JR東日本は10日、新幹線で導入している車内防犯カメラの「地車間通信機能」について、在来線でも2023年度末までに山手線の1編成で試験導入し、営業列車で有用性の検証を行った上で、山手線の全編成で展開していく予定と発表した。
同社は新幹線(約1,300両)および首都圏を走行する在来線(約8,500両)の全車両で車内防犯カメラの整備を完了(地方線区の在来線も2019年3月以降に新造された約600両で整備)。今後、新造する全車両で車内防犯カメラを整備するとしている。新幹線の車両では、非常通話が扱われた場合など列車内で非常事態が発生した際、指令等においても車内の状況をいち早く把握し、適切な対応を行うことを目的として、車内防犯カメラ映像を指令等で確認する「地車間通信機能」を導入している。
この機能を在来線でも採用し、山手線の1編成で試験導入する。列車内の非常通話装置が扱われた場合に、指令等でアラームが鳴動し、非常事態が発生した列車の「列車番号・号車」を特定。速やかに車内防犯カメラのリアルタイム映像を確認できるようにする。車内防犯カメラのリアルタイム映像に加え、録画された映像も指令等からダウンロード可能に。編成内でネットワーク化された映像を地上拠点へ伝送することにより、通信費等のランニングコストも抑えた仕様にするという。
山手線の1編成で車内防犯カメラの「地車間通信機能」を試験導入した後、営業列車で機能確認を行い、有用性を検証した上で、山手線の全編成で展開していく予定。なお、JR東日本は他にも列車内セキュリティ向上の取組みとして、首都圏を走行する在来線車両における非常通話装置を増設(これまで1両あたり1~2カ所、横須賀線・総武快速線E235系やE131系の新造車両から1両あたり4カ所に)するほか、新幹線・在来線の全車両で護身用具を搭載する。定期的に異常時対応訓練を実施し、危険物持込み禁止の注意喚起も行うなど、ソフト面からも安心して鉄道を利用できるように、引き続きセキュリティ向上に努めるとしている。