NASAのテクノロジーを採用したという「パンクしない自転車用タイヤ」が完成したそうだ。このタイヤは、米スタートアップ企業のSMART Tire Companyが開発したもので、クラウドファンディングサイト・Kickstarterにて資金調達が実施されている。ネットでは「良いな」「いい技術だけどニッチだな」などと話題だ。
その名も「METL」。米航空宇宙局(NASA)が火星探査車用に開発したテクノロジーを採用した金属製タイヤで、ニチノールと呼ばれるニッケルと、チタンの金属合金を素材として作られている。この素材は、ゴムのような柔軟性とチタンのような強度を併せ持つ超弾性(擬弾性)と、変形させても瞬時に元の形状に戻る形状記憶の特性を備えた合金だ。
これらの特性から、空気圧が不要ながら、通常の自転車用タイヤのように滑らかな乗り心地を実現しているそうだ。また、この素材はもともと火星での連続使用に耐えられるように開発されているため、温度変化に影響されず、高い耐久性を持っているとのこと。同社は「このタイヤ1本で、ほとんどどこへでもスタイリッシュに、そしてパンクの心配もなく行くことができる」としている。
「METL」は、ホイールリムに螺旋状に巻き付けたワイヤー状のニチノールと、半透明のポリゴム素材のカバー、ゴム製のトレッド(地面に接触する部分)によって構成される。トレッドは消耗品のようで、約9,600kmから約16,000kmの走行で交換が必要になるが、それ以外の部分は自転車の寿命まで使えるとのこと。トレッドの交換には約10ドルかかるそう。なお同社によると、「METL」は通常のタイヤと比べて、ゴムの使用量を50%削減できるのだとか。
タイヤのサイズは700×32c、700×35c、700×38cから選択可能で、35cモデルの重量は約450gだという。
「METL」は、Kickstarterを通じて、資金調達を実施しており、500ドル(約7万5,000円)の支援から2本の自転車用「METL」を購入可能だ。米国以外の発送にも対応している。ちなみに、「METL」のクラウドファンディングは開始18分で目標金額の2万5,000ドル(約370万円)を達成するほどの人気で、その後も支援金は集まり、記事執筆時点で支援金は、既に15万ドル(約2,200万円)を超えている。
ネット上では「自転車旅する人向けかな?いい技術だけどニッチだなぁ…」「一般的な自転車に普及するまではまだまだかかりそう」「これ良いな~。タイヤ交換しょっちゅうしてると、結局結構な金額になるし」「でもお高いんでしょう?」「・・・うん!高い!!」などの声が寄せられた。