スズキといえば各種軽自動車や大人気の「ジムニー」、あるいは「Hayabusa」や「KATANA」などのバイクで有名な日本の老舗企業だが、このほど明らかになった情報によれば、同社はどうやら「四足歩行ロボット」の開発に踏み出したようだ。「MOQBA」(モクバ)という名前らしいが、はたしてその実態は?
クルマとバイクの技術が融合?
スズキが「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(ジャパンモビリティショー、2023年10月26日~11月5日、会場:東京ビッグサイト)の展示内容に関する事前説明会で明らかにしたところによれば、同社は次世代四脚モビリティ「MOQBA」(モクバ)なる乗り物を開発しているとのこと。横浜の研究所にて、社内のさまざまな部門が関与しながら、「今までにないスタイリングと構造を持つ」乗り物の開発に取り組んでいるらしい。
スズキの横浜研究所には「新しい技術で、地域の隅々まで、あらゆる人々の生活を支える」というミッションがある。これを具現化するため、移動に関する障壁を探っている中で、「四本足を持つモビリティを作りたい」というアイデアが生まれたという。
クルマ、バイク、自転車、公共交通機関など移動手段はいろいろあるが、それでも行けない場所はある。何かに乗って移動するうえで大きなハードルとなるのは段差および階段だ。こうした課題を乗り越える解決法となりうるのがスズキのモクバだ。
「へ」の字型のフレームにした理由
「MOQBA」は四本足で階段を昇降できて、平地では足先の車輪を使ってスムーズかつ高速で移動ができる。特徴的な「へ」の字型のメインフレームと人が乗る乗車部は別々に動くので、急な斜面を登っている時でも乗員は水平な状態が保てる。乗車姿勢はバイク的で、平地ではクルマのように四輪走行ができるMOQBAは、クルマとバイクの双方を手がけるスズキならではの乗り物といえそうだ。
「MOQBA」シリーズとして今後の展開も検討しているとのこと。乗車部を変えれば、さまざまな用途で使えるというのがスズキの見立てだ。例えば椅子にすれば四本足の車椅子になるし、担架にすれば緊急の際に役立つ。エレベーターが止まってしまったタワーマンションでケガ人を運ぶ際などにはMOQBAが活躍しそうだ。スズキの説明員は「四本足を持つモビリティは大きな可能性を秘めています。MOQBAは試作第1号ですが、今後も継続的に開発を続け、どんどん改良を進めていきたいです」と話していた。
四本足のロボットといえば蹴っても倒れない猛獣型の軍用タイプが思い浮かぶが、スズキのMOQBAは人助けを主眼とする優しい乗り物になりそうだ。