JCBが行った「クレジットカードに関する総合調査」によると、キャッシュレスの保有率は、クレジットカードが85.7%であるのに対し、デビットカードは27.3%と低い結果になっています。そもそも「デビットカードってなに?」という人も多いと思います。そこで、まだまだ浸透しているとは言い難い「デビットカード」に注目して、デビットカードの使い方、現金やクレジットカードにはない魅力、さらに注意点もお伝えします。

デビットカードとは

デビットカードは、一言でいうと、現金とクレジットカードの中間的な存在です。クレジットカードと同じように決済をしますが、即時、紐づいている銀行口座から代金が引き落とされます。そのため、銀行口座の残高以上は利用することができません。これは使い過ぎを防ぐことができるので、クレジットカードで使い過ぎてしまう傾向の人は、デビットカードなら安心です。また、現金のようにATMでお金を下ろす必要がなく、支払いができるのもデビットカードの利点です。

デビットカードには2種類あります。J-Debit と呼ばれるキャッシュカードにデビットカードの機能が付いたものと、国際ブランド加盟店でクレジットカードと同様に使える国際ブランド付きデビットカードです。J-Debitは国内の加盟店でしか使えず、国際ブランド付きデビットカードは国内、海外問わず使えて、加盟店も非常に多くなっています。ここでは、利用シーンの多い国際ブランド付きデビットカードについて解説していきます。

デビットカードの特徴

即時引き落とされる

クレジットカードは利用した金額が後日まとめて引き落とされる後払い方式ですが、デビットカードは支払いと同時に指定の口座から引き落とされる即時払い方式です。

1回払いしかできない

デビットカードは即時払いであるため、クレジットカードのように、分割払いやリボ払いができません。

満15歳(中学生を除く)から発行できる

クレジットカードは満18歳(高校生を除く)から作ることができますが、デビットカードは満15歳(中学生を除く)から作ることができます。

申込時の審査がいらない

デビットカードはクレジットカードのように申込時に審査がいりません。また、口座残高までしか使えないため、利用限度額の設定もありません。

原則ポイント還元がある

デビットカードは、クレジットカードと同様に原則ポイント還元があります。還元率はクレジットカードよりも低めに設定される傾向があります。

海外でも利用できる

国際ブランド付きデビットカードは、海外の加盟店でも利用できます。代金は所定のレートで円換算にして引き落とされます。その際、所定の手数料が上乗せされます。また、海外ATMでデビットカードを利用して、現地通貨を引き出すこともできます。

デビットカードの使い方

デビットカードは、クレジットカードと同様に使うことができます。利用加盟店で「カードでの支払い」と「一回払い」であることを告げ、暗証番号の入力かサインをすることで決済が完了します。決済方法はカードの種類や店舗の端末、決済金額によって異なり、暗証番号やサインが不要な場合もあります。

ネットショッピングの場合は、「クレジットカード払い」の項目を選んで、デビットカードのカード番号、有効期限、セキュリティーコードを入力すれば、決済が完了します。

デビットカードのメリット

デビットカードの特徴を知ると、デビットカードのメリットがみえてきます。

お金の使い過ぎを防ぐことができる

銀行口座の残高以上は利用できない、リボ払いや分割払いができないので、お金を必要以上に使ってしまう心配がありません。

ポイントが付くので現金払いよりお得

クレジットカードと同様にポイントが付くため、現金払いよりもお得です。ただし、クレジットカードの還元率は0.5%~1%が多いのに対して、デビットカードは0.2%~0.8%と低めになっています。これはリボ払いや分割払いができないことで、利息や手数料が入らないため、ポイント還元率をクレジットカードほど上げられない事情があるようです。

お金の管理がしやすい

デビットカードは即時払いであるため、クレジットカードのように利用日と支払日のタイムラグがありません。支出がダイレクトに口座に反映され、月々の収支が簡単に把握できます。銀行アプリや家計簿アプリと紐づければ、その場で支払い履歴や口座残高を確認できます。

審査がないので手に入れやすい

クレジットカードは申込時に審査があり、審査を通らなければ作ることができません。デビットカードは原則審査がないので、銀行口座を持っていて、年齢条件に当てはまっていれば、カードを作ることができます。また、満15歳以上から作ることができるので、クレジットカードを持てない未成年者でもデビットカードを持つことができます。

デビットカードのデメリット

デビットカードのデメリット(注意点)も知っておきましょう。

口座が残高不足になると支払いができない

紐づいている口座の残高が利用できる上限になるので、残高が足りないとエラーになって支払いができなくなります。クレジットカードの場合は、残高不足になっても一旦クレジットカード会社が立て替えてくれて、後日案内が届き、再度支払いとなります。また、多くのクレジットカードにはキャッシング機能が付帯しており、現金を借りることができますが、デビットカードにはキャッシング機能はありません。このように、本人の支払い能力以上に使うことができないデビットカードは、見方を変えれば、使い過ぎることがないので安心です。利用者の捉え方でメリットにもデメリットにもなるということです。

分割払いができない

分割払いのメリットは、高額の商品でも、一回の支払額を低く抑えることできるため、購入することが可能な点です。デビットカードは、一括払いしかできないので、このような買い方はできません。ただし、こちらも上記と同様に、利用者によってメリットにもデメリットにもなります。3回以上の分割払いは手数料(利息)が発生し、その分出費も多くなります。無計画な分割払いは、返済能力を超えて首が回らなくなるリスクがあります。

ETCカードが発行できない

デビットカードは、原則、ETCカードが発行できません。

利用できない店舗・シーンがある

基本、国際ブランド付きデビットカードであれば、クレジットカードと同様、国内・海外の加盟店で利用することができますが、一部利用できない店舗やシーンがあります。

  • 高速道路などの有料道路料金
  • ガソリンスタンド
  • 飛行機の機内販売

カードによっては、公共料金の引き落としに利用できない場合もあります。利用できる範囲はカードごとに異なるので、カードを作る際に確認しておきましょう。

多くのカードでクレジットカードより還元率が低い

先述したとおり、デビットカードはクレジットカードよりもポイント還元率が低い場合が多いです。ポイント重視の場合はクレジットカードを利用した方がいいかもしれません。

銀行口座によって作れるデビットカードが決まってしまう

デビットカードは、銀行口座と紐づけて発行するものであるため、まずは銀行の口座を開設する必要があります。すでに、給料の振込先になっていて、生活費の出し入れに使っている口座(メインバンク)はあるはずなので、必然的にその銀行のデビットカードを作ることになります。そうでないと、毎月別の口座に振替なくてはならないからです。銀行によっては、国際ブランド付きデビットカードではなく、国内でしか使えないJ-Debitになる場合があります。(地方銀行はJ-Debitの場合が多い)。クレジットカードのように好きに選べないのはデメリットといえるでしょう。

あえてデビットカードを使う理由

デビットカードの基礎知識やメリット・デメリットをお伝えしましたが、世の中にはデビットカードの愛用者がいます。株式会社JCBが行った「クレジットカードに関する総合調査」によると、2022年のデビットカードを利用する理由のトップは「残高のある分しか利用できず、使いすぎないから」となっています。

キャッシュレス化が進んでも、クレジットカードによる使い過ぎが心配で、現金派でいる人たちは世の中にまだまだいます。そういった人たちにデビットカードを知ってもらえば、「デビットカードなら安心」と利用が促進される可能性があります。

現金とクレジットカードの"良いとこどり"としてデビットカードが認知されると、使う人が増えていくかもしれませんね。