ハーレーダビッドソンジャパンが開催したファンイベント「ブルースカイヘブン2023」(会期:8月26日~27日、会場:富士スピードウェイ)では、ハーレー120年の歴史に燦然と輝く過去の名車が展示されていた。国産ハーレーのベースとなったあのモデルなど、貴重なバイクを見ることができたのでご紹介しよう。
1913年に日本上陸? 貴重な「モデル 9E」
ハーレーダビッドソンは1905年の「モデル1」から車両の販売を開始した。写真のバイクは、そのモデル1から数えて9期目となることから「モデル 9E」と呼ばれる貴重な1台だ。1913年に、世界に先駆けて日本に輸出された記念すべきモデルでもある。
国産ハーレー「陸王」のベースにもなった「VLD」
1930年に登場した「VL」モデルは、静粛性とメンテナンス性に優れた新開発のフラットヘッド・サイドバルブ式Vツイン1,200ccエンジンを新設計フレームに搭載していた。展示された1934年モデルは、当時最盛期を迎えていたアールデコ調のデザインを採用。美しく塗り分けられたツートーンペイントは最新のハーレーと比べても存在感抜群だ。タンクにあしらわれたフライング・ダイヤモンドのロゴは、120周年アニバーサリーモデルのタンクエンブレムのモチーフにもなっている。
「VLD」は国産ハーレーのベースモデルでもあり、「陸王」の名で1959年まで生産されるなかで独自の発展を遂げていったことでも知られている。
ハーレーで最も長い歴史を持つ「FL」
ツーリングモデルの「FL」は1941年に初代モデルが登場し、現在まで販売が続くロングセラー。改良を経ていくなかで、1965年には初の電気式スターター(12Vセルモーター)を搭載した「FLH エレクトラグライド」が登場、翌1966年には新開発の1,350ccショベルヘッドエンジンへと進化を重ねていった。1969年にはツアラーの代名詞ともいえるフロントカウル「バットウイング」がオプションに加わり、1972年モデルではフロントに油圧ブレーキを採用した。
現代の最新モデルでいえば、当時を彷彿させるスタイリングとカラーリングをまとった限定車「ハイウェイキング」も「FLH エレクトラグライド」をオマージュした1台だ。
レースで成功を収めた最強ハーレー「XR750」
高出力のOHVエンジン搭載モデルの台頭で、旧来のサイドバルブエンジンでは太刀打ちできなくなっていたハーレーダビッドソンは1970年、「スポーツスター」用にOHVエンジンを開発した。これを750ccにモディファイして生み出したのが、フラットトラッカーの「XR750」だ。1972年にはアルミヘッドの高出力エンジンへと改良を実施。「AMA全米フラットトラック選手権」(1972年)の初優勝を皮切りに、2020年までに同選手権を37回制覇し、プレミアクラスレースで優勝502回という金字塔を打ち立てたXR750は、最強のハーレーと呼ぶにふさわしいバイクだ。
今回の展示車は、日本のレースに参戦するためにセットアップされた現役のレーシングマシンだった。
水冷エンジン初搭載モデル「V-Rod」
ポルシェとの共同開発で誕生したハーレー初の水冷エンジンを搭載したのが2002年の「V-Rod」だ。
DOHC4バルブ60度Vツインの「レボリューションエンジン」は、100馬力を超える高い性能と当時の排気ガス規制に対応する環境性能を高次元で両立。V-Rodファミリーとともに2017年まで発展を続けたが、現在は最先端ハイパフォーマンスエンジンとしての役割を新世代水冷Vツインエンジン「レボリューションマックス」へと引き継いでいる。
展示車の「VRSCA V-ROD 100th アニバーサリー」は2003年のハーレーダビッドソン100周年記念モデルとして誕生した1台。100thアニバーサリーペイントと専用エンブレムを特徴とする限定モデルだ。