個人的な所見だが、現時点でWindows 11をメインOSとするなら、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewが好ましく感じる。Windows Insider Programは役割に応じたチャネルを用意し、Devチャネルは新アイデア(=新機能)の検証やリリースの是非を判断する一方で、大胆な変更も加わる。よって、Windows 11を日常作業や業務利用するPCに不向きなのは事実だ。
それでも新機能をいち早く検証、試用でき、セキュリティホールやバグ修正の社内検証をスキップして能動的に対応するため、ほどよくWindows 11を使える。より新機能に積極的なCanaryチャネルや、消極的ながらも今後のWindows 11に実装する機能を比較的早期に試せるベータチャネルも選択肢のひとつだが、新機能と最小限の安定性を得るのであれば、バランスの取れたDevチャネルが適切だ。
そのDevチャネルだが、Windows 11 バージョン23H2の完成が視野に入ったころから、更新頻度が加速したように感じる。改めて意識させられたのは2023年8月のビルド235xxあたりから。先月(9月)だけでも、8日にビルド23541、13日にビルド23545、22日にビルド23550、28日にビルド23555をリリースした(いずれも現地時間)。本稿を執筆している2023年10月5日(現地時間4日)はビルド23560が登場。リリース間隔が狭まっている。
たとえばビルド23541は、クラウドファイルのサムネイルプレビュー、ビルド23545はタスクバーの検索ボックス体験を改善。ビルド23550はOOBE(Out-Of-Box Experience)の音声アクセスサポートが加わり、ビルド23555は特定条件下でタスクマネージャーがハングアップする問題の修正、ビルド23560はWindows Copilotがクールスイッチ(Alt+Tabキー)に含まれる問題の修正が加わった。当然ほかの機能も改善されているが、共通するのがエクスプローラー周りの不具合修正だ。
Windowsのバージョンを問わず、エクスプローラーはUI/UX体験を左右する存在。Windows 11の登場直後は、コンテキストメニューの刷新による弊害やエクスプローラー自身が動作緩慢になる問題があったものだ。
安定版のWindows 11(ビルド22621)とDevチャネルの最新版を比較すると、後者でようやくWindows 10時代の応答性をわずかに感じられる。フレームワークの変更や機能拡張に関する取り組みを思えば、安定性を欠くのは致し方ない面もある。それでもいずれ訪れる改変に備える意味で、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewの利用を推奨したしだいだ。
もちろん、エクスプローラーに頼らないファイル操作も可能である。筆者はここ1年ほど、Windows 11で動作するファイラーを改めて探してみたものの、手になじむアプリとは出会っていない。これは筆者にとって、MS-DOS時代のテキストエディターであるVZ Editorが備えていたファイラー機能が最適な選択肢だった体験も大きい。さらに最近は、視力低下とディスプレイ&キーボードの配置から、椅子をリクライニングモードに切り替えてマウス操作する場面が増えてきたのも影響しているのだろう。WSL(Windows Subsystem for Linux)を起動してFDcloneやmcで操作する場面も多くなったが、自身用にカスタマイズする意欲がわかず、使いこなしているとは言いがたい。
なんだか愚痴っぽくなったが、筆者は過去から連なるショートカットキーを使ってエクスプローラーを使いたいのだ。最近では以前のWindows 11 バージョン22H2で利用できた、アドレスバーへのドラッグ&ドロップで行うファイル操作が機能停止したものの、キー操作が中心なら困らない。ユーザーが求めるのはシンプルかつスピーディーな操作であるはず。エクスプローラーの詳細ウィンドウやプレビューウィンドウも有用な場面はあり、RARをはじめとするファイル形式対応の拡充も便利だが、各機能はユーザーの使用スタイルに応じて取捨選択させてほしいものだ。その上で以前と同様のパフォーマンスを期待したい。