マツダが人気の小型オープンスポーツカー「ロードスター」を改良して発売する。予約開始は10月5日、発売は2024年1月中旬の予定だ。現行型ロードスター(4世代目、通称:ND)の発売以来、最も大きな改良になるというが、その内容とは? 事前説明会で詳細を聞いた。

  • マツダの新型「ロードスター」

    改良で「ロードスター」はどう変わる?

最新テクノロジーを採用

「モア、ロードスター」をスローガンとする今回の商品改良。ポイントは①先進安全技術/コネクティッド技術の進化、②ダイナミクス性能の進化、③デザインの進化の3つだ。詳細を見ていこう。

  • マツダの新型「ロードスター」

    改良後の価格はソフトトップが268.95万円~367.95万円、ハードトップ(RF)が352.77万円~430.87万円

先進安全技術/コネクティッド技術の進化では、高速道路でのドライバーの負荷を軽減する「マツダ・レーダークルーズ・コントロール」(MRCC)、と、後退時に自転車なども含む車両を検知して衝突軽減ブレーキをかけるスマート・ブレーキ・サポート「後退時検知機能」(SBS-RC)を新たに採用する。これにより、日常の駐車シーンから高速で遠出するシーンまで、より安全にロードスターを楽しめるようになる。

MRCCについては、従来は車体中央に設置する必要があったミリ波レーダーを、電気・電子プラットフォームの全面刷新を行うことでグリルの外側に配することができるようになり、ロードスターへの搭載が実現したそうだ。

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    「MRCC」は設定した速度での定速走行や車間距離を一定に保って走行するための運転支援機能。フロントグリル左側のレーダーセンサーが先行車を検知し、定速走行や追従走行を支援する

車内には、画面のフチを極力狭くしたフレームレス構造の8.8インチ新型センターディスプレイを搭載。スマートフォンのアプリを通じてクルマの状態を確認したり、万が一の事故の際には救急車を自動で手配したりできるコネクティッドサービスが利用可能となる。

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    センターディスプレイは大型化

走りについても手抜かりなし

マツダのことだから、もちろん走りの進化にも手抜かりはない。ダイナミクス性能では、新たに開発した「アシンメトリックLSD」(ASYMMETRIC LIMITED SLIP DIFFERENTIAL)を採用。加速時と減速時にそれぞれ最適な作動制限力を設定する「カム機構」を追加したことで、減速旋回と旋回加速の挙動を安定させられるようになるという。

効果については試乗して体験してほしい、とのことだが、商品開発本部の齋藤茂樹主査によると、リアがしっかりと止まり、ステアリングをしっかりと効かせるというFR(後輪駆動)らしい走りを実現できているとのこと。街中では軽やかさが、ワインディングでは安定性が格段に向上しているという。

  • マツダの新型「ロードスター」

    FRらしさを増した? 新型「ロードスター」の走りに期待が高まる

走りの改善点はまだまだある。箇条書き的に紹介していこう。

  • パワーステアリングの改善:軽やかで正確なステアリングフィールを実現するため、モーターアシストの制御ロジックを内製化。ステアリングラックのメカニカルなフリクションを低減しながら、自然ですっきりとしたフィードバックを実現。

  • エンジン:1.5Lは国内ハイオクガソリンの燃料制御に合わせた専用キャリブレーションを実施して高効率化を実現し、出力が3kW(4PS)向上。RF(リトラクタブルハードトップモデル)が積む2.0Lも含め、アクセルオン・オフの応答レスポンスを改善。

  • MT(マニュアル)車のみのお楽しみ:“草レース”の発展に力を入れているマツダならではの新アイテムとして、MT車のDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)に新モード「DSC-TRACK」を追加。これはドライバーの運転操作を最大限に尊重し、横滑り防止の制御介入のしきい値を通常より深いところに設定、スピン挙動に陥った時のカウンター操作に応じて制御が介入することで、コースアウトやクラッシュのリスクを低減するモードだ。簡単にいうと、より安全にサーキット走行ができる新モードである。

  • マツダの新型「ロードスター」

    右上が「DSC-TRACK」のボタン

往年の「ロードスター」を思わせるコーディネートが新登場

デザインも変わる。

エクステリアで最も大きな変更点はランプ。現行型ではデイライトがバンパーのカドにあるが、改良後の新型ではバイLED化し、場所はヘッドランプ内へと移動。ポジションとサイドターンランプも兼ねるようになる。

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  • マツダの新型「ロードスター」
  • デザインの大きな変更点はランプ

丸目がメッセージとなっているリアコンビランプは、フルLED化により強力に光を発散するデザインに。ジェットエンジンのアフターバーナーからイメージを得たそうだ。MRCCの要となるレーダーのカバーは、目標物を捉えるレーダースコープからインスピレーションを受けた形状に。ホイールは16インチ、17インチとも新デザインとなる。

  • マツダの新型「ロードスター」
  • マツダの新型「ロードスター」
  • 左がリアコンビランプ、右がレーダーのカバー

  • マツダの新型「ロードスター」
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  • マツダの新型「ロードスター」
  • マツダの新型「ロードスター」
  • 左の2枚が16インチ、右の2枚が17インチ

インテリアでは丸型3眼スピードメーターを漆黒フラットグラフィックのデジタル式に変更。MRCCやトラックモードの機能が表示できるようになった。センターディスプレイは7インチからワイドな8.8インチに大型化。ルームミラーはフレームレス構造に変更して視認性を向上させた。その横にはエマージェンシーコールのボタンを追加している。

  • マツダの新型「ロードスター」

    丸形3眼メーターはデジタル式に

  • マツダの新型「ロードスター」

    ルームミラーはフレームレス構造

従来は樹脂のハードパーツだったセンターコンソールはクッション入りの表皮巻きに。膝や肘が当たる感触を改善しつつ上質感もプラスする改良だ。

990Sは廃止! グレードはどうなる?

グレードとしては「SレザーパッケージVセレクション」の新コーディネーションを追加。ドリフトウッドのテクスチャーを採用したベージュのホロと、ナッパレザー表皮を採用したスポーツタンのシートを組み合わせたヴィンテージな装いが往年のロードスターを彷彿させる。このほかには、新しいブラックシートや新色の「エアログレーメタリック」のボディカラーが追加となる。

  • マツダの新型「ロードスター」
  • マツダの新型「ロードスター」
  • マツダの新型「ロードスター」
  • 「SレザーパッケージVセレクション」は往年の「ロードスター」を思わせる新グレード

一方で、2021年に登場して好評を博した軽量化バージョン「990S」グレードは残念ながら今回で廃止となる。特別仕様として1年だけ製造する予定を2年間に延長したものの、マツダとしては、その希少性をキープするために製造中止を決めたそうだ。