縦に折りたたむことのできるフリップ型スマートフォンが海外で次々と登場しています。Tecnoは2023年9月22日にシンガポールで新製品発表会を行い「PHANTOM V Flip 5G」を発表しました。日本では知られていないメーカーですが、インドやアフリカ、新興国では絶大な人気を誇るメーカー。そのTecnoがサムスンやモトローラに並ぶフリップ型スマートフォンを堂々とデビューさせたのです。
PHANTOM V Flip 5Gは縦に折りたたむとコンパクトな大きさになります。閉じた状態では円形の画面が外側に表示されます。円形のディスプレイなのでスマートウォッチの画面と同じような表示もできます。写真ではちょっと見にくいのですがここにネコやイヌのバーチャルペットも表示できます。
本体を開くと6.9インチの普通のスマートフォンサイズになります。なおOSはAndoridですがTecno独自のユーザーインターフェースでカスタマイズしたHiOSを搭載します。
本体カラーはブルーとブラック、今回はブルーを試しました。ビーガンレザーを貼り付けており、肌触りは革のようでとても心地よいです。下部側がツートンカラーに仕上げることでアクセントをつけているのもちょっといい感じです。
質量は194gで片手でも楽に持てます。たたんだときの厚さは15mmです。外型のディスプレイ部分が若干出っ張ってはいますが、このままポケットにもすっぽりと納まりました。
開いたときの厚みも7mmと薄く、またディスプレイのヒンジ部分も折り目がほとんど目立たないのでなかなかいい仕上げになっていると思います。
外側のディスプレイは内側が1.32インチ径のディスプレイで、その周りはガラスで覆いつつ6,400万画素のメインカメラと1,300万画素の超広角カメラ、さらに強力なライトを配置しています。このライトは新興国で外灯の無い場所や、室内でも暗い場所が多いことを考慮して、一般的なスマートフォンよりはるかに明るい光を放ちます。
円形ディスプレイを自撮りの時のプレビュー画面として使うこともできます。高画質なメインカメラを使ってセルフィーできるわけです。また超広角カメラも使えますから、友人たちとのグループセルフィーの撮影も可能。フリップ型スマートフォンが他のスマートフォンより優れている点の1つがこの機能だと思います。
ちなみに内側のフロントカメラも3,200万画素で、なかなか良い性能のものを搭載していると言えます。本体を折り曲げることでカメラアプリなどは画面が上下に分割表示され、より使いやすくなります。上側がプレビュー、下側にシャッターボタンなどが配置されるので、片手での操作もより行いやすのです。また本体を机の上に置けば三脚不要で自由な角度で写真や動画も撮れますから、実はカメラフォンとしても使いやすいのです。
カメラ以外にもSNSや検索など、スマートフォンを使うときに画面を曲げて使えるので片手操作もはかどります。このスタイルで動画を見るのも見やすいでしょう。
チップセットはメディアテックのDimensity 8020、ミドルハイレンジ向けであり全体の動作もスムーズでした。またバッテリーはコンパクトな本体ながら4,000mAhを搭載し、45Wの急速充電に対応するので充電時間もあまりかかりません。普段使うメインのスマートフォンとして十分な性能を持っています。
今回はシンガポールで行われた発表会を取材しましたが、インドやアフリカ(SSA、サブサハラアフリカ)からのメディア関係者が多く、Tecnoはそれら現地でかなり注目を集めているメーカーであることがよくわかりました。それら各国のSNSを見ると多くのインフルエンサーがこのPHANTOM V Flip 5Gの動画をアップしており、この冬一番の話題のスマートフォンになりそうです。なお価格は約600ドル、約9万円です。
Tecnoのスマートフォンは過去にも太陽の光で背面の色が変わる「Camon 19 Pro Mondrian Edition」や、同社初の横折り式スマートフォン「Phantom V Fold」を紹介しました。新興国をターゲットにするメーカーですが、意外にも新しい技術を次々と採用しているメーカーなのです。日本で見かける機会はなかなか無いでしょうが、Tecnoはこれからもスマートフォン業界に驚きを与える製品を次々と送り出してくることでしょう。いずれまた新製品を紹介したいと思います。