「DRIP POD(ドリップポッド)」は、UCC 上島珈琲の人気コーヒーマシンシリーズ。コーヒー専門メーカーであるUCCの専用カプセルコーヒーが手軽に楽しめて、メンテナンスも簡単。いざというときは市販の粉コーヒーも使えます。シンプルでコンパクトな本体デザインなど、魅力の多い製品です。

そんなドリップポッドシリーズの新モデル「DRIP POD YOUBI(ドリップポッド ヨウビ)」(以下、ヨウビ)が登場しました。ヨウビはシリーズ初となるIoT機能を搭載したほか、「持ち運ぶ」ことを前提としたデザインにも注目です。今回、上島珈琲にてヨウビを体験してきました。ヨウビの価格はオープン、推定市場価格は24,200円前後です。

  • UCC 上島珈琲のIoTコーヒーマシン「DRIP POD YOUBI」

  • ドリップポッドシリーズらしいカラフルなラインナップ。左から、ボタニカルグリーン、ミッドナイトブラック、スチームホワイト、ラッカーレッド、ソイルブラウンです。ソイルブラウンのみ、DEAN & DELUCAの一部店舗および公式サイト限定色になります

機能美が詰まった、持ち運びもできる新デザイン

ヨウビの本体デザインは、国内外で人気のプロダクトデザイナー、二俣公一氏が手がけました。従来モデルのDRIP POD3(以下、DP3)とはまったく異なる見た目に。従来は背の低い横長でしたが、ヨウビは縦長スリムな形状です。そして、本体上部のハンドルが目を引きます。ヨウビは持ち運びを考えられており、普段はキッチン、食事時はダイニング、来客時はリビング――と、気軽に移動できます。

  • 本体サイズは幅120×奥行き214×高さ376mm、重さは約3.4kg。従来モデルのDP3と比べて、400gほど重くなっています

  • 上部のハンドルを持って移動しやすい本体。自宅内の場所移動に便利です。ただ、電源コードの収納場所はないので、まとめて手で持つ必要があります

新しいデザインは、細かなディテールにも使いやすさを感じます。たとえば、カプセルをセットする部分(フタ)のロックは、プッシュ式ではなく手前に引いてロック解除する方式。間違って押してオープンしてしまうという誤操作をしにくくなりました。

操作に使うタッチ液晶は、あえてハンドル下に配置。液晶画面は明るい場所では見えにくいことがありますが、ヨウビは液晶画面をハンドルの影に配置することで、明るい場所でも視認性を確保しています。

  • 手前に引いてフタを開く新スイッチ。スイッチを引くとき、親指を置く部分にでっぱりがあるため、自然に手を固定しやすくなっています。細かな気遣いですね

  • ハンドル下に配置された液晶画面。照明の直下でも、ハンドルの影になって表示が見やすいというメリットがあります

  • 水タンクは従来と同じく、装着したままでも取り外しても水を補給できる2Way方式。新デザインでは側面からも水の残量がわかるようになりました。水タンク容量は約0.7L

ちょっと気になったのは、専用カプセルをセットするホルダーが2パーツ構成になったこと。パーツを2重にすることで、ドリップ時の水ハネを抑制するためです。

前モデルのDP3は、使用後のメンテナンスが「カプセルを捨ててホルダーをサッと水ですすぐ」だけだったのですが、ヨウビはホルダーが分割式になったことで「カプセルを捨てて、ホルダーを分割してから2つのパーツを水ですすぐ」と、手間が増えました。大きな手間ではないのですが、使用頻度が高いユーザーだと、このちょっとした手間が面倒に感じるかもしれません。

基本的な使用方法は従来と同じです。専用カプセルをセットして、ドリンクの種類(コーヒー/紅茶/緑茶)と味(ストロング/標準/アイスコーヒー)、湯量を選んで、ドリップボタンを押すだけ。

  • ドリップポッド用のカプセル。左の5列が定番カプセル、右の黒い2列は数量限定のスペシャルカプセルです。緑茶などコーヒー以外のドリンクも作れます

  • カプセルをセットするホルダーが分割式に。ドリップポッドを使ったあとのお手入れは、基本的にはホルダーを洗うだけ

  • 白い専用カプセルをヨウビにセットしたところ

ひとつのカプセルで多彩なプロの味わい

ヨウビのIoT機能は、スマートフォンとヨウビをBluetooth(Ver. 4.2LE)で接続することで、スマートフォンの専用アプリと連携します。アプリでは、カプセルにあわせてUCCのコーヒースペシャリストが考えた専用「プロレシピ」(抽出方法)でコーヒーをドリップ。発売の時点では、ヨウビに登録されているプロレシピは16種類です。

ドリップポッドの定番コーヒーカプセルには、それぞれ最低1レシピを用意。「ホンジュラス&コロンビア」といった一部のカプセルは、ひとつのカプセルに複数のプロレシピがあります。今後は徐々にレシピが増える予定です。

  • 専用アプリの画面。「カプセルから選ぶ」メニューで使うカプセルを選ぶと、そのカプセルにあわせたレシピがリスト表示されます

  • プロレシピのリスト画面。スイーツにあわせるドリンクに向いたレシピ、ミルクに向いたレシピなど、シチュエーションや飲み方にあわせたレシピが用意されています

  • それぞれのプロレシピには、標準で淹れた場合と味の違いがわかるグラフも用意。◇が本体の標準モードで抽出したコーヒーの味、★がプロレシピで淹れた場合の味。コーヒーに詳しくなくてもイメージで好みの味を選べます

本体からの操作でも「ストロング/標準」といった大まかな味の設定はできますが、カプセルにあわせた細かなニュアンスは追えません。一方のアプリでは、コーヒーのプロが各カプセルにあわせて蒸らしの湯温や蒸らし時間、抽出の湯温・湯量、さらにはお湯を注ぐスピードまで調整。アプリからの操作に限り、抽出工程を「前半」「後半」の2段階にわけて抽出方法を細かく設定できるようになっています。

残念ながら、ユーザーが設定を決めることはできないのですが、発売後「アプリから自分で抽出方法を設定がしたい」という要望が多ければ、手動設定も検討する可能性はあるそうです。こういったアプリの仕様変更ができるのはIoTならではのメリットでしょう。

  • アプリを使って抽出するときは、アプリ上で「今なにをやっているか」をリアルタイムに知ることができます。これも意外と楽しい!

  • 抽出後は、気に入ったレシピは本体の「FAVORITE」ボタンに1種類だけ登録しておけます。アプリを開かなくても、本体だけでプロレシピを手軽に利用できます

せっかくなので、筆者も「ホンジュラス&コロンビア」を試飲してみました。試したのは本体の標準設定と、ホンジュラス&コロンビア用のプロレシピ「Sweet Fruit」と「Casual Black」「Creamy Nuts」の4杯です。

同じホンジュラス&コロンビアですが、標準設定は酸味と苦み、甘みをバランス良く感じました。対してSweet Fruitは、より雑味が少なく爽やかさを強調した味。Casual Blackはドスンとした苦みとボディの強い味で、個人的にはミルクを入れて楽しみたいと感じました。抽出方法だけでここまで味が変わるのも驚きですが、どの淹れ方でもハズレがないのもさすがUCCです(もちろん好みにもよりますが)。

  • 試飲の一部。どちらも「ホンジュラス&コロンビア」です。左は本体の標準設定で抽出、右はSweet Fruit。味や香りはかなり違うのですが、見た目はほとんど同じですね

以上、新しいドリップポッド「ヨウビ」のファーストインプレッションでした。カプセルコーヒーは、市販の豆を使うコーヒーと比較してどうしてもバリエーションが少なくなりがちですが、ヨウビはプロ監修による複数の抽出方法で「美味しくバリエーションを増やす」ことに成功しています。UCCというコーヒーの専門メーカーと、IoTの組み合わせならではの製品です。

なお従来モデルのDP3は、コーヒーの入門モデルという位置付けで今後も販売を継続する予定。コーヒーの味をより深く楽しみたいユーザー向けに、ヨウビをフラッグシップモデルとして販売するとのことです。

  • まだまだ人気の従来モデル「DP3(DRIP POD 3)」、その手軽さから筆者も自宅で使っています