『WOWOW×東海テレビ 共同製作連続ドラマ『ギフテッド Season2』が、10月14日(毎週土曜)からWOWOWにて放送・配信される。本作は、大ヒット作『金田一少年の事件簿』や『BLOODY MONDAY』の原作者・天樹征丸と、漫画家・雨宮理真が放つ人気作品「ギフテッド」の実写ドラマで、増田貴久が演じる並外れた推理力を持つ敏腕刑事・天草那月と、浮所飛貴演じる殺人犯を見抜く眼を持つ高校生・四鬼夕也がバディを組み、さまざまな難事件を解決してゆく本格ミステリー。

Season2では、全話オリジナルストーリーで、不可解な連続殺人事件の真相に迫る本格クライムサスペンスが展開されてゆく。裏切り者は誰なのか――。天草那月と四鬼夕也が、国家を揺るがす壮大な陰謀に立ち向かう。Season2から登場する、「千里探偵事務所」の探偵でありながら裏の顔も持つ八雲穂積役を演じた中山優馬に、役作りや撮影の舞台裏について語ってもらった。

中山優馬

――最初にこの作品の企画を聞いたときどんなことを感じましたか?

「自分の方から仕掛けて、相手を巻き込んで翻弄していくような役柄を演じてみたい」という気持ちが以前からずっとあったので、映像的にも重厚感のあるWOWOWさんのドラマでそういった役をやらせていただけるのは嬉しかったですし、増田くんや浮所くんの敵役というのも楽しみでしたね。是非とも「嫌われたい」と思いました(笑)。徐々に素性が明かされていくのかと思いきや、割と序盤から悪役感が全面に出ている感じなんですよ。

――中山さんが演じられる八雲穂積は、「千里探偵事務所」の探偵で、「闇の眼」という特殊な能力を持つ人物です。中山さんとしては、どのように役づくりをされたのでしょうか?

僕は基本的にはどの作品でもロジカルに考えて演じるタイプではあるのですが、今回は特に設定がファンタジックということもあって、「幼少期はどうやって育ってきたのか」「家族構成はどうなっているのか」といった彼の生い立ちや、これまでの人生における分岐点となる要素を、台本の中からピックアップして自分の中にしっかり落とし込みながら作りこんでいった感じでしたね。なんとなくやっちゃうと、すべてがフワっとしてしまうような気がしたので。例えば、監督から「このカットではもう少し笑ってほしい」と言われたら、本番までに「なぜここでもう少し口角が上がるのか」というロジックを組み立て直すことが必要になるんです。「さっきは、前のシーンのあいつのあの顔を思い出して笑った」とするならば、「じゃあ、今度はその顔をもう少し鮮明に思い出してみよう。そうすれば、口角もおのずと上がるはずだから」みたいなロジックの組み立て方をしていましたね。

――具体的に八雲は、どのような人物であると捉えましたか?

八雲は決してサイコパスな殺人鬼というわけではなく、過去のトラウマやコンプレックスを抱えながら、ある目的のために突き進むなかで「犠牲者が出ることもいとわない」と考えていて、悪いことをしている自覚はありながらも、「自分の正義を守るためにやっているんだ」という明確な意識を持っている。計画性もあるし、きっと頭もいいと思うのですが、なかでも好奇心の強さは図抜けていますよね。根っからのファイターの精神が全身からにじみ出ている人物な気がしますね。

増田貴久&浮所飛貴との共演

――増田貴久さん演じる、警視庁捜査一課の刑事・天草那月と共演された感想は?

ちょうど八雲が天草から取り調べを受ける場面がクランクインだったのですが、お互いに「お手並み拝見」の意味合いもあったりするので、思った以上に白熱した腹の探り合いになっていて、演じていてすごく楽しかったですね。常にいい緊張感はありながらも、現場がシリアスな雰囲気になりすぎないところも、主役を務める増田くんの気遣いと優しい人柄があってこそ。連日猛暑のなかで撮影をしているのですが、増田くんが「コンビニ行ったついでだから」って、袋いっぱいの冷たいドリンクを差し入れてくれたんですよ。

  • 増田貴久(左)と共演

――『四鬼神流』の当主でもある高校生・四鬼夕也役を演じる浮所飛貴さんとの共演はいかがでしたか?

「特殊な能力を持って生まれたことで運命が変わってしまう」という意味では、浮所くんと僕が演じる八雲の役柄はすごく似ているんです。ある種の共感性があるにも関わらず、それが上手いこと作用しなかったせいで、二人は「最大のライバル」という立ち位置まで引き離されてしまう。八雲と四鬼がぶつかり合うシーンでは、浮所くんからまっすぐこちらに向かって飛んでくるエネルギーの強さをすごく感じられて。若さゆえの迷いのなさはあの役にピッタリだなと思いました。 人って、純粋なものを向けられるとちょっと苦しくなるじゃないですか。「子犬に睨まれた」みたいな感じで(笑)。撮影初日に浮所くんが僕のところにバーッて近寄ってきて、何かと思ったら、いきなり一言目に「イケメンですね!」って言われたんですよ(笑)。さすがに僕からは何も返せなかったですし、いま考えてもすごい距離の縮め方ですよね。浮所くんは、根っからの愛され体質なんだと思いますね。

――「闇の眼」を持つ八雲という役柄のどんなところに面白さを感じていますか?

昔から「目が印象的だね」と言っていただいていたので、個人的には「ついにこの目ヂカラを活かせる時が来たか!」「ここで使えなかったら後悔する」と思いながら日々撮影をしていますが、現場ではメイクさんや照明さんのお力を全面的にお借りしました。「闇の眼」を使って術をかけると言っても、当たり前ですが、もちろん実際には術はかかっていないわけで……(笑)。現場ではみんなのイマジネーションを総動員しながらお芝居している瞬間が多いんです。浮所くんの「鬼の眼」で黒い影が見えるように、「闇の眼」がどう表現されるのかとても気になります。この作品においては人と人とがぶつかり合うリアルなお芝居によって、より一層高いエンターテイメント性が感じられると思うので、僕自身もオンエアを確認するのが楽しみです。

役やお芝居について自分の頭で考える力がついた

――WOWOWの連続ドラマといえば、『連続ドラマW 北斗 -ある殺人者の回心-』で中山さんが演じられた"北斗"のお芝居がとても印象深いのですが、ご自身のなかにも「やるからには、あの作品の時の自分自身を超えたい」といった思いもあったりするのでしょうか?

WOWOWのドラマだから特別に意識するというわけではないですが、毎回、現場で学んだことを活かして「同じミスは繰り返さないようにしよう」とは心がけています。もちろん「北斗~」の時の自分にしか成し得なかった表現みたいなものもあるとは思うのですが、逆にあの時はまだできていなくて、今ならできるようになったことも少なからずあるはずなので、そういったものをさらに伸ばせて行けたらいいなと思っています。事前に考えてきたことを現場ですべて出すわけではないですが、役やお芝居について自分の頭で考える力がついたなとはすごく思いますね。そういう意味では、現場に入る前の準備は前よりできているので、「北斗」のときより自信を持って取り組めているのかもしれないです。

――最近はお芝居以外にも、朝の情報番組などで料理コーナーを担当される機会も多いですが、そういった経験もお芝居に繋がっていると感じますか?

もともと趣味というか、暇つぶし感覚でやっていたことが、ありがたいことに徐々に仕事になってきたという感じなので、直接的にはあまり芝居には影響していないと思いますね。料理をしているときは「この大根をどれだけ薄く剥けるか」といったように、目の前のことだけに集中して無心になれるので、芝居にいき詰まったときのいいリフレッシュにもなっているんです。

――もし今後お芝居で料理をするシーンがあったら、その経験も活かせそうですよね?

いやぁ、料理をしている最中に素の中山の部分が出てきて、ちょっとややこしいことになりそうです。ニヤニヤしながら料理をしちゃって、セリフが飛んじゃうかもしれません(笑)。

――そうなんですね(笑)。では最後に、改めて本作の見どころを!

「特殊な能力を持っている」という設定だけ聞くと、エンタメ色の強いドラマのように感じられると思うのですが、 演じている側からすると意外とリアリティもあったりするんです。特殊な能力を軸としながら、人の生き死にを扱うシリアスな物語が展開していくという、その絶妙な塩梅がこの作品の魅力の一つなんじゃないかなという気がしますね。きっと何度観ても楽しめる作品になっていると思うので、Season2を観終わったらまたSeason1の頭から観返していただいて。いろんなところに隠されている数々の伏線を見逃さずに、すべて回収していただけたらと思いますね。