2020年からNHKで不定期に放送され、SNSで話題となった「業界怪談中の人だけ知っている」。番組の再現ドラマをもとに体験者たちに徹底追加取材し、より恐ろしく、より不可思議に、全16篇からなる怪談として新たに描き出したノンフィクションホラーがNHK出版より10月6日に発売した。

  • 生々しく、怖気の走る怪談が「社会のリアル」を映し出す……『業界怪談中の人だけ知っている』

その業界にいれば当たり前のように周囲の間で知られていたり、経験したりするような出来事でも、その外にいる人間には知る由もない、ときに不思議で、ときに身も毛もよだつ恐ろしい体験談が多数存在する。体験者たちが語ったエピソードの数々はどれも生々しいだけでなく、奇しくも怪奇体験を通してその業界の「いま」を映し出す。

例えば、登山やハイキングが以前より身近なものになったことで“映え”を求めて気軽に登るハイカーが増える一方、日本では山は古来「畏れ」の存在だった。それを知らずに山に臨むと何が起こるのか。

また、リフォーム業界では、生活様式や家族形態の変化に伴って、需要が高まり依頼件数が増えているという。その一方、その依頼場所が思いもよらない土地の縁に“触れる”ことも……。

本書では、2020年からNHKで不定期に放送されている人気番組「業界怪談 中の人だけ知っている」のシリーズ1~シリーズ3が書籍化。番組の再現ドラマを参考に、体験者たちひとりひとりに徹底追加取材することで、ノンフィクション系怪談小説として細部にまでこだわって編み上げたという。価格は1,760円。