終わりが見えなかった酷暑もようやく落ち着いて、過ごしやすい気温になってきた。ついにやってきた、食欲の秋。積極的に外を出歩けるような時期になったので、筆者が学生時代から何度も通う思い出の味を、久々にお店で思いっきり食らうことにしてみた。

降り立ったのは、東京メトロ東西線の早稲田駅。3a出口から徒歩約1分のところにあるのが、油そば専門店「麺爺あぶら 早稲田店」だ。

  • 「麺爺あぶら 早稲田店」は、東京メトロ早稲田駅から徒歩1分。店の向かいは早稲田中学校・高等学校だ。

    「麺爺あぶら 早稲田店」は、東京メトロ早稲田駅から徒歩1分。店の向かいは早稲田中学校・高等学校だ。

▶他のデカ盛り記事をイッキ読み! 「食欲の秋!! デカ盛り特集」はコチラ

ワセメシグランプリを4連覇した大人気の油そば

ここ最近まで早稲田に通っていた人であれば、ほとんどが麺爺という店名を知っているのではないだろうか。それもそのはず、大学公認サークルが主催する早稲田周辺グルメの人気投票「ワセメシグランプリ」で4年連続のグランプリを飾ったほどの大人気店で、コロナ禍以前は、早稲田大学の3つのキャンパスが位置する早稲田・西早稲田エリアに計3店舗を構え、お昼時にはどの店舗でも学生たちが行列を作っていた。

コロナ禍には2店舗が一時閉店するなど、かなり苦しい時期もあったようだが、学生が町に戻ると同時に客足も回復。今では早稲田の2店舗が営業し、西早稲田店は一時閉店して移転準備中だという。さらには高田馬場駅周辺に系列店「焼爺」をオープンするなどV字回復を遂げていて、変わらず学生やOB・OGたちから愛されているようだ。

早大生としてコロナ禍を過ごした筆者も、足しげく麺爺に通っていた1人。ただ何度も店を訪れていたにもかかわらず、結局やり残していたことがある。それが麺爺の「神盛」チャレンジ。食べ盛りの学生でさえ跳ね返されるというデカ盛りに、OBながら挑戦してみた。

  • 早稲田店の入り口は地下1階。

    早稲田店の入り口は地下1階。

1kg超えのデカ盛り油そばにいざ対面……!

階段を下りて、いざ入店。食券を買う。油そばは、黒(醤油)・白(塩)・茶(味噌)など5種類のメニューがあり、今回はオーソドックスな黒を選んだ。麺の量は神盛を選択。大食いメニューにもかかわらず1,080円で食べられるのは、さすが学生街だ。ニンニクの量は無しからトリプルまでの中からチョイスする。

数分後、目の前に巨大な白のどんぶりが運ばれてくる。ドンッ、と置かれた明らかに重みのある器の中には、大量の太いちぢれ麺がぎっしり。お店によると、神盛の麺量は茹でる前の状態で630g、茹で上がりはなんと1,000gを超えるのだとか……。

  • キャプション

    届いたどんぶりの大きさに驚愕。比較対象として10円玉を並べてみたが、あまりにも比べ物にならなかった……

どんぶりの底まで割り箸を差し込んで、折れそうになりながら麺を持ち上げると、黒い醤油だれが見える。白っぽかった麺が、たれに触れると一気に黒く染まる。ひと思いにかき混ぜれば、まさに「黒」の1杯へと様変わりした。

  • 麺の下にたれがたっぷりと隠れているので、どんぶり全体を一気にかき混ぜる。

    麺の下にたれがたっぷりと隠れているので、どんぶり全体を一気にかき混ぜる。

  • 麺に醤油だれが絡むまで混ぜてから、いざ実食へ。

    麺に醤油だれが絡むまで混ぜてから、いざ実食へ。

麺を持ち上げて、1口目。開発に2年を要したという自家製麺は加水率が非常に高く、口に入れた瞬間のプルプルした舌触りと、ゆっくりと噛みしめたくなるモチモチ感が特徴的だ。また太い麺は、コクが強めの醤油だれと旨味を引き立てる油がよく絡んでいて、箸が止まらなくなる。

  • 加水率が高い麺は舌触りが良く、モチモチとした弾力が特徴的。食べ応えがあるのも学生に人気な理由だ。

    加水率が高い麺は舌触りが良く、モチモチとした弾力が特徴的。食べ応えがあるのも学生に人気な理由だ。

ちなみにこの油そば、麺に重量感がある上に縮れているため絡まりやすいので、ラーメンのように引き上げて食べるのが少し難しい。おすすめは、パスタのように箸に巻き付けて食べる方法。たれが跳ねることもないし、塊のようになった麺の小麦感もまたおいしい。

  • たれが跳ねず、段違いの弾力を感じることもできるこの食べ方がおすすめ。

    たれが跳ねず、段違いの弾力を感じることもできるこの食べ方がおすすめ。

さまざまなトッピングや味変アイテムも勢ぞろい

また、時々現れるトッピングも重要。ネギは食感とアクセントを、海苔は香りをプラスしてくれる。棒状にカットされた焼豚は厚みがあり、脂身というよりは肉の旨味を感じるタイプで、この焼豚が乗った「焼豚丼」も隠れた人気メニューだ。今回は注文していないが、温泉卵やチーズなどのトッピングもおすすめ。

  • 油そばにアクセントを加えるトッピングも重要。ただ神盛だと、いつもより量が少なく見える……

    油そばにアクセントを加えるトッピングも重要。ただ神盛だと、いつもより量が少なく見える……

そして麺爺のテーブルには、たくさんの味変アイテムが並んでいる。普段からいろいろな調味料を試して楽しんでいたが、大食い中だとなおさらありがたい。

お酢は、油そばでは定番の調味料で、濃い目のたれもさっぱりと楽しむことができる。また一味唐辛子やラー油、胡椒など、ちょい足しには不可欠なメンバーが揃っている。

  • お酢をかけるのはもはや鉄板。デカ盛りとなるとなおさら不可欠だ。

    お酢をかけるのはもはや鉄板。デカ盛りとなるとなおさら不可欠だ。

中でも筆者のおすすめは山椒。しびれる辛さを加えるだけでなく、スパイシーな香りで味が引き締まるので、大食い中の口のリセットにもぴったりだ。

  • 山椒をたっぷりかけると一気に油そば全体が引き締まるのでおすすめ。

    山椒をたっぷりかけると一気に油そば全体が引き締まるのでおすすめ。

  • テーブルに用意された味変アイテム。

    テーブルに用意された味変アイテム。油そばの味に合わせたおすすめが書いてあるのもありがたい。

完食までにかかったタイムは……?

と、ここまで油そばのさまざまな食べ方を紹介してきたが、徐々に食べ進めるペースが落ちてきた。モチっとした太麺は食べ応えもあるので、しっかりと噛みしめる必要があって流し込むのは難しく、1口ずつ丁寧に口へと運び続ける。

麺でぎっしりと埋まっていたどんぶりの底が、ようやく見えてきた。そして最後の1口。

  • ようやく完食。ペロリと食べきる大学生も多いようだが、筆者はこのタイムが限界。

    ようやく完食。ペロリと食べきる大学生も多いようだが、筆者はこのタイムが限界。

食べ始めから計測を開始していたストップウォッチを見ると、25分が経つところだった。写真を撮りながらだったとはいえ、1人客がこれだけ時間をかけて油そばを食べるのは珍しい。実際、筆者より後に入店した客も、すでに何組か店を後にしていた。

ただ、だからといってすぐ立ち上がることはできず、水を飲みながら少し休憩。次にチャレンジするときは、万が一に備えて必ず誰かを連れて行こうと心に誓った。

自宅でお店の味を楽しめる「おうち麺爺」も!

この麺爺の油そばは、家で楽しむこともできる。学生が町からいなくなったコロナ禍の時期に、店長自らが麺とたれを届ける宅配サービス「おうち麺爺」を開始して、今は通販で購入することができる。

筆者自身もコロナ禍以降、何度も通販で購入していて、時にはおすすめグルメのプレゼントとしても使ったことも。基本的には麺を茹でてたれに絡めるだけと調理も簡単で、味も店舗とほぼ遜色ない。麺の量でいえば3玉半くらいで神盛を再現できるので、食べきれるか不安であれば、おうちでチャレンジしてみてもいいかもしれない。

  • 筆者がコロナ禍に自宅で食べた「おうち麺爺」。トッピングをアレンジできるのは宅配ならでは。

    筆者がコロナ禍に自宅で食べた「おうち麺爺」。トッピングをアレンジできるのは宅配ならでは。

学生時代から何度も食べてきた油そば。苦しくなるほどのデカ盛りを食べたというのに、もうすでに恋しくなり始めている。病みつきになる学生街の味を、ぜひご賞味あれ。