報、気象・防災情報など)を収集し、意思決定に活用している。それぞれのデータは社内システム・社外ホームページ等の別々の情報元から取得しているため、データの集約にかなりの労力がかかっていたという。

そこで、鉄道運行と近年激甚化する気象・防災に関する社内外の膨大なデータを自動収集し、ひとつの地図上に表示するデジタルツインプラットフォーム「JEMAPS」を構築。2022年6月から使用開始した。これらの情報はわかりやすいビジュアルでリアルタイムにプラットフォーム上に反映され、収集したデータはデータベース上に保管されるため、過去履歴の検索も可能としている。

  • 乗車人数によって列車の高さが変わる「走る列車グラフ(山手線)」(JR東日本提供)

「JEMAPS」のおもな活用事例として、大雨・地震の発生時に鉄道運行状況と合わせ、警報・注意報、土砂災害・浸水害・洪水の危険度分布などを確認し、現場から得た情報と合わせ、利用者・社員が避難を判断するための参考情報として活用している。輸送障害が発生し、駅間で列車が長時間停車することが予期される際は、対象列車とその列車の混雑状況を把握できるため、利用者救済に向けた計画を立てる際の参考情報にしているという。

総合防災訓練において、首都直下地震が発生した状況を想定し、「JEMAPS」上に列車の運行状況や推定震度分布を表示。訓練の臨場感を増すことで、社員の災害への対応能力向上に寄与しているという。

  • 首都直下地震の想定『鉄道運行×推定震度分布』 (JR東日本提供)

2024年度初めには、データ取得可能なJR東日本全線区の表示が完了する予定。新たに気象情報として雷に関する情報も追加する予定となっている。他の鉄道会社・企業・自治体等との連携、アプリやデジタルサイネージによる使用者への情報提供など、さまざまな社会活動に貢献するツールとしても検討する。